この日、彼はヒーローになった

〜2002年 春休み旅行記 石内丸山編2〜


  ワセハンメンバーでスキー・スノボー旅行。何度か行った越後湯沢の石内丸山スキー場へ、初めて車で、しかもワセバンで行った。チェーンは新しいのを持ったが、果たして無事に行って帰ってこられるのか。ちょっとは不安がありつつも気分はすでにゲレンデへ。出発前から頭の中は滑っていた。

  馬場に集合したのは4人。たらちゃん、なっちゃん、酒匂と、バン出しの私。あとの二人は諸事情により後から来ることに。エンドーに泊まる場所への行き方を聞き忘れたが、まあ関越で新潟まで行くことには変わらないので、とりあえずは出発。寝不足だし疲れてるし、早めに休憩して運転を代わるはずだったが、テンションの高さに負けて、気がついたらいつもの上里SAに来てしまった。

  ここからは酒匂の運転。助手席のたらちゃんに任せて、私は睡眠。目が覚めたのは関越トンネルの中。これを抜けると新潟県。そうトンネルを抜けると、そこは雪国だった。すぐにSAに強制的に入れられる。ここから先はチェーン規制だって。前回のクリパでチェーン付けに慣れたせいか、わりとすんなりと付けることに成功。でも高速道路は雪が積っておらずに、ただ乗り心地が悪くなっただけだった。気がつけば他に走っている車なんて見当たらないし。たまに見かけるのは観光バスかトラック。雪国にわざわざチェーン付けてまでくる人は少ないらしい。

  エンドーからのメールによれば塩沢石打ICでおりるとのこと。トンネルから2つ目のICですぐだった。道路は雪。高速から外れたとたんに雪道と雪の壁になってしまった。さて宿はどこだ?「1つ目の信号を右に曲がって、橋を渡って最初の交差点を左で・・・」と、エンドーにしては詳しくメールしてくれた。が、バンに乗る人は誰もその情報を信じてなかった。自力でなんとかしなくては。4人とも運とカンを頼りに宿を目指す。「右カーブがあって、その先の歩道橋を過ぎてすぐ右折」と、偶然にも道がエンドーのメールどおりになってきた。一度は通り過ぎたが、ぐるっと回ってまた戻る。なんとか到着したベルビューニシウラは、心ときめくスキー場にピッタリのペンションだった。

  ちょっと強めの雪が降り出したが、13時過ぎにはゲレンデへ。酒匂となっちゃんはスキー、たらちゃんと私はスノボー、ってことになった。ほぼ1年ぶりに履くマイボードはなかなかの履き心地。でも滑りは・・・どうだろ。スキー初めてのなっちゃんには酒匂コーチがついた。私はたらちゃんにスノボーを教え・・・れたのか?最初のリフト、前でなっちゃんが転んだのを避けられずたらちゃんも転倒。リフトを止めてしまった。ごめん、まだ何も教えてなかったのだ。

  さて、今シーズン1本目。たらちゃんとなっちゃんを見つつ、自分たちも滑り具合を確かめる。う〜ん、たらちゃんに教えられるほど滑れるのか、ちょっと不安。でも、手取り足取り(?)教えつつ、まずは何とか下までおりてきた。で、今度はさらに上へ。スキーとスノボーに分かれて、それぞれ練習〜。酒匂コーチの教え方が上手いのか、なっちゃんのセンスがあるのか、随分上達が早かった。スノボーはというと、私の教え方も滑りもいまいちなため、たらちゃんと二人、雪まみれになっていた。

  雪を見て忘れていたが、昼飯を食べてなかった。夕食は18時とか言ってたけど、3時のおやつということで普通に食べてしまった。同じくほとんど忘れてかけていたが、後発の二人組。新幹線で18時くらいには着くらしい。宿に迎え等頼んであるそうで、ウチらは気にしなくていいとのこと。んじゃ、遠慮なくスノボーに集中〜。おやつの後はひたすら滑る。酒匂コーチの猛特訓に、なっちゃんは頑張っていたようだ。ウスイコーチは雪にまみれて可愛く見えるたらちゃんにメロメロ。みんなにも見せてあげたかったな〜、なんて。もうベタベタしっぱなしで・・・って、そんなわけないじゃないですか。ただ腕が足りなくて上手く教えられなかっただけ。あれでも頑張ったんだけど・・・。すまんね。

  料理いっぱいの夕食をみんな食べる食べる。で、食べてすぐにナイターへ。初日からとばしすぎ?いやいや。そんなことない。雪は小降りになり、人も減って、滑りやすそー。それにしてもナイターっていいねぇ。街の夜景は見えなかったけど、ライトアップされた雰囲気がサイコー。たらちゃんと二人でなんかデート気分。あくまで気分だから、つっこまないで。いいもん、そのうち彼女と(いないけど)来るから。ナイターのライトにつられて自分の滑りに酔ったりして。酒匂コーチはスキーうまし。なっちゃんもたらちゃんも一日でなんとかいい感じになったのでは?最後21時まで滑っていたのはウチらだったような気がする。

  宿に戻るとエンドーと石田さんが来ていた。ついに6人そろった。が、すでに滑りまくって疲れきっていたウチらはもうダウン寸前。風呂からあがった23時頃には眠くて・・・。風邪で死にそうな石田さんはともかく、エンドーは一人テンションが違った。ほとんど飲んでないはずなのに、一人酔っている。彼の中ではなぜか「改革」が起こっていた。まるで時代遅れのコンピュータのように、彼の思考はみんなについていってなかった。さすが♪

  今回は2月12〜14日という日程。バレンタインに重なっていたので多少の文句があったような・・・。ごめんなさい。私の都合で。で、この日の夜。「ちょっと早いけど」と、たらちゃんとなっちゃんからチョコをもらった。男性陣はみんな大喜びでした。ありがとー♪

  朝食は7時半。昨夜は2時くらいにお開きになったが、ウチらはすぐに寝なかった。耳元で「ゴゴゴオオオォー」と雪崩の効果音で、寝ている酒匂を起こしたり、エンドーの布団をはいだり。結局寝たのは4時くらい。みんな起きるわけがない。7時の目覚ましで奇跡的に起きたのは私だけ。ほっといて朝食へ。そのうちテーブルにちゃんと6人集まった。

  2日目もやる気満々。晴れらしいので、顔が日焼け止めで真っ白になるくらい塗ってしまった。帰ったら就活用の写真を撮るので、パンダ焼けは避けなくては。エンドーはスノボーで、石田さんはスキー。ちょうど3人ずつになった。が、リフトで問題発生。エンドーはグーフィーだった。座る場所を考えればよかった。お互いにぶつかりながらも転ばないようになんとかおりる。エンドーと私の間では、毎回のようにスクリーンプレーが繰り返された。ハードだ。

  エンドーもなかなかの滑り。たらちゃんも慣れてきたようであまり問題なさそう。私はくるくるとスピンの練習。ただ単に素速いスイッチの連続だけど、なんかいいかも。石田さんはやはり途中でダウン。っていうか、あの体調で滑ってることがすごい。ふと見ると、なっちゃんは・・・上手い。なんかスキー場の天気はころころ変わった。晴れ間もあれば、猛吹雪もある。が、常に雪が降ってくれるおかげで、滑り心地は良かった。事務所で工具を借りてボードの調整し直しなんてこともあった。「今の気温は−4℃だっぺ」とか聞こえてきて、それだけで寒くなった。

  様子見でエンドー、酒匂と3人で、上級コースへ。エンドーをはめるつもりが、かわいそうになってウチらも行くはめに。国体コースを視界ない吹雪の中、スノボー二人はズリ落ちてきた。まともに滑れず。酒匂はちょっとカッコつけてたんじゃないっすか?上手かった。滑り降りた先はいつも来ていたスキーハウス「キャビン」の目の前。懐かしい場所だったりする。スノボーであのジャイアントコースも制し、やっとそこそこ滑れるようになった気がする。

  夕食前のラスト1本、と思いきや「Excuse me.」と話しかけられる。「%)&'#("{+<@$*?」。な、何?英語じゃない?どうやら道がわからないらしい。地図でなんとか教えるが、果たして無事に帰れたかどうか。ちょっとした人助け。腹も減ったし、みんな気合いを入れて行く。が、ゲレンデで大の字になって倒れているエンドー。酒匂と二人で「さっさと起き上がれよ〜、ウチらの滑りを見せてやるから」とか文句ぶーぶー。でも、実はエンドー、転んだ瞬間に首がメシッとなったそうで。助けに来て欲しかったらしい。が、誰も行かなかった。みんな滑っていったことを確認して、最後に滑る。「どうよ?この滑りは。ちょっとカッコいいんじゃない?」とか思いながら、この日一番の滑り。みんな見てるし、カッコよくきめて〜とか雑念が入った瞬間に負けた。それまでの滑りを帳消しにする転倒。まっ、こんなもんか。

  昨日に続いて今日も食べてすぐにナイターへ。雪は止み、アイスバーンがライトを反射していい感じ。でも転んだら痛そう。あれ?うずくまっているのはたらちゃん。頭を抱えて涙目。どうやら頭を強打したらしい。「あ〜ん、よしよし、大丈夫?」と、やさしく肩を抱き、頭を撫でて・・・なんてホントにしたら、命なかった?実は私もさっき逆エッジで後頭部を痛打。ゴッチンって音が聞こえて星が散ってた。おそるべし、スノボー。

  初ナイターというエンドーはテンションが高い。そして、この日、彼はヒーローになった。ハーフパイプ。スノボーの華とも言えるそこに彼は突っ込んだ。その一部始終をリフトから見ていた。壁の上からスタートするところをパイプの底からスタート。最初の壁に上る前に転ぶ。リフトやゲレンデの上下からみんなの視線が彼に集まる。そのままパイプを蛇行しながら、側面を滑ることなく下へ。す、すごい。奴にしかできない。このハーフパイプデビューで、間違いなく彼はみんなのハートを掴んだ。やはり彼の中では「改革」が起こっていたらしい。

  街や他のスキー場のライトも見えて、なかなかの夜景が見られた。ナイターはガンガン滑るのもいいけど、のんびり雰囲気を楽しみながらでも十分に楽しかった。夜、滑り終わった後はぐったり。飲む体力さえもう残ってないです。1時に寝てしまうあたり相当な疲れ様。ウチらの部屋は和室だったけど、女の子の部屋は洋室で、ベッドにソファー、ベランダと、いいお部屋。先にベッドで寝てしまおうかくらい思ったり。

  3日目の朝、誰も起きられず。たらちゃんに起こされる。が、誰に起こされても眠いものは眠い。それに、か、からだが・・・。筋肉痛です。特に昨夜のナイターで痛めた首が・・・。エンドー、たらちゃんもやばいらしい。だいたい3日目の4人はかなり疲れ気味。滑りっぱなしだからねぇ。石田さんは病状悪化でダウン。エンドーのみテンション高し。それでも、この日もガンガン滑る。昨日見てて思ったが、エンドーコーチはウスイコーチより面倒見がよかったっぽい。

  みんなそれなりに滑れるようになったし、晴れ間を狙って頂上へ。林を抜けてくるメルヘンコースを滑る。ついよそ見をしたらコースアウト。新雪にはまり大変なことになった。なんとか助けを借りて脱出できたが、スノボー一人ではまったらやばそう。メルヘンな何かが見えたのでついコースを外れてしまった。晴れたのもわずかな時間のみ。猛吹雪に襲われ、一時避難せざるをえない状況にもなった。逃げ込んだ休憩所が閉まっていたのはまいったが。初日から気になっていたクレープもやっとおやつに食べられた。おいし〜。

  さて、みんなの滑りはいかが?驚いたのはなっちゃん。三日でパラレルまで出来るようになってしまった。本人のセンスも酒匂コーチも良かったのか。なんかすごい。風邪で本調子でない石田さんより上手く見えた。昨夜ヒーローになったエンドーはスピンも身につけ、蛙跳びも完璧。黄緑のウェアが似合っていた。おニューの板でモーグルバーンにささった酒匂だったが、やはり使い心地はいいらしい。スキー靴でスノボーまで滑って、うまさを見せつけてくれた。片方のターンが苦手とか頭を強打とか、苦労したたらちゃんだが、なんだかんだ言いつつも気がつけば滑れるようになっていた。スノボーは優秀なコーチがいなかったのがイタイ。私?くるくる回るのを身につけただけでも十分満足。ボードにもやっと慣れてきた感じ。それにしても、みんな2,3日でボロボロになった。

  風呂から上がって18時過ぎ。バンの上にグライダー10機分くらい積もっていた雪も、少しは減っていたような気がする。埋もれていたワセバンを脱出させ、ベルビューニシウラにバイバイ。なかなか良い宿だった。また来ようっと。帰り道も雪、しかもまた大粒の雪が降り出した。前がろくに見えないし、だいたい道路がよくわからん。高速までの道で事故車発見。雪に半面突っ込んだみたい。高速に入ってからは比較的問題なし。チェーン規制はあいかわらずで、SA通過時に係員にあからさまに怪しげな目で見られた。3日間で積もりに積もった雪を載せたあのバンじゃ、ねぇ・・・。他の車はこんなに雪載っけてないし・・・。

  関越トンネルの手前でチェーンを外す。が、付けるときよりも苦戦。雪と寒さでまいりました。トンネルを抜けた先の赤城高原SAで夕食。腹減りと寒さに、ラーメンとチャーハンはとてもおいしかった。で、私はここで体力の限界。ここから先は後部座席でダウン。高速道路はほとんど車が走ってなかった。そういえばSAのレストランも全然人がいなかった。次に目が覚めたのは三芳SA。さっきまで雪の中にいたのに、今はもっと寒く感じる。ううう、さむっ・・・。ねむっ・・・。

  フルに3日間を楽しんで、みんなを家に送ったときには日付が変わっていた。最後はたらちゃん、エンドーと3人で人里離れた道で迷い、妖しげな森の入口に行きつくという、アクシデントつき。怖がるたらちゃんに、ウチらはつられてちょっとこわい思い(?)をした。スノボーの余韻に浸り、なんか楽しい気分。思い出とともに持ち帰った雪は、バンの上にたっぷり。いまだにグライダー6機分くらいの雪が積もっていた。

おしまい

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