WASEDA CUP 2003 一飛入魂

〜2003年 旅の奇跡 信濃平編8〜


  もう何度目になるのか、馬場からのこのルート。続々とOBたちが信濃平に集まりつつあることだけは確か。三重からの疲れも押して走り、豊田飯山IC出たとこのコンビニには一番のり。まり姉、杉山さん、岩崎さん、似内と、石田さん、伊藤さん、しもへーさんにここで会った。まあいつもどおりの再会だ。宿へは先にGO。「眠い眠い」とたえが暴れそうなので。すでに先着のOBと実行委員のみんなに軽く挨拶して布団の中へ。すぐ寝る。

  11月8日、朝、眠い。エンドーのいっぱいいっぱいな司会で始まった早稲田杯。いつになく選手が少ないのは残念だ。が、現役はまあまあ集まっているので、卒業1年目のOBとしてはうれしいところ。でも、こんな調子なら、どんどん他大支部長やパラのパイロットたちを連れて来ちゃえばいいのに。早稲田杯、他大流出の危機!なんてなったらみんな集まらないかしら?今回はたえ(中大ハング史上何人目の参加?)以外はみんなハングだから相手にとって不足なし。オープン参加?の日本NO.1フライヤー、大門氏のフライトも見たいところ。まり姉の選手宣誓で山へ。連覇を狙う杉山さんを始め、優勝を虎視眈々と狙う面々。当然私もその一人。信濃平の空は誰に微笑む?

  今大会のテーマ、一飛入魂。飛ぶ回数は多かれど、同じフライトはない。印象に残る飛び、ぶっ飛び、XCフライト等、その全てが一飛入魂。今日のこの一本も間違いなく記憶に残るフライト。この日を待った長い月日に比べれば、TOで待つ時間などわずかなもの。ハングがタイミングを見てテイクオフするのを見ながら、自分が飛ぶそのときを待って、幾度となく繰り返したテイクオフをイメージする。飛び出した瞬間から風に乗り、空を舞い、信濃平の大地を見下ろして、心を込めた渾身のパフォーマンス、そして地上に舞い降りる姿は天使のごとく・・・。そんな妄想に浸り、気がつけば無情にも時だけが過ぎていた。飛べないコンディションであることは明らか。明日に期待して、競技を終えた。

  初日のフライトは6人だけ。最初の方に出た人ほどまだマシだったが、それでも何とも言えず。堅実な飛びで暫定1位は杉山さん。上級機の性能をフル活用して余裕の勝利かと思いきや、LDでドジった木は2位。まいちゃんがいないと力が出ないか。競技らしい競技にならなかったので、以下省略。まあ私が飛んでれば当然・・・ね。ていうかパラの待機位置からはLDが全然見えず。LDでは遅い昼飯。腹減りで下山したのでありがたい。信濃平特製のきのこ汁。うまい。

  楽しみの温泉は湯滝温泉。正確な場所は覚えていなかったが、地図を頼りになんとか発見。すぐ近くの温泉に行った人たちもいたらしいが、どうせならあまり行ったことのない温泉のほうがいいでしょ。夕食までの間、温泉やら睡眠やら、みんな思い思いに夜の部に備える。今回は日本のトップフライヤーがいるということで、大門氏の座学。これは貴重な話が聞けたでしょ。その後に宴会。毒島夫妻とその子供たちも参加。いつになくファミリー向けな宴会になった・・・のは最初だけ。芸出しの時間になってしまえば、いや、飲みだしたら、信濃平にいるときのワセハンは止まらない。4年生には脱いでもらって、しんぺーにはトランプ一枚になってもらって、中西には今年もペリーになってもらって。OBの芸出し心をくすぐり、懐かしささえも思い起こさせる見事な芸の数々を披露。これらを見ずしてワセハンを語る無かれ、みたいな。

  11月9日、大会2日目。運も実力のうちという言葉を使うのであれば、この天気を呼び込んだ彼の実力(運)のすごさだろう。飛びに関してやれることはやった。あとは勝てるとすれば、このパターン。見事にはまった。トップになった時点での競技終了。何と2日目のキャンセルにより、杉山さんの連覇。飛べればっていう思いさえも空しく、信濃平の空を見上げた。ありえない。でも、お見事。早稲田杯は再び、杉山さんの手に渡った。連覇の実力は本物か?2年連続でフライトさえもできない私は不満どころではないが、これも仕方のないこと。勝利の女神には見放されたらしい。

  閉会式が2003年の早稲田杯終了を告げる。現役にとっては幹部交代。実行委員にとっては達成感。OB・OGにとっては懐かしき再会。いろんな思いの詰まった大会の終わりはワセハンらしいノリで集合写真。帰り道は現役とともに温泉へ。

  生活環境が変わること、気持ちが変わること、いろいろとある。ハングやパラで飛ぶっていうことは確かに大変だし、飛び続けることはもっと難しいかもしれない。でも、みんなに飛び続けて欲しいし、飛べなくたっていつまでもこの仲間が集まれたらいいなって思う。たとえ遠くにいたって、仕事が大変だって、時間が作れないわけじゃない。だから、これからもみんなが笑顔で会えたらいいよね。

  みんなの寄書きでいっぱいになった、学生時代の全てのフライトをともにしたピンクのハーフメット。これを見てたら、ワセハンとともに過ごした学生生活そのものが、まさに入魂の一飛びだったのでは?とか思ったり。パラグライダーという翼はたたむが、心の翼をたたんだわけじゃない。いつかまた空に、早稲田杯に、この場所に帰ってくるから、みんな、空で舞っててね。4度目の早稲田杯、雨上がりの帰り道、思い出の詰まった信濃平の山と街並みは、何となく霞んで見えた。

  みんな、ありがと――――――――――!!!

おしまい

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