危険いっぱい剱岳

〜2008年 旅の軌跡 北アルプス編9〜


【旅のミチシルベ】
◆日程・・・9月21〜23日。
◆目的・・・立山黒部アルペンルート観光、剱岳登頂。
◆コース・・・扇沢〜室堂〜雷鳥沢〜剱御前小舎〜剣山荘〜剱岳〜剣山荘〜剱沢小屋〜剱御前小舎〜室堂〜扇沢。
◆宿・温泉・・・剣山荘二食付き9000円、剱沢小屋素泊まり6000円。

【旅の軌跡】(ツアーノートより)

9月21日

  朝の天気、雨?!とりあえず扇沢へ行く。すきやの牛丼豚丼が朝食だ。扇沢では微妙な天気に迷う。ダイヤと相談してGO。30分に1本はトロリーバスがあり、いちおう室堂までは行けるから。扇沢〜室堂、往復8800円。高いか安いかはあなた次第。

立山黒部アルペンルートの駅と交通手段はこんな感じ。扇沢−(関電トロリーバス)−黒部ダム−(徒歩)−黒部湖−(黒部ケーブルカー)−黒部平−(立山ロープウェイ)−大観峰−(立山トンネルトロリーバス)−室堂。乗り継ぎに次ぐ乗り継ぎです。

  ロープウェイ以外は景色が楽しめず。しかも今日は天気もいまいちで全く見えず。黒部ダムの谷で見た雲がかかった山々が仙人でもいそうな秘境っぽくてよかったかも。室堂着10時ちょっと前。さて行きますか。

  雨の中、地獄谷、雷鳥沢経由で剱御前小舎へ。スタートからレインコート装備。それにしても寒い。地獄谷は硫黄の香りが立ち込めていた。雲がたまり、火山ガスも溜まってる感じだった。雷鳥沢を抜ける頃には雨は止んだ。けど、降ったり止んだりの繰り返し。それでも振り返れば室堂までの雄大な景色が広がっていた。

  別山乗越には剱御前小舎。ちょうど雲がかかるのがこの高さ。ここからは直接剣山荘をめざす。剱沢小屋経由よりも10分早く着くっていうから。一気に下る。岩場で歩きにくい。雷鳥がいた。三羽。鳴いていた。ウシガエルの鳴き声みたい。雲で視界がわるいから逃げ損なったか?人が近づいても逃げない。

  何とか剣山荘に到着。1泊2食1人9000円。去年までは8000円。原油高騰の影響がこんなところにも・・・。シャワーあり。驚いた。きれいだし。収容人数200人でかい。

  人気のある山で収容人数も多いとなかなか他の人と仲良くってわけにはいかないようだ。単独や少数のパーティーの人が多いとその人同士で話す機会もあるんだけど、大人数だとパーティー内で話ちゃうし、人気の山だと山素人も多いし。まあ二人でいる分にはいいけどね。ただ大部屋だといろんな客がいるね。しゃべり声がうるさい。いびきがうるさい。荷物整理がうるさい。いるだけでうざい。みたいな。中高年に今さら団体生活をしろっていうのが無茶か。でもここまで来るんだから、中高年も元気なもんだ。どうせ歳とるなら、これくらいの元気は持ちたいね。

18:53 剣山荘2F Room雄山 Bed#510にて

  剱岳&立山ツアーは台風13号のせいで中止に。とゆーより元々まさとしゃーんしか居なかったんだけど。天気予報では曇りときどき晴れだったので、土曜夜発→火曜日帰りでうっちゃんと二人で来ちゃいました。

  さいたま出発23:00、早くも関越で雨が降り始める。しかも途中かなりの大雨。先が思いやられる。どこかのPA?でドライバー交代。うん二人運転できるといいっすよね。長野、雨。高速おりてからも雨。超何もない山道をえんえんと走り、町のコンビニを探すが見あたらず。24hのジャスコ発見!ちなみに24h営業は本日(20日)最終日。危ない危ない。3:00〜6:00まで車中泊。起きたらドシャ降りの雨。すきやの豚丼をテイクアウトして、とりあえず扇沢まで行ってみる。室堂は雨と知りつつ、せっかくここまで来たので・・・と登るハメに。誰だよー“どうせ雨なら登んないよ”って言ったの。そのせいで100円のカッパしか持ってないのに。“やっぱり与野イオンでカッパ買うべきだった”とあと300回くらい思うんだろうなあ。

  扇沢からは、トロリーバス→ケーブルカー→ロープウェイ→トロリーバスと4回も乗り換えてようやく富山県の室堂に。ちなみに往復8800円+荷物代400円。トロリーバスって今じゃ日本でここだけなんだってさ。初めて乗ったよ。そーいや黒部ダムまではずいぶんたくさんの中国人がいたけど、わざわざこんなとこまで来るなんて物好きね。九さい湖?の方が多分きれいなのに。見たことないけど。

  室堂からは雨の中、登山。ビニールガッパとシャカシャカジャージという格好。恥ずかしいね。それよりもテンション−350点だけど。雨の中、何が楽しくて山なんか登んのさ!景色もいまいちだし、れでぃすでい二日目だし、何もいいことないんだけど。まあ途中から雨も止んで楽しくなってきたけどさあ。やっぱあのかわいいピンクのカッパを買うべきだったな。きっとそれがあれば、雨も楽しめたはず・・・。うすいのバカ。

  剣山荘に向かう途中で大きな雷鳥を見た。しかも超近いのに逃げず。しかも鳴いてるーウシガエルみたい!後姿がフサフサでかわいかった。ブー仔を思い出した。今頃ブー仔は何してんのかな。ご飯ひっくり返して困ってるんだろうなあ。ブー仔かわいいよなあ。ねえ。うっちゃん。

  剣山荘到着15:00。予定通り。予想以上に超豪華な山小屋でびっくり。シャワーあるし、トイレ水洗だし、ロフトベッドだし!一部屋32人収容。7席くらい空いてた。疲れと頭痛で早々に寝る。ご飯は17:00。うまし。次の朝食が5:00。12時間もあるのでがっつりいただいておく。そーいや部屋にうるさいおばさんがいてめーわくだった。うっちゃんが静かにするように言った。Goodjob。ご飯をたらふく食べたらおやすむムード。ってか30分くらい話した後、うっちゃん寝てしまう。ピクピクしたり、今は暑いみたいでふとんをはいだ。最近うっちゃんは私のこと好きじゃなさそうなので、別れたいか聞いてみた。“別に”との回答。あ、服を脱いで歯ぎしりをした。

  あいかわらず細い目だ。でも視力がいいてから羨ましいよなー。昨日マークンとミチコの赤ちゃんをみたら鼻がマークンに似ていた。かわいかった。もしいつか私に赤ちゃんが生まれたらきっと目がちっちゃいんだろーなあと思う。二人とも目が細いから絶対目が大きくないと思う。残念だ。それにしてもみんな早くに寝てるよなー。18:30に寝るなんて!普段ならよーやく定時になった頃なのに。全く山とは恐いモノです。明日も雨らしい。うーん、いやだなあ。(byかずえ)

  夕食はまあ普通の山小屋の食事だ。特に良くもなくわるくもなく。おかわりしてたっぷり食べる。腹が満たされた食後は部屋でぐったり。寝不足だったこともあり早めの就寝。この天気じゃあ星空も期待できない。明日は何とか天気が回復しますように。

9月22日

  4時起床。がんばってだらだらするが早朝発組はすでに荷物の準備。ざわついてて眠れず。いやたっぷり寝たから寝飽きたにちがいない。5時半の朝食が待ち遠しかった。

  剣山荘の出発は小雨の中。昼頃には天気が良くなる予報を信じて遅めの出発。一服剱までの登り、岩ごつごつごろごろしてて歩きにくい。とにかく登る。雨は降ってるような、止んでるような・・・。

  一服剱から下り、また登る。今度はさっきよりもさらに険しい。雨が止んでくれたのが唯一の救いか。登山ルートもあいまいで、集中してないとかなりやばい。どこでも登れてしまうが、正しいルートとそうでないルートでやっぱり危険度が違うし、何よりただでさえ危険なこのルート。最も安全な道を行かねば。天気のせいもあるが、コースタイム程度の時間でクリアしてるものの、神経を使うせいで、何か疲れる気がする。集中、集中。

  前剱でひと休み、あとは頂上へのアタックを残すのみ。天気こそ好転したが、悪路なことは変わらず。鎖場を抜け、滑りそうな斜面を安全第一(そんなのあるのか・・・)で通過。いよいよメインのカニの縦ばいへ。想像以上の難ルートだった。よくクリアしたよ。かずえ見事なり。とはいってもここを通っていく中高年のおばさんおじさんがいるってのが驚きだ。ガイド付きの人がいるのも納得。

10:33 剱岳登頂。雲と雨の中、頂上まで来てしまった。おどろき&うれしい登頂。2,30人の先客。よくもまああのルートをみんなここまで来たなあ。青い空が見えたり、白馬方面が晴れたりしたので、しばらく頂上で景色がよくなるのを待つ。が、残念ながらすっきり晴れず。あきらめて下山。帰りも大変だ。

  行きに通過したカニの縦ばいに対し、下山ルートはカニの横ばい。前を行く一行が苦戦している様子を見て心の準備。横ばい、マジやばい。他にも鎖場の連続で緊張感のあるルートだった。往復が同じ道になるまでは、復路といえども苦戦した。道を外した兄ちゃんの落石を足にくらい出血。避けた方向に石が転がってきた。余裕で避けたと思って油断した。これで気を引き締めなおす。無事に帰ってこその登山です。

  帰り、前剱からの下り、鞍部で一服剱を前に、この山、初の晴れ。雲が一気に無くなり、絶景が姿を現した。一服剱で、来た道を振り返り愕然・・・。とんでもない登り斜面を目にする。これを見てたら登頂ができなかったかも・・・。剣山荘に預けた荷物を背負い、40分程度歩いて、遠くに見える剣沢小屋へ向かう。かずえの体調がいまいちらしい。

15:35 剱沢小屋に到着。テント泊の予定だったが、かずえの体調を考慮し山小屋泊に変える。素泊まり6000円。11号室です。部屋に入るなり、かずえ、ダウン。本人の希望により、診療所に薬をもらいに行ったら大ごとになった。診療所から若い兄ちゃんが来て診察。ていうか事情聴取された。部屋に酸素吸入機を持ち込んで、梅干とお茶をもらってちょー病人。指先だけで測る血圧計(?)みたいなやつで血中酸素濃度を測定。酸素少なめで高山病との判定。他の客がびびるくらいの事態です。いや、私もびびるし。てか恥ずかしい・・・。「水分の摂取不足と疲労が一番の原因でしょう」とのこと。水、飲まないんだから仕方ない。診療所の人が言う量には私も足りてないが、今までの経験上、山岳に強い体質だからなんだろうなあ。

  酸素吸入して休んだらかずえも少しは復活。ヘリで下山か、なんて話まで出て焦る。富山県警なので、富山県側の病院に連れていかれるらしい。費用はかからないから、とは言っていたが、費用の問題じゃなく、なんかいろいろ問題がある気がする。とりあえす落ち着いたので、ヘリは無しになった。一人で夕食かと思いきや、かずえも多少食べた。夕食は食堂で自炊。ラーメン(辛いのと海鮮のもの)、餅、野菜たっぷり味噌汁。コンロ使ってなべ大活躍。隣の自炊組がサラミをくれた。山で食えば何だって美味い。

  夜、満天の星空。天の川も見えた。山小屋の明かりが消えたらもっときれいに違いない。北斗七星しか見つけられなかったけど。20時過ぎ就寝。この部屋の人はみんな早寝か。ていうか病人がいる部屋では騒げないか・・・。おやすみ。

9月23日

  夜、寝ると体の機能が落ちて高山病とかになりやすいのはヒマラヤで経験していたが、まさかここでかずえがまた悪化するとは・・・。油断したかも。夜中から苦しんでいたようだが、朝になって悪化してさらにひどい状況に・・・。朝一から酸素吸入です。たまたま同室の人がプロのガイドで、無線で近くの山岳警備隊と連絡を取り、いろいろ手配してくれたおかげでどうにか下山できそうな感じに・・・。まあかずえ次第でどうなるかわかんないけど。プロガイドのK藤さん、ありがとうございました。

  8時過ぎ、今日下山予定の山岳警備隊のY浅さんが一緒に下山してくれるとのこと。さらにプロガイドの方に携帯の酸素を借り、何とかかずえの体調が落ち着いたので自力で下山することになった。荷物は私が二人分背負って。天気がよくなったのがせめてもの救いか。この景色をのんびり見ながら歩けないところが残念だ。

  休み休み歩いてなんとか酸素を使わずに室堂まで戻ってきた。剱御前小屋でY浅さんが助っ人を要請するも他のとこで滑落事故があったとかで人手は割けないとのこと。二人分の荷物を下山も頑張った。しばらく下ったところでY浅さんが荷物持ちを代わってくれた。あまりの歩きづらさに見かねたのだろう。同時に助っ人も再度要請。手が空いたので、来てくれるとのこと。雷鳥沢まであと20分くらいのところで助っ人登場。Y浅さんも一息。あとは頑張って帰るのみ。一人で歩けるだけまだマシとな。

  12時ちょっと前、無事に室堂へ着いた。山岳警察の派出所(?)へ行き、お茶と薬をもらう。本当に助かった。ありがとうございました。特に何も書いたりとかもなくさらば。12:15のトロリーバスがあると教えてくれた。ホッと一息。かずえもゴールが見えて、明らかに生き返った。

  トロリーバスに乗ったら爆睡。疲れた・・・。ロープウェーで黒部平まで降りたら、かずえも復活した。完全に高山病だったっぽい。帰りは乗換えごろに駅でスタンプラリー。このノートの山小屋スタンプ以外は全て帰り道で押したやつだ。

  黒部湖でお昼。緑色のコケの入った?!黒部湖ラーメンを食べる。うまかった。ここまで戻ってきてホッとした。最後のトロリーバスでザック代を余分に取られたが、仕方ない。かずえの分がかなり私の方に移ったし・・・。

  バス内で私の足に落石を当てた兄ちゃんに会った。帰り途中の山小屋で一杯やってたそうだ。わるい奴じゃなかったので許してやるか。落石おそるべし。扇沢に戻ってきたら、下界に帰ってきたことを実感。いや〜大変だった。でも、無事でよかった。次は立山に行こうか。

おしまい

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