18切符で百名山、谷川岳

〜2001年 夏休み日帰り旅行記 谷川岳編〜


  天気は微妙。午前は晴れて、午後からう〜んって感じか。まあ午前中に登りきってしまえば、あとはなんとかなるだろ。雨の岩木山制覇メンバーである越前守とともに谷川岳へ。上野駅始発の電車は、弥彦に行くのに通ったルートと同じ。水上駅で乗り換え、ふた駅。着いた場所はあの驚きのトンネル内にある駅「土合駅」だった。「日本一のもぐら駅」と題された立て札には「338メートル、462段」と丁寧に書かれていた。トンネル階段直線462段はかなり見ごたえがある。山登りの前に登ることになろうとは・・・。しかも寒かった。この駅、反対方向は地上にあり、当然改札も地上にあった。ちなみに地上までは486段。

  いきなり疲れてしまったが、ここから谷川岳の入口まで徒歩15分の上り坂。国道291号という不吉な番号の道をテンションを高めつつ歩く。なぜ「不吉か」と?それは越前守のコードネームが「291」。うちらにとっては十分不吉。越前守本人だけが「なんかいい予感」。登山者らしき服装の人はわずか。この天気ではみんな躊躇するか。

  時間と天気の都合により、天神平スキー場までロープウェイで標高600mをかせぐ。ここまでは誰でも来られる観光地。天神山頂にはスキーリフトで行けるので、これはパス。目標は100名山の一つ谷川岳の頂上。9時32分、ロープウェイの駅を出発。本によればここから頂上まで2時間30分。うちらは世界記録2時間4分台を目指す。何の世界記録か?と。マラソンの世界記録です・・・。昨日は雨だったのか、地面はぬれている。足場は良くはないが、木道なのでそれほど問題はない。傾斜がきつくないのでよかったが、所々、木一本隔てて断崖なんていう場所もあり、けっこうドキドキ。別ルートからの合流地点にある避難小屋に着いたのは30分後。ガイドではここまで50分。いきなりリード。3分ほど休んで出発。だって越前守が先を急ぐから。なぜか無駄に元気がある。体力切れにならないか心配だが、まあいいや。どうにでもなるだろう。

  ここからは勾配がきつくなり、ペースもおちる。が、まわりに比べれば依然としてハイペース。抜く気はないのに、プレッシャーを与えてしまっているらしく、みなさん道を譲ってくれる。「すいません。ありがとうございます」の繰り返し。樹木も低くなり、そのうち尾根からはすばらしい展望が広がる。避難小屋から30分、景色のよい岩場で休憩。頂上らしきものが見える。2時間は余裕で切れそうなので、ここからは景色を楽しみながら行くことにする。急斜面で振り返ると、そこは雄大な展望。眺めは最高。頂上でお昼にするつもりだが、早く着いてしまいそうなので、休憩を多めにとって調整する。つもりが、ついつい早く登ってしまい、11時15分、三角点「トマノ耳」に着いた。360度に広がる山並みと亀裂のように走る沢にしばし見とれる。昼飯もうまい。ここまではいい天気でホントに良かった。

  もう一つの頂上「オキノ耳」は「トマノ耳」よりもわずかに標高が高い。ここまで来たら行くしかないので、迫ってくる雲に追われつつ、15分ほど歩く。ここで天気は急変。頂上に着いたと思いきや、雲が覆い被さる。湿った風で体に水滴がつく。やばい、この展開は。少し急いで下山開始。往路とは別の道で行く。

  しかし、下りは急坂の連続。岩場で足場も悪く、かなり大変だった。越前守がおこす落石をかわしながらの下山。道筋や足場の選択など、登る以上に下りるのには技術を要する。ハイペースで下りたつもりだったが、ガイドどおりの時間がかかっていた。これでも途中で何人も抜いていたから、他の人はもっと時間がかかっていたに違いない。先がろくに見えなかったから当然といえば当然か。強かったのは「ファイト一発!」のCMに出てきそうな二人組。あっさり抜かれた。「ラクダノコブ」手前の「ラクダのコル」が分岐点。ここで道を間違えると大変。この悪天候下だと遭難間違いなし。念のため地図でチェックして先を急ぐ。ここから先は鎖場も多く、下りるのがより大変になった。たまに晴れ間がのぞくもののほとんど尾根は雲に覆われたまま。所々で生えていたトリカブトが気になった。

  山も下の方に来ると雲の影響もなく、視界良好。とは言っても、木が生い茂っていて眺めは悪い。地面が濡れていて、滑りやすさ満点の上、疲れで膝がガクガク。転んだ度合いは、越前守が技あり2つ、有効3つ、効果1つ。私が技あり1つに有効1つ。下りは肉体的にも精神的にも疲れた。湧き水を発見、コップに入れてみるが、なんかいろいろ浮いていたため、飲むのは断念。顔を洗って、あとわずかと思われる下り道に気合いを入れる。後方から単独登山のがたいのいい若者が接近。いいペースで抜かれた。そしたらゴールが見えてきた。あとこれだけとわかっていれば、なんとか逃げ切ったのに。結果、2組3人に抜かれた。抜いた人数は数知れず。ロープウェイの駅に着いたのは3時半頃。下山にはだいたい3時間くらい。この天気なら十分に早いと思う。

  山の疲れを癒すため温泉へと向かう。電車で2駅戻って水上温泉郷で温泉探し。駅前の観光案内所で情報を仕入れると、なにやら町営温泉があるらしい。詳しくは聞かずにそこに行こうとしたが、道がわからん。町役場で聞こうとしたら、今日は土曜日でやってない。コンビニで聞こうと思ったら、改装閉店中。適当に歩いて、今度はガススタへ。そしたら店員のおばさんが親切に町営温泉「湯テルメ谷川」への道を教えてくれた。「早く温泉で休みてぇ」と急ぐが、けっこう歩かされる。しかも上り坂。もう登りはいいっす。

  谷川温泉の水上町営温泉館「湯テルメ谷川」に着いたのは17時前。かなり混んでいた。大人気らしい。露天風呂に浸かると思わず「ふぃ〜」とほっとする。1時間ほど温泉を満喫、湯上がりは休憩室でただのお茶を飲みまくり、もうこのまま寝たい気分。しかし日帰り、悲しきかな、帰りの電車の時間が迫る。駅前に戻ってくると、ほとんどの店が閉まっていた。夕飯でもと考えたが、山ではひたすら栄養補給を繰り返していたので、腹が減ってない。とくに山の幸が食べたいとも思わなかったので、夕飯は後ほど。18時42分発の電車で帰路についた。

  帰りはほとんど眠りっぱなし。山と温泉、日帰りとは思えない旅行だった。これで100名山登頂2つ目クリア。東京に着いてから越前守と谷川岳の余韻に浸りながら夕飯にした。18切符の期限は明後日まで。残りは2回分。休む間もなく、明日は次の旅が待っている。

おしまい

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