野望と希望の式根島

〜1999年 夏休み旅行記 式根島編〜


  初の船旅、それは伊豆諸島式根島への希望と野望の冒険。8月22日から25日にかけて、美しい孤島で繰り広げられる野望と希望の物語の幕開けだった。

  まずは出発日。夜に竹芝桟橋を出航、船上で一泊するのだ。船に長時間乗るのは初めてで、けっこう緊張していた。浜松町駅に8時待ち合わせ。10分ほど遅れてきたteaの理由は、「旅行チケットを紛失、家のゴミ箱から発見された」とのこと…。初めて来た竹芝桟橋は思ったより広いのでおどろいた。
  さて、切符をもらって、あとは船に乗るのを待つばかり。それからが長かった。いつ乗船の準備で並ばされるかわからんから1時間くらい待っていた。ここで登場したのが式根島ツアーノート。この時点ではまだ新品のノートだが、今見ると今回の旅行を鮮明に記録してある、なかなかいい仕上がりのノートになった。その書き始めがここからだった。
  書いたり話したりしているうちにやっと船が到着。乗船順は居た位置が良かったために2,3番目だった。飛行機みたいな搭乗通路から式根島直行の増発便「かめりあ丸」に乗り込んだ。みんなから聞かされていたような走ってのスペースの取り合いはなく、穏やかに席を確保することに成功。島直行便だったから人も少なかったのかも。11時、汽笛は聞こえなかったが夜の海へと「かめりあ丸」は出航していった。12時に消灯。体での感じだと東京湾のなかで1時くらいまでは止まっていたらしい。借りた毛布にくるまって横になるものの予想どおり眠れず。ふつうに寝ているteaがうらやましい。寝たか寝ないかわからんうちに朝になってしまった。

  23日、朝7時頃。船室の丸窓のふたが開けられ光が入ってきた。これで目が覚めてしまったが、まだまだ眠い。teaはもう起きてMDを聞いていた。眠気覚ましもかねてデッキにあがると、そこにはまさに青い海と空が広がっていた。あまりのきれいさにもう感動。この前の仁右衛門島もきれいだったが、やはりここまで来るときれいさのレベルが違う気がする。8時20分頃、式根島到着。港の水深は10〜20メートルくらいであろうか。海の底まで透けて見える上に、青い魚が泳いでいる。早く海に入りたいぞ〜。港には民宿のかたがたの出迎えあり。今回泊まる民宿「そね」を発見。宿まで送ってもらう。
  島の道は狭く坂道だらけ。移動手段はレンタサイクルがおすすめ。そういえば信号は黄色の点滅で一つの交差点にしかなかった。当然のようにコンビニはないが、本屋や薬局がなかったのには驚いた。やはり島である。「そね」に着くと台帳を記入して、すぐ部屋に入れてくれた。海にも比較的近い場所でよかった。まあどこからでもどこかしらの海岸に近いような気がするが。
  ちょっと休んでから海へGO!最初は最寄りの石白川海岸へ。遠浅で水が澄んでいて、海の底がはっきりと見えた。貝類いるが、何よりも魚の多さに驚いた。シュノーケルでぷかぷか浮いて海の中を眺めていた。島のこっち側は温泉があるとのことで、所々で水温がやたら高かったり、冷たかったりだった。明らかに海水がゆらゆらしていて、突っ込みたくないゾーンもあった。天気は超快晴で、砂浜は熱くて裸足で歩けなかった。砂がきれいだったので、あとで瓶に詰めて持って帰ってきた。現在は部屋に飾られている。
  早めに海からあがったが、すぐに帰ってもおもしろくないので、標識で見かけた温泉に行ってみようということになった。水着のまま海岸沿いを5分程歩いて着いた温泉は、なかなかのもの。その名を松が下雅湯。ちょっと熱かったが、疲れを癒すには最高。フナムシ君たちもいっぱいいた。島の裏側の秘湯といった感じか。海の見える温泉で、波の音を聞きながら、いい湯だな〜。
  宿に戻ってお風呂からあがると、島を探検にでかけた。ちょっとのつもりが歩きまくって、結局島をほぼ一周。コンビニがないことを確認した。で、5時に夕食。早いと思っていたが、おなかがすいていたらしく、かなりの量を食べた。舟盛りのおまけ付きでおいしかった。みそ汁の中でカメノテつまり亀の手なるものに遭遇。次の日に、海の中で岩にへばりついているのを発見した。
  食後は疲れがどっと出てかなり眠かったような気がする。ふとんを敷いてごろごろしてから、夜の海岸を見に行ったり、買い物に行ったりした。帰ってきてからはテレビを見まくって、もうダウン。

  24日、teaは朝から動きがいい。眠くてしょうがないのだが朝食だというからしかたない。がんばって起きていったら、まだ他の泊まり客たちは食事に来てなかった。
  この日の野望は、島の反対側の海で泳ぐこと。だがその前に、島をまわろうということになった。移動手段はレンタサイクル。すでに水着だが、坂だらけの道をマウンテンバイクで爆走。カンビキ山展望台へと向かった。これは島で一番高いところらしいのだが、それでもせいぜい、海抜150mぐらい。でも眺めはかなりいい。式根島はこの頂上から一望できた。カンビキ山の頂上から見えた新島は、はるかに大きく、高さも2倍くらいあった。こういう島の景色はとてもすばらしく、頂上で感動した。
  ここでツアーノートより〜爆走レンタサイクルbR7!!とbR5のまき〜を載せさせてもらう。teaによる爆走の記録をどうぞ。

〜爆走レンタサイクルbR7!!とbR5のまき〜

  自転車で展望台へと向かう。道のりは厳しく坂、サカ、また上り坂。下ったと思ったらまたすぐにのぼらされる、おりた分だけ…まるで世の中。まあ、そんなこんなで着いた展望台は、そう呼ぶよりはまるで山。石ころゴロゴロのみちを登山、ながめはナカナカよろしい。「大島、この方角40数キロ先」の説明をよんで東京近いっていっても遠いよな〜と感じた。岩はすべて軽石でかるいのでゴロゴロゴロゴロすぐにころがる。帰りぎわ、地図を見て、民宿の近くに温泉を発見。どんなところかみてから民宿にもどり、うみにゆこう、ということになる。そして我々は新たな道を探求すべく「遊歩道」をめざすのであった…。そしてこれがちょっとしたぼうけんのはじまりであるということを、teaはまだしるよしもなかったのです…。
  その入り口には「野鳥のこみち車はご遠慮下さい」がささっていた。道は今までのアスファルトと違い、土である。自転車の我々は迷うことなく、その土のみちへ足をふみ入れた。小鳥の鳴き声がする。木のせいで木陰も涼しい…。だがしかし、そこは一般の人々がけっして通らぬ遊歩道という名の閑道の運命(さだめ)。でかいクモが通りいっぱい(といっても2メートルくらいね)に巣をかけ、ゆくてをはばもうとする。砂っぽい土に車輪をとられ、スピードは思うようにだせない。そしてのぼりざか。まあそんな感じでけっこう辛かったわけだけれど、とにかくしばらくいった時、地図をみてもなんだかわからん分かれ目にそうぐうした。「うーん、こっち!!」意を決していったその先は…はずれ。ふつうのご家庭の菜園であった。そんなこんなで着いた温泉はなかなかよろしそうだった。 (by tea)

〜爆走レンタサイクルbR7!!第2部逆襲のbR5〜

  一度帰って海行くよういをして出掛けようとする。民宿のおばさんに「大浦より中の浦のほうがきれいでいいよ」といわれる。地元の人の言うことはきいたほうがよい、ということで中の浦にゆくことに。が、ここで大きなまちがいが。なんと遠回りをしてしまったのだ!!なんだそれだけってアンタ坂だらけなのよ!!疲れるのよ!!あーまったく。
  着いた駐輪場から石段のかいだんを下って下って海岸はきれいだった。昨日より更に美しいうみです。売店もちゃんとありました。すなはまのはじにはいわば。沖にはサカナ。ぶくぶく素潜ってるとダイバーとそうぐう。びっくりですー。そしてうれしいことにカメノテが見つかった。ほんとうに岩のすきまにごちゃごちゃおった。だが、かたくてとれぬのだ、これが。んーざんねんだね…。3時半頃帰ることとする。いや〜すごく有意義な1日だった。 (by tea)

  と、終わられてしまったが、まだまだ書きたいことはいっぱいある。中の浦海岸は駐輪場から石段を下りまくったところにあり、砂浜と岩場でできたきれいなところだった。そして何より人が少ない。まあこれは島全体について言えることだったが。
  海に入ると昨日よりさらにきれいだし、魚や貝がいっぱいいた。大きな岩のまわりには、青や黄色の魚が群をなして泳いでいたし、近くで見ていてもそいつらは逃げなくて、岩とか叩くと集まってくるから楽しかった。潜っていると背後から怪しげな音が聞こえる。何奴?と思い、まわりを見渡すと、後方の深いところからダイバーの登場。びっくりした〜。水深5,6mの海底がはっきりと透けて見え、海面付近を漂っていながら海に中がすべて見える。岩の隙間には、昨日のみそ汁の中で遭遇したカメノテを大量に発見。取ろうとしたが固くて取れず、残念。島の民がすすめるだけあって、きれいな海の中でも特にきれいな海だった。この日は3時半頃まで遊んで宿に帰った。実はこの海岸、海水浴場としてやっているのはこの日(24日)までだった。今年の夏、最後の日をうちらは訪れたわけだ。
  そして、これで海に入るのはもう終わってしまったのだ。あっという間であった。もう数日居たい気がしないこともない。夕飯を食べまくってから、お散歩に行った。お土産と夜食を買ってうろうろ。星空が見たかったのだが、町中はけっこう街灯で明るくて、星は見えなかった。宿に戻ってからは疲れた体を癒しつつ、テレビで世界陸上を見て、お腹がすいた頃に夜食用に買ったおかゆを食べた。朝早かったから、夜も早めに眠くなって、ふとんの上でごろごろ。おやすみなさい。

  25日、今日で島ともお別れ。帰りの船は朝早かったので、宿を出たのは9時頃だった。神津島発の「さるびあ丸」は、来るときに乗った「かめりあ丸」よりきれいで、豪華客船って感じのやつだった。この船は各駅停車で途中、新島、利島、大島に寄港した。船は満員で、うちらは最初から甲板に陣取って、潮風に吹かれながら船上を過ごした。式根島から新島の間は10分くらい。その間ずっと海底が見えていた。海を眺めていると海面付近に何か低空飛行をするものを発見、飛び魚と断定した。20mぐらい飛ぶやつから、水面で跳ねて50mぐらい飛ぶやつまでいた。東京まで9時間の船上生活は、睡眠時間が多かった。大島辺りまで来ると、明らかに海の色が暗くなってきた。東京湾に近づくと、もう海は緑や青からはほど遠いよどんだ色になってしまった。
  5時半頃、竹芝桟橋に到着。海の上をここまで無事に来られたことを「かめ」と「さる」に感謝してさらば。浜松町駅の目の前にある貿易センタービル地下のレストランで、この旅行最後の夕食にした。食後にまた竹芝桟橋まで戻って、レインボーブリッジを眺めつつ、式根島の余韻にひたっていた。
  こうして愛と感動に満ちた旅行は幕を閉じた。最高に良かったので、いつかまた行きたい。島の思い出を胸に、次なる野望を抱くのであった。

なお、この物語はフィクションであり、実在の人物、団体等とは関係がありません。

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