俺は今日も歩いてる

〜2004年 旅の軌跡 館山編2〜


  東京と千葉を隔てる江戸川にかかった橋を越える。国道6号の見慣れた景色と見覚えのある景色、ぼんやりとした記憶の糸を辿りながら、友の待つ場所へと深夜のドライブ。ウチらには夏がよく似合う、と思うのは俺だけか。疲れ果てて着いたリュウ宅で、飲みながら語り明かす。なんて展開を期待していたが、何となく予想していた通りに、そのまま海へ出発。すでに休む気満々だったのに、タンクトップにハーフパンツ、麦わら帽子にシュノーケル、銛を片手に待っていたリュウの姿を見たときには、マジで力尽きた。

  房総半島の先のほう、南国雰囲気漂う館山を目指す車中。力尽きていようとも、テンションは尽きず。話しっぱなし、走りっぱなしで着いた館山♪夏の夜の潮風が香る海岸線を走る。かすかな記憶を頼りに、リュウはいつか来たあの場所へ。朝の暑さなど考えもせずに、浜辺で車中泊。波の音をすぐそばに聞く。東の空が明るくなり始めた頃、蚊との戦いに力尽き、ウチらは爆睡した。

  寝たか寝ないか、気がつけばリュウは、消えた?!暑さに耐えかねて、外の防波堤の上で寝ていたらしい。7時前、起きて早々に海に入った。のはリュウだけ。まだ水温も冷たいって、言ってもそんなのはお構いなし。海水浴場でもないビーチで、朝から潜る奴なんていない。でも、仕方ないから(入る気満々)、いっしょに海に潜る。よく見ると・・・クラゲだらけ。海中にびっしりと漂っている。危険を感じて逃げたが手遅れ。痛っ!と足に負傷。一気に目が覚めた。海に入りつつも、まだ眠かったから、ちょうどいい目覚ましか?強烈だった。ここは危険。避難します。

  自衛隊の基地の近く。3,4年前に来たことがある陸続きの島。いい感じに穴場のスポット。でも結構人います。ビーチでは威勢のいい掛け声。どこかの高校の水泳部が合宿で来ているらしい。ジャージを見ると新宿高校だった。遠泳かリレーか、陸に上がった人から掛け声に加わる。掲げた旗が風になびく。熱いね〜。いいね、合宿やりたい!風に吹かれて、ビーチを眺めている隣で、すでに銛を持って臨戦体勢のリュウ。頼むから誤爆をしないでくれ。温かい海水と穏やかな波に揺られ、海水浴というより漁を始める二人。潜ってはアワビやつぶ貝をゲットする。岩の隙間には想像以上にデカイ魚が隠れていたりして、びっくりする。館山まで来れば、南国の海。海草の中には色鮮やかな魚がうようよ。思った以上にきれいな海だった。採ったばかりのアワビの刺身は美味かった。ボディーボードに乗って、揺られながら水中を観察。リュウは海からビーチのギャルを観察。一周400mほどの小さな島も散策。ちょっと森の中に入っただけなのに、意外な静けさ。木々の向こうに見える海はウチらを誘っているかのようだった。

  そこそこに海の幸をゲットし、島にさらば。次なる目的地、ドラマ「ビーチボーイズ」(5,6年前に放送)のロケ地を求めて、房総半島の南端へと向かった。太陽と海と花が似合う日本の道100選、フラワーラインを走る車内にはサザンの曲。引退したらこんな場所で暮らすのもわるくはないなと思ったり。国道を外れ、寂れた漁港へ。そのまま海沿いを行くと、ドラマで見たあの景色。歩いて坂道を下ると、頭の中に流れだす主題歌のforever。ここだよ、ドラマのロケ地は。海水浴場としては開放していないが、サーファーやバーベキューを楽しむ人々、それに海の家。民宿ダイヤモンドヘッドはさすがに残ってなかったが、砂浜はあの頃のドラマのまま。なぜかしみじみしてしまった。ビーチから去る坂道は、この夏の海との別れ。いつかまた訪れたいと思いつつ、まだ終わらない熱い夏に思い馳せる。そして、風が揺れてる、波が唄ってるこの場所で、俺は今日も歩いてる。

おしまい

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