早稲田杯2000

〜2000年 サークル旅行記 信濃平編2〜


  この物語はフィクションであり、実在の人名、団体名等とはなんとなく関係ありません。それでも何か言いたいひとは言ってください。いろいろ配慮が足りない部分を書き直しますので。私の視点からの早稲田杯はこんな感じでした。それではどうぞ。

  ワセダカップ、それは早稲田☆ハング・パラグライダークラブの現役・OBによる学内の大会。物語は出発日の夜から始まる。集合時間より2時間以上前に突然の電話で、緊急事態の発生が告げられた。ワセバン(サークルの車)出動不可能により、うちの車を出してくれとのこと。もともと何が壊れてもおかしくない状態だった車だけに、故障発生だと思っていた。「東伏見の駐車場まで迎えに来て〜」と言われ、ソアラ(うちの車)出動。が、こちらも問題あり。ガソリンがほとんどない。すでに10L以下になっており、警告のランプが点灯。休日の10時過ぎということと、走っている道が住宅街を通っているせいで、開いているガソリンスタンドがなかなか見つからない。メーターでは残り4L。焦り始める頃に発見、一安心。はやしさんとしもへーさんを迎えに行くまでに、こんなピンチがあったのである。

  今度は駐車場。一度行ったことがあったが、ほとんど憶えていない。はやしさんに電話で指示されるが、予定とは違う道に行ってしまい、道が全然わからなくなる。それでも手元の地図を見ながら適当に走っていると、東伏見駅の近くまで来た。赤信号で停まっていると、そこはなんとなく見覚えのある交差点。迷わず左折。運がよいことに目的地に到着。自分でも驚いた。でも、もっと驚いたのはワセバンのなれの果て。左フロントがグシャ。これはいったい?!何が起こったかは置いといて、ドライバーが無事だったので安心した。駐車場を出てすぐに事故ったらしい。記念にワセバンと写真を撮った。とりあえずこれから信濃平に行かねばならないので、車からは必要そうなものだけを取り出す。荷物をいろいろ載せかえるが、狭いトランクには荷物が入りきらずに、後部座席の半分は荷物で埋まった。事故発生からずっとここにいたということで、はやしさん宅に荷物を取りに戻り、コンビニでおやつを買って、やっと出発。11月4日の午前1時のことである。

  春に新歓合宿で行った信濃平に向かって深夜の高速を爆走・・・ではなく安全運転。関越自動車道の上里SAまであっという間に着いた。ここで運転交代。分岐点で道を間違えないように確認して、しもへーさんに任せた。上里SAを出てすぐの藤岡JCTで間違えるわけがないと思っていたが、甘かった。ちゃんと間違えた人がいた。上信越自動車道に入ってからは、雨や霧に遭うこともなく至って順調。春には対面通行だったトンネルも、いくつかは工事が終わって道幅が広くなっていた。上里SAでの情報によると崖崩れの復旧作業が行われている場所があるとのことだった。かなりの幅にわたって上り車線側の崖が崩れたあとがあったので、そこのことだったのだろう。新歓のときにバンが道を間違えてくれた分岐点、更埴JCTを通過。その時のドライバー2人が、今いっしょに乗っている。おりる予定の豊田飯山IC手前の小布施PAで休憩。ここまで来ればもうすぐ到着のはず。日の出よりは先に着けそうなので、ちょっとほっとした。でも、豊田飯山ICでは、「おはようございます」とあいさつされた。こっちはこれから眠ろうというのに・・・。

  高速を出て、最初のコンビニに寄った。新歓合宿のときも寄った場所である。すると見覚えのあるスターレット(杉山カー)を発見。なんとか追いついたらしい。が、高木の車がない。抜いた覚えはない。どうした?なんと藤岡JCTで道を間違えたらしい。そのまま新潟まで行って別ルートから来るとか。コンビニで買物してのんびりしていると、グロリア(高木カー)が到着。道を間違えたわりには、どこか余裕たっぷりの表情だったような気がする。まあ3台が無事にそろって、いっしょに着いたのでよかったのでは。何が?ってなんとなく。泉荘(泊まった宿)に着いたのは朝5時過ぎ。寝たか寝ないかわからないうちに朝食の時間に。そして、そのまま大会の開会式へとなってしまった。

  大会は選手と助っ人のペアが、「天使」と「悪魔」の2チームに分かれての対戦形式。私は天使チーム。競技方法は、セットタイムかターゲットのどちらかとボーナスパイロン、それに爆弾落とし。開会式では選手とその助っ人が紹介された。私がペアを組んだのは鈴村さん。とてもきれいな人で、目が合った瞬間ドキッとした。・・・。ロシアからの亡命者だとか。前年度優勝の岩崎さんは助っ人が女の子だとわかると、とてもやる気が出てきたらしい。フライト順を決めたら、いよいよ競技開始。助っ人ながらワクワクしてきた。場所は変わってランディング。田んぼの一区画がランディングになっているのだが、この時期には田んぼの水は抜いてあるので、春の新歓のときみたいに水没する心配はなさそうだ。適当に大会本部らしきテーブルをセット。あとは飛んでくるのを待つだけ。

  最初に飛んだのは、はやしさん。どんな飛びを見せてくれるのかな〜と、みんなで空を見上げる。ランディングが近づいてくると、上空で変な声がした。爆弾を落としたらしいが、いったいどこに?!本人はあの変な声を出したときに投げたというが、助っ人の岡田がそこら中探し回るが結局見つからず。得点ボーナスパイロンの10点。続くしもへーさんの爆弾も全く見えず。爆弾は見つかったが点数にならず。同じく10点。続いて高木。腹黒さ丸出しの低高度からの爆弾落としで、狙い的中。しかし、ランディング失敗。危険行為と見なされ、失格・・・。のんびり見ていたかったが、仕事も多少あって、宿まで車で行ったり来たり。ペアの鈴村さんが飛んでいるのは、車から見ることになってしまった。運転の都合上、集中して見ているわけにもいかない。しかし、爆弾を投げたのが全くわからない。下りてきた鈴村さんは一言「ごめん、爆弾投げ忘れた」。力が抜けた。

  ランディングにいたのは、この辺まで。この後はお昼のキノコ汁とおにぎりを持ってテイクオフに上がった。上からの眺めはすばらしい。しかし、ここからパラのテイクオフは難しそう。春に来たときはこれが当たり前だと思っていたが、足尾に比べるとキツすぎ。ほとんど崖へのダイブである。大会初日、大会関係者以外でスタ沈(テイクオフ失敗)があったが、何とか無事に終わった。早稲田☆ハング、期待の現役フライヤー3人の1日目は・・・。2日目に期待しよう。

  夕食までの空き時間は箱山温泉に行った。はやしさんのナビで、道に迷うことが予想されたが奇跡的に一発で着いた。辺境の地にあったが、露天風呂のある良い場所だった。あ〜気持ちよかった。そういえば更衣室で誰かさん(3女)に覗かれた。宿に戻ると夕食。そして、2年生3人でこっそり芸出しの練習をしていると、飲み会の時間になってしまったのである。飲み会では、幹部交代が行われた。私は会計の杉山さんから、赤字とともにその役を継承した。新幹事長には当然のことながら高木が、マネージャーには岡田が就任。不在の似内に代わって高橋さんが新副幹事長に就任(?!)した。幹事長にはパンツ交換という継承の儀式があった。しもへーさん、高木とも喜んで交換していた・・・ような気がする。

  さて、問題の芸出し。芸仕込みのために合宿を行ったとうわさされる加藤工藤の1年女子2人は、いきなりセーラー服にやまんばメイクで現われた。制服姿のサービスにみんな喜んだ。2人のパラパラは見事だった。「あたしたち、ホントにコギャルじゃーありませんよ!」と言っていたが、どうであろうか・・・。続く1年男子4人、部費を払わぬ奴が「大ピンチ〜」。残りの3人が「レ!」「イ!」「ク!」。生蛙を食べたことも含めてさすがでした。ここから先には触れたくないが、岡田の貝、高木の「ちょっとだけよ」「サービス!」にもみんな喜んでいた。あれがホントに私だったのか・・・思い出したくない白鳥も舞っていた。みんなよくがんばったよ。私も自分で自分を褒めたい・・・。宴会の途中、ふと散歩に出たときのこと。夜空を見上げると無数の星が輝いていた。流れ星が2つ。願い事をする間もなく、消えていった。

  何時に寝たか憶えていないが、とにかく朝は眠かった。食堂に行ったときにはまだ誰もいなかった。深夜に及ぶ飲み会でみんなダウン。飛ぶ人は居眠りフライトにならないように気をつけたことだろう。大会2日目は、1日目のミスを挽回、逆転の優勝を狙うべく、みんな気合いが入っていた。爆弾を見失わないように助っ人も気合い十分。ほぼ1日目と変わらない順番で飛んだ。この日は最初に伊藤さんがデモフライトとして飛んだ。ちゃんと爆弾も落とした。伊藤さんが飛んだところは初めて見た。

  競技の方は1日目唯一の爆弾紛失者、はやしさんから始まった。爆弾を落とす時にわかりやすく叫ぶと言っていたが、ほんとわかりやす過ぎの奇声を発した。その声の効果か、爆弾は的に向かって落下。これに続いて、2日目は、みんなすごかった。ばんばん飛び出して、爆弾をぽんぽん落として、がんがんターゲットに迫ってくる。高得点の連発だった。鈴村さんも爆弾を田んぼギリギリに落とし点数ゲット。助っ人としては、爆弾を落としてくれただけでもうれしかった。11月だというのにTシャツでちょうどいい暖かい気候だった。天気が良かったため一日ランディングにいた人は日に焼けた。石田さんの顔は飲んだみたいに赤くなっていた。最後は大会2連覇を狙った岩崎さんが貫禄のあるフライトを披露して、競技終了。微妙な点差になったので、集計結果が待ち遠しかった。

  閉会式、まずは個人戦の結果から。優勝は岩崎さん(天使)で245点。2年連続4回目の優勝だった。続いて、浅野さん(天使)235点、伊藤さん(悪魔)215点といずれも僅差だった。チーム対抗戦は、1位2位をとった天使チームが720点、全員がバランス良く点を取った悪魔チームが735点とこれまた僅差だった。現役の中では、はやしさんが2日目に点数を荒稼ぎして、女性陣トップの4位に入った。虎視眈々と優勝を狙っていた高木は不発だったらしい。来年に期待する。私のペアの鈴村さんは初日の爆弾落とし忘れがひびいて8位。でも、私は賞品で、鈴村さんが持ってきてくれたパラのヘルメットをゲットしたのでうれしかった。早くこのメットを使って空を飛ばねば・・・。そして、鈴村さんのもとまで飛んで行かねば・・・。

  大会終了後は時間に押されて慌ただしく帰路についた。諸々の都合で車3台がバラバラに出発。グロリアに主要ドライバー3人が乗っていったことでスターレット、ソアラの帰り道はきつかった。みんな、いろいろと賞品をゲットしたために荷物が増え、しかもスターレット、ソアラともに5人乗車。車内もきつかったのは言うまでもない。OBとともにグロリアは出発。杉山さんにも先に行かれ、最後に泉荘を出た。来た道を東京へ向かってひた走る。スターレットとは東部湯の丸SAで待ち合わせ、3年幹部、最後の一本締め。ここで杉山カーとも別れた。

  上里SAから高速を出るまで大久保さんに運転を交代。ヒヤッとする一瞬もあったが、おかげで休憩できた。帰り道は渋滞が予想されたが、思ったより早く着いた。交代できない高木、杉山さんは相当大変だったと思われる。練馬から環八をまわって、早稲田通りを通って高田馬場へ。途中でみんなをおろしながら帰ってきた。11月5日、日付が変わるちょっと前に帰宅した。

  こうして幕を閉じた早稲田杯2000。早稲田杯実行委員のがんばりがあったからこそ、成功したことを忘れるわけにはいかない。数日後のミーティングは、みんなが集まってにぎわっていた。新生早稲田☆ハング・パラグライダークラブのスタートは、すばらしいものになったのではないだろうか。これからの輝ける未来に向かって、私は空さえも爆走したい。そう、通称「早稲田☆ハング」を「早稲田☆パラ」に変えるべく。最後に一言、「ワセバンよ、永遠なれ」。

おしまい

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