ツール・ド・伊豆半島

〜2007年 旅の軌跡 伊豆編5〜


【旅のミチシルベ】
◆目的地・・・熱海スタート、沼津ゴール。伊豆半島先端石廊崎。
◆やりたいこと・・・ツール・ド・伊豆。伊豆半島一周、自転車の旅。
◆泊まるとこ・・・ぬくもりの宿 石廊館。
◆温泉・・・下加茂温泉。堂ヶ島、沢田公園露天風呂。

【旅の軌跡】

4月28日

  昨夜までの雨はあがり、大連休最初の週末の天気は快晴。沼津駅前に車を置き、電車で熱海へ。1本乗り遅れて、8時半待ち合わせに20分遅刻。9時、駅前の足湯のオープンとともに、伊豆半島を時計回りに一周するツール・ド・伊豆半島が始まった。

  一日目、熱海〜石廊崎100km、2日目、石廊崎〜沼津100kmで合計200kmのツール。連休初日ってのもあってテンション↑。が、ここに落とし穴。スタートから3分、最初の下り坂でまさかの転倒。雨上がりの濡れた路面、カーブで白線に乗って滑ってしまった。体よりもまず「自転車は大丈夫?!」とか思ったり。なかなか痛いものの、自転車のダメージはほとんどなく、ツールは続けられそうだ。ふぅ〜冷や汗かいたぜ。出だしからつまづいたが、海沿いの道路は快適。MTBで青ジャージの越前守&ロードで赤ジャージの私。ジャージ的に今回のチームは“パールイ○ミ・ラブウイング・スペシャライ○ド”ってとこか。各チームから文句が出そうな名前だな。気分だけでもノっていこうか。

  序盤から登り坂、そしてトンネルの連続と伊豆半島の厳しさが襲い掛かる。長いトンネルを抜けると、後続の越前守が来ない?!しばらく待つと自転車から降りて歩いて出てきた。パンク?!ロードよりも先にMTBがパンクするとは・・・。スタートからまだ30分。見事な遅れっぷり。傷の手当てと自転車の修理でちょうどいい仕切り直しになったな。

  せっかくの自転車。車では行かない道を走ることにする。トンネルを通らずに旧道へ。しかも閉鎖された荒れた道。海を見下ろす静かな道路は不気味さ満点。さらにその先のトンネルは何か出そうな雰囲気。出口はガードレールで封鎖されており、自転車を担いでまたぐ。見えないものが見えた気がする。メインの国道を迂回しても基本的にはまた元の道に戻れるらしい。

  さて快適に走り出したツール。国道よりも海沿いの道を、メインストリートよりも旧街道を。そんなテーマで走る。渋滞する国道を外れると、いつの間にやら伊豆高原の別荘地。800坪800万円の土地、みんなで買ってみない?開拓しようぜ。アップダウンが激しいながらも静かな道。豪華な別荘と石の建物、海を見下ろす道はまるでヨーロッパのツールだ。そんな妄想に浸る。

  そろそろお腹が減ってきた。北川手前、磯の湯付近でパンク中に抜かれたロード1台を抜き返す。やっと追いついた。露天風呂を見下ろすが営業時間外で誰も入っていない。北川の黒根岩風呂。波打ち際にある混浴の露天風呂。気持ちいいんだよ。長旅じゃなければ寄りたいところだ。そのまま海岸沿いを行くが、漁港に突き当たって坂を登らされる。伊豆急北川駅までの超急坂。MTBはひっくり返りそうになってた。先に登って駅前で待つ。越前守が来たところでここも行き止まりであることを告げる。そんなもんだ。国道はもう一つ向こう側の坂ね。

  国道沿いにはなかなかいい店が見つからず。熱川を越えてしまい、腹減りが限界になったところで「地魚料理磯亭」へ。まっぷるにも載ってる有名店。伊豆の海の幸をたっぷりと食べる。すでにけっこう走ったが、雲行きが怪しくなってきた。食後30分足らずで雨の気配。屋根つきのバス停に逃げ込んだら、一気にドシャ降りになった・・・。身動きとれず。寒い。とりあえず宿に電話、「チェックイン、遅れます」。30分待っても風雨が弱まる気配はなく、諦めて雨具を装備。雨の中、再び走り出した。台風みたいなんですが・・・。

  チェックイン予定時間から遅れること10分。夕食には間に合った下加茂温泉、ぬくもりの宿、石廊館。ゴール前3kmのスプリントで越前守を振り切って、走行距離以上に疲労感と達成感の残る初日を終えた。無事に辿り着いてよかった。ってのが正直な感想。受付のおじさん、自転車で来たことに驚いていた。当然だな。

  二人には広すぎる12畳の和室、下流の間。なにぃ、ウチらは下流か・・・。荷物をめいいっぱいに散らかしたまま、まずは温泉へ。ジャージを脱いでびっくり。衣類は破けてないのに、中の体は傷だらけ。確かに走ってて痛みはあったけどね。源泉そのまま、傷に沁み過ぎる。効能には擦り傷・切り傷も。怪我を癒すためにもたっぷりと浸かる。傷口から泡が出てきそうな勢いで沁みた・・・。露天風呂は本日は寒いため使用不可。源泉を温めなおさないため、寒い日は入れないんだってさ。寝風呂で寝てた。

  腹減り限界の18時半に夕食。海の幸がすごく美味い。今日の消耗した体力を物語るエネルギーの補給っぷり。お替わり4杯ずつ、おひつのご飯も残さず完食。幸せなひとときだ。それでも別腹のデザートを求めてコンビニへ。ケーキと紅茶とお菓子で、補給しすぎ?!気がつけば、ぐったりと眠ってましたとさ。

4月29日

  朝から温泉を満喫。早寝早起きの健康な生活だ。温泉はあいかわらず傷に沁みるも、一日でなかなかの回復ぶり。効能あり?!朝飯をがっつり食って、エネルギーチャージ。さあ今日も行こうか。旅館を出るときに家族連れに「がんばって!」と。ツール二日目、今日は朝から快晴だ。

  下加茂温泉にさらば。伊豆半島先端、石廊崎を目指して今日はさらに南下する。里山の風景に新緑が映え、青い海と潮の香りを横目に海岸線を快適にサイクリング。弓ヶ浜を向こうに、手前の港では朝から釣りをする人がいっぱい。バス停に「下流」の文字を発見、上にふりがなで「したる」。ウチらは下流扱いされたわけではなかったか。でも知らない人は「下流の間」で下流扱いされたと思ったままだぞ、多分。

   石廊崎まで10km、30分程度。駐車場から激坂を登って灯台、さらには先端まで行く道。自転車は通行禁止?駐車場のおばさん、「行けるなら行っていいよ」。なら遠慮なく。観光客に迷惑をかけないように、激坂をゆっくり登る。ハードだ。そして自転車をできるかぎり先端まで連れて行く。海の青さが別世界。ここまで来れば伊豆半島も南の国だな。石廊崎の先端で越前守、おみくじを引く。大吉。いい旅の予感がするぜ。

  伊豆半島の西側は絶壁と絶好のロケーションの繰り返し。ということは道路も激しくアップダウン。秘境というには相応しい景観を楽しみつつ、たまにすれ違う自転車乗りに仲間意識を持ったりして。南伊豆町にさらば。松崎町で雲見の青すぎる海を見下ろす。平六地蔵露天風呂を様子見、堂ヶ島へ入る。お昼よりも先に沢田公園露天風呂の看板が。越前守、このためにここまで走ってきたと言っても過言ではない。西伊豆の隠れ温泉、断崖絶壁の上にある随一のロケーション。5人も入ればいっぱいの風呂。でも、みんなが居なくなるまでくつろぐ。最高。男湯、外から丸見えだけど、この青い海を前にしたら、そんなのはちっぽけなことだ。女湯はがっちりガードされてるけど。夕暮れ時にはめっちゃ混みそうだな。定員、がんばっても6人か。

  今日もお昼を食べ損なって腹減りが限界になってきた。国道のトンネルを避け、田子港へと下りていく。車だったらまず通らないような町で、「お食事処よこ田」へ。知る人ぞ知る人気店、っぽい。リーズナブルに今日も海の幸を大量摂取。美味い♪ここまで60kmくらい。のんびりしつつ、いい感じのペースじゃない?食後に越前守のMTBと自転車を交換する。まあ最後までこのまま行くことになったわけだが、MTBでの登り坂はハードだ。しかも想像以上にきつい。ロード、乗り心地は最高でしょ。改めて愛車の素晴らしさを実感した。

  西伊豆NO.1人気スポット、恋人岬。うじゃうじゃいたよ、カップルばかり。伊豆半島で一番混んでいた。ウチらには次の旅人岬の方が似合ってるぜ。なんて思いつつ、実はけっこう急ぎ気味?いやペースはそんなに上がらないんだけどね、日没が迫ってたりするんだよ。寄り道しすぎたか、意外に長い西伊豆の道。土肥を通過したあたりでいよいよやばい気がしてきた。MTBで峠越えに苦戦してるとはいえ、それでも遠いって。戸田が「へた」だと思ってたら実は「へだ」。ここでの休憩を最後に一路ゴールを目指すか。

  そんな中、煌きの丘から見る夕日があまりにきれいなので、立ち止まる。あの太陽が沈むまでがタイムリミットだね。なんて言ってる間にみるみる沈んでいく太陽。日没の瞬間に多くの人が立ち尽くしていた。そして我に返るウチら。さあ夕闇の中を進もうか。西伊豆で一番開発されてない地域と言っても過言ではない戸田〜大瀬崎間。舗装されているとはいえ、道路のワインディングっぷりが激しい。しかも日没から30分もすれば真っ暗。たまに通る車のライトがありがたいくらいだ。

  昨年夏に来た大瀬崎を通過。ゴールの沼津はまだ海の向こう側。すでに100km超えてるんだけど、まだまだ走らなきゃならない?!わずかなライトを頼りに夜の海岸線をムーンライトライド。街灯も民家も無い道を照らす月明かりは、かなり明るい。まさかこんな時間になるとは考えもしなかったが。休むこともなく、ひたすら沼津を目指す。夕食の漁港へ着いたときにはすでに130km。20時半を過ぎて、店も閉まり始めていた。滑り込んで食べるツール・ド・伊豆、最後の晩餐。さくらえびとしらすの刺身は駿河ならでは。チャリジャージでの入店も、もうみんな慣れたのか反応しなくなった。いや、ウチらが反応になれただけか。堂々と「自転車乗りですが、何か?」的なオーラを身につけた。

  満腹で迎えるフィナーレは沼津駅へと続くラスト3km。ツールのゴールは駅前のロータリー。こんな時間になるなんて・・・半分くらい予想してたよ。21時半、越前守のムーンライト伝説、ここに完結。じゃなかった、ツール・ド・伊豆半島、何とか無事にゴール☆夜の駅前でチャリジャージが無駄に目立ってましたとさ。

  総走行距離約200km、伊豆半島一周に不足分30km程度。ん?不足分?初日の「台風みたいなんですが・・・。」の続き。→ → →伊豆稲取駅まで何とか走るも走行不可能と判断。伊豆急で下田までショートカットする。下田まで行けば残り20kmもない。大雨でも何とかたどり着けるはず。電車の選択は正解。駅構内での自転車はみんなの注目を集めたが、下田に着くころには雨も止んでいた。サイクリストにはみんな声をかけてくる。なかなか気持ちいいもんだよ、自分らが主役になった気分だ。下田で「もう少しだよ、気をつけてな」と。ありがとう。走れなかった伊豆稲取〜下田間は、いつかまた走りに来るよ。そう心に誓って、下田をあとにした。→ → →まあそういうことです。さあ帰ろうか。GWが待ってるぜ。

おしまい

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