ここは旅の途中

〜2006年 旅の軌跡 美ヶ原編〜


【旅のミチシルベ】
◆目的地・・・美ヶ原高原。美ヶ原最高峰、王ヶ頭。
◆やりたいこと・・・早朝の高原をひとり占め。ビーナスラインをドライブ。
◆泊まるとこ・・・さまよう。
◆温泉・・・信州高山温泉郷、蕨温泉ふれあいの湯。

【旅の軌跡】

  ワセハンの新歓合宿が無事終了し、信濃平にさらば。せっかく北信州まで来たのに、このまま帰るのはもったいない。新しい温泉を探さねば。そして向かった先は信州高山温泉郷。小布施から万座方面にちょっと山を入ったところだ。蕨温泉ふれあいの湯で新歓の疲れを癒す。山の上に8時間居たせいで日に焼けた顔が痛い。木造りの露天風呂でぐったりする。風呂上りの牛乳がおいしかった。

  再び街中へ戻る途中、夕方の暗くなりかけた山道を猿がうろつく。写真を撮ろうと車を停めたら、山の中へと消えていった。須坂から菅平へと向かう山道の手前、街の定食屋さんで夕食。がっつりと焼肉。日曜の夜、観光客はみんな帰路。お店も人が少なかった。満腹になって今度は眠気。今夜は菅平でおやすみだ。明日は菅平高原北部の四阿山に登る予定。でも実際に登山口まで行ってみてびっくり。他に車がいない。この時期の月曜に、こんなマイナーな山に登る人なんかいないってわけか。さすがに気味悪いので、国道沿いのパーキングへ。人がいなさすぎるのも、ねえ・・・。

  朝、寝たようで寝てない。ていうか早起きだ。さて昨夜の様子からすると四阿山に登る人なんかいないっぽい。ラグビーと陸上の合宿の聖地、菅平のグランドと街並みを見つつ、あっさり行き先を変更。菅平から上田へ南下、そこから美ヶ原へと向かった。人がいなくても安全そうな観光地をうろつこう。通勤で渋滞する街中を抜け、県道62号から美ヶ原へと登る早朝の山道。他に走る車はない。その静けさにつられて、こんな道路沿いで雷鳥に遭遇。人の手があまり入っていない美ヶ原北部には貴重な野生が残っているらしい。標高が上がるにつれて、朝もやが雲海のように見えてくる。新緑の壁から白樺の林の中へ。そして視界が開けた場所が美ヶ原高原。ビーナスライン北側の終点だ。 

  高原美術館もレストハウスもまだ営業していない。やっと朝8時。他に車は1台、バイクが2台。月曜の早朝にこんな場所にいる人は少ない。でも居る人たち、仕事は?巨大風車2つが風に吹かれて回る。間近で見るとなかなか回転が速い。先端に当たったら、間違いなく打ち落とされる。そんな勢い。山本小屋前の駐車場に車を停める。車3台とバイク1台。平日朝8時、普通なら通勤中か。働くみんなに写メする。どうだ、ここは気持ちのいい朝だぞ、と。

  ただの高原、程度のイメージしか持ってなかったから、歩きはじめてその広さに気分爽快。まっ平らの大地、それも標高2000mの高原だ。澄んだ空気と誰もいないこの空間。これだよ、観光地がごく稀に見せる別の顔。自然の雄大さ。百名山に数えられる理由。美しの塔で、幸せの鐘を鳴らし、塩くれ場に集まる牛たちに挨拶。ひとり占めの美ヶ原。これってめったに味わえない散歩道だ。のんびり歩くこと1時間、東側の先端、王ヶ鼻から松本の街並みを遠くに見つめる。吹き上げる風が気持ちいい。

  テレビ中継塔が数多く立ち並ぶ王ヶ頭、美ヶ原の最高峰から南側の切り立った斜面を目にする。台地の上は天上の散歩道だけど、その一歩外側には自然が生み出した険しい地形が待っている。そして、来た道を振り返り、ふと思う。何でもない寄り道で、思った以上にいい場所に来られた。でも、まだここは旅の途中。山旅も、自分の旅も、まだまだ続くのさ。さあ、今日も歩いて行こうか。やっと遠くの方に人が見え始めたのは10時前。ひとり占めの時間はおしまいか。最後に牛伏山の頂上に登って、美ヶ原を再び見渡す。吹き抜ける強めの風が台地に生える草を撫でていた。

  ビーナスラインを南下。ドライブには最高の道路は、その名のとおり美しい道だ。所々にある展望ポイントからはワインディングロードが山の稜線にきれいなラインを引いているのが眺められる。ほぼ中間地点、和田峠からビーナスラインを外れ、国道142号の旧道で諏訪湖方面へ。美ヶ原にさらば。諏訪湖畔、“カナディアンロッキー”でお昼。諏訪近辺で山に登るとなぜかこの店でがっつり食いたくなる。店舗は違えど、3度目の来店です。ランチのステーキ、美味なり。湖面に反射する日差しがここ信州にも春が来たことを告げる。雪の残る山々もあとひと月もすれば、新緑か地面が顔を出すはず。そしたら、また登りに来るさ。平日の微妙な空き具合を体験したワセハン新歓合宿の帰り道。やっぱ山っていいね。そんなふうに感じつつ、帰路につきましたとさ。

おしまい

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