あきの八ヶ岳

〜2006年 旅の軌跡 八ヶ岳編3〜


10月28日

  秋晴れの空に信州の山々が映えている。暑いくらいのいい天気。珍しく待ち合わせ時間ぴったりに着いた茅野駅。なんだかんだキャンセルと追加エントリーで結局予想外のメンバー。ふくちゃん&Aきちゃん。予想外です。「簡単に言うと遅れます」と簡単に済まされ、Aきを待つこと50分!まあかわいいAきちゃんだから待ってあげよう♪

  昨夜は慌てて出発したから、荷物も適当。いろいろ詰め込んだらかなり重くなった。仕方ないので荷物整理。ガスもバーナーも無いことに気がつく。残念、ラーメンは諦めてもらおう。八ヶ岳牧場に浮かぶ気球を横目に、未舗装の林道へと入って行く。登山口の美濃戸まで紅葉狩りドライブ。きれいな車じゃ走りたくないと思ってたのが昨年。まさかわずか1年でこの道をまた通ることになろうとは・・・。砂利道でスタックしかける。四駆のときは全然問題無かったのになあ。危うく登山口の手前で登山が終わるとこだった。

  登山口に着いたのが10時50分。駐車場にはそこそこの数の車。林道で登山者を数組抜いたし、まだまだ登る人はいるっぽい。登山者カードを記入してたら、山小屋のおばちゃんがお新香をくれた。ちょっとうれしい気分。かわいいAきちゃん効果?!・・・。「がんばって登ってきます」「えいえい、おー!」と力無くスタート。1時間遅れのスタート、これも予想外だ。

  林道では色づいた木々を見ることができたのに、登山道に入ったらあまり紅葉が見られなくなった。標高的にもう終わりかな。ふくちゃんが先頭を行く。景色が開けないとテンションが上がらない。Aきはるんるん気分。せせらぎを聞きながら、木漏れ日の中を歩く。意外に暑い。「寒いってだまされた〜」、だましてないってば。フリースの下はババシャツなんで脱げないんだって。ラブTを着てもらおうか。

  1時間ほど歩いたところで休憩。リーダーふくちゃんの調子は上々。そんなに疲れてない?木陰でセクシーに着替えたAきはラブT姿に。「水着持ってくればよかった」ってさ。ババシャツでもいいのに。ていうかどっちでもいいのに。沢の水が冷たくて気持ちよかった。

  やっと登りっぽくなってきて、振り返れば遠く茅野の街並み、木々の隙間からは八ヶ岳の稜線が見えてきた。前後に他の登山者も現れ、ちょっと安心。まだまだ登る人はいるっぽい。行者小屋の手前で、森の中を抜け、視界が開ける。壁のようにそびえる八ヶ岳が姿を現した。飽きてきた頃にちょうどいい刺激。これを登るのは、かなり楽しそうだ。

  登山口からちょうど2時間、八ヶ岳を見上げる行者小屋に着いた。登山者がいっぱいだ。みんな、お昼。ここから、目指す山小屋まで標高差300mの地獄尾根。名前からしてきつそうだが、足尾のTO程度の高度差と言ったら「なんだ大したことないっすね」、まあそんなもんだ。見る見る標高が上がっていき、さっきまで居た行者小屋が30分しないうちに眼下に小さく模型みたいになってしまった。近づけば近づくほど壁に見える稜線へのルート。鎖と梯子の繰り返し。不安定な足場。赤茶色の岩峰をよじ登る。非日常空間の散歩にも、恐怖感を感じないのはフライヤーならではの、ぶっ飛んだ高度感覚のせいか?

  13時半にもなれば登頂して帰ってきた人々とすれ違う。「この時間だと泊まりですか?」「ええ、もちろん」、この時間で日帰りは無いでしょう。狭い場所でのすれ違いはなかなかスリリング。山登りデートのカップルもいる。いいなぁと思うのはみんな同じ。じゃあ「今度は山登りデートね!」「やだ」、即答かよ。

  さっきの小屋から1時間半くらいで稜線に出た。八ヶ岳の東側、紅葉に色づく裾野が広がっている。登ってきてやっと見えた稜線の反対側に感動する。今日泊まる赤岳天望荘はもうすぐそこだ。景色に見とれて足を滑らせないようにね。強い西風にあおられながらとりあえずのゴールに到着。受付のお姉さんの笑顔に身も心も温まる。

  明日の天気が微妙なので、ちょっと寒いけど今日のうちに頂上へアタック。荷物を小屋に置いて空身で赤岳頂上を目指す。最後の登りは鎖場の連続でかなり急。でもこれって最後のお楽しみみたいなもんでしょ。「ちょっと近づきすぎ!」、怒られる。Aきのお尻に見とれて近づきすぎた。ウソ。もし落ちかけたら掴める距離に、なんて思ってたのに、どうやらこの愛は届かないらしい。荷物持ちのふくちゃん、果敢に攻める。

  秋晴れのおやつの時間、ふくちゃんと拳を突き合わせ、Aきと抱き合う♪赤岳2899m、登頂!壮大な景色が広がり、疲れも吹っ飛ぶ。一年ぶりの八ヶ岳最高峰にたっぷりと感動する。初めてならなおさらだ。って、寝てる?!いや、赤岳の頂上を味わってるにちがいない。

  感動に浸るわずかな時間も、あまりの寒さに現実に引き戻される。早く山小屋に帰ろっと。途中で抜いた人とすれ違いながらの下山。天望荘に逃げ込むようにただいま。「まずは温かいものでも飲んでからどうぞ」とマスターの心遣い。「去年も来ました」と言っておいた効果ありか。でも残念なことに去年は在ったコタツが無いっ。

  大部屋の寒さはやばいので、個室4人部屋。部屋代1000円だけおまけしてくれた。ありがとう♪3人で広々?バン寝に比べれば全然広々とした部屋だ。東向き、晴れたら日の出が部屋から見られそう。ご飯の時間まで談話室でだらだらする。コタツだったら寝ちゃいそうなまったり具合。上空は雲に覆われ、夕焼けは見られず。風力発電にはありがたい爆風の中、外に出てみると、遠く諏訪の夜景がなかなかいい感じ。寒さには勝てませんが。

  夕食はバイキング形式で食べ放題。山の上とは思えない料理の数々。どこの山小屋でもこれだけのものが出てくると思ったら大間違い。最初にこんなとこに泊まったら、他の山小屋には泊まれなくなるかもなあ。たっぷり食って満足。わざわざお酒を持って登ったのに、腹いっぱいで飲む気にならない。眠いし・・・。山の夜は早い。20時消灯。夜になって冷え込むかと思いきや、小屋内はストーブでそこそこ暖まってる。パジャマに着替えて、ホッカイロ抱えて、おやすみぃ。

10月29日

  夜中、目が覚める。20時に寝て1時起き。5時間の睡眠ならいつもどおり。雨が降ってるっぽいけど、気づかなかったことにする。布団をいっぱい重ねてるせいもあって、意外に暑い。ふくちゃん、爆睡中。毛布にくるまって「あついぃ」ってあきちゃん、かわいいっ♪いや、寝ぼけてかわいく見えただけだな。

  暑くて布団を半分掛けないで寝てたら、朝方寒くて目が覚めた。やっぱり山の朝は寒い。5時半、みんなが動き出す。晴れれば日の出が見られるところだが、窓の外は真っ白。今日の八ヶ岳は雲の中らしい。 6時の朝食に一番最後に登場。みんなすでに「いつでも出られます」って雰囲気で飯食ってる。まあ急がずにのんびり行こうか。多分そのうち晴れてくるから。根拠?そんな予感がするだけ。朝からたっぷり食って、また寝たい気分。

   同じ道を戻ってもつまらないので、どうせなら違うルートで。今日も赤岳の頂上を踏んでおこう。一番最後に小屋を出発。初心者連れのウチらに「微妙な距離を保ってね。また来年おいで」とマスター。よくわかってらっしゃる。 視界は15mくらい?「遭難する展開だ!」と、本の中では幾多の遭難を経験してきたAきは楽しそうだ。のんびりペースで登るのは、少しでも長く稜線上にいれば、天気が良くなって雄大な景色が広がるはず、との期待から。

  頂上まであと3分のところで、青い空が見え隠れする。そして期待に応えてくれる展開。頂上まで一気に駆け上がると広がる絶景。湧き上がる雲も足の下。雲海に浮かぶ富士山と、遥か彼方にそびえる北アルプス。この景色、飛んでても見られないでしょ?!頂上を踏んだ人のうち、どれくらいがこれだけの景色に出会えるんだろう。わざわざ二度も来た甲斐があったね。リーダーふくちゃん、感無量。「さ、帰りましょ」とAき。感動から覚めたら、もう後はあっさりしたもんだ。かわいくねー。「よく言われる」ってさ。そんなとこがかわいい。「それもよく言われる」だって・・・。

  赤岳の西側に続く梯子と鎖場の急斜面。ただ下るよりは楽しい。目の前には阿弥陀岳。頂上には多くの人がいるのが見える。せっかく来たんだからの登ってもいいけど、「別にいいっす」とのことなんで、下る方向へ。景色はそんなに変わんないだろうからなあ。行者小屋までの道はひたすら下り。階段や梯子でほぼ直線。みるみる標高が落ちていき、さっきまでいた頂上がありえないところに見えている。なんか結構すごいとこに登ったんだねえ。

  「やっほー!」の声にはるか遠くで誰かが応えてくれる。急斜面が終わる頃には、朝の天気がうそのような快晴。行者小屋では、今朝同じ小屋に居た人がちらほら。ここまで来てしまえばあとはゆるい下り。ラブTで3人揃えて、あと2時間弱の森林浴。マイナスイオンが体に染み渡る。途中ですれ違ったおじさんたちに「どこの学生さん?」「いや学生じゃないっす。しかも同じ大学でもサークルでもないっす」と。お揃いのTシャツなのに何なの?とハテナマークが浮かんでいた。「まあ強いて言うならLOVE・WINGワンゲル部です」。

  下山はあっという間、だったと歩き終わってしまえば思えるもの。再び紅葉の林道を苦戦しながらのドライブ。行くときは車の底を擦らなかったのに帰りは3回くらい何かがぶつかった。もうイヤ。八ヶ岳牧場でアイスとヨーグルトと牛乳。ふくちゃんのアイスが一番美味しかった。気球のバックにはさっきまでいた八ヶ岳。あんなとこにいたんだね。

  楽しんでもらえたかしら?「次はどこ行きます?!」とAき。「デートならどこへでも」。「やだ」と即答。原村温泉、もみの湯ですっきりしたところに、すっきりグサりと最後までかわいくない奴だ。でもそんなとこが好き♪茅野駅で解散!飽きないうちに次の山旅に行こうぜい。いいよ、どこでも連れてくから。でも、次は山登りデートだぞ!

おしまい

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