Cリーグ’06 第4戦 鈴鹿大会 & 鈴鹿8h ENDURO

〜このゴールの向こう側〜

LOVE・WING うっちゃん

10月21日 土曜日

  朝焼けに東の空が明らむ頃、鈴鹿サーキットのホームストレートに自転車ととも登場。Cリーグ鈴鹿大会。三重でのラストレースだ。神様、今日は勝たせて、下さい、なんて誰が言うもんか。自分で掴んでやるよ、何もかも。でも、勝利の女神くらいは微笑んで♪鈴鹿サーキット逆回り一周5.8kmの短距離決戦。勝つならここしかない。鈴鹿サーキットを知ってる人はコースをイメージできるかなあ。

  8時3分、運命のスタート。号砲と同時にいきなり飛び出す。緩やかな登りで始まる、このスタートで勝負を決めるつもり。シケインの飛び込みまで登りきって、先頭で低速コーナーへ。立ち上がる前から加速し、コーナーの出口から一気にスピードを上げる。

  バックストレート、みんなついて来るが、縦長の展開。スプーンカーブへと今度はきつい登り。後ろから来る気配はまだ無い。スピードを落とさずに登りで早くも勝負に出る。序盤の2kmに差し掛かったところ。まだ後続は上がってこない。ここを登りきったら、しばらく下り。コーナーの一番内側を通り、最短距離を走る。ヘアピン手前、3km地点まで緩やかなコーナーを全力で逃げる。慌てた後続がついに動いたか。猛追の気配と背中に感じるプレッシャーがすごい。

  ヘアピンを抜け、25Rへの下り、立体交差のガード下でついに後続にとらえられる。25Rの最内を縁石に乗り上げながらもスピードをキープし、抜いていく外を回る集団との差を広げさせない。S字の連続に続く手前の4km地点での登り。レース終盤、力の無い奴が振り落とされる。落ちてくる選手を風よけに使い、先頭集団の後方にくらいつく。連続のS字カーブでトップスピードの下り勝負。残った10人ほどの集団が60kmオーバーのバトル。全員勝負に出たか。

  トップスピードのまま鈴鹿サーキット第1コーナーへ。今回は最終コーナーとなったここの出口で10人ほどがコースいっぱいに広がる。スピードに振られた選手が外に流され、イン側が空く。ゴールまでの最短距離が開け、ラスト500mで再びトップに躍り出る。全員後ろにぴったりと付いてきた。緩やかな登りのホームストレートでスプリント勝負だ。

  残り300mを通過、何人か振り切ったものの、逃げ切れない。そのまま後ろから追け出したのは3人。他は脱落。残り200m、沸き上がる歓声が気持ちいいぜ。前に3人、残り100m、開けたゴールへの道、勝利の女神に飛びつくスプリント。

  100mになった時点で勝負は決まってたんだ。だってこの距離、一番得意なんだから。会場に響く実況、「競り合う3人のイン側、一気に抜け出したのは、真紅のジャージ、LOVE・WINGウスイ選手〜!ゴ〜ル!!」、最後の直線はね、走ったんじゃないよ、飛んだんだよ。心の翼で。

 

  まあ引っ張った手前、結果報告はしなきゃだよね。8位に入ったチームメイトから聞いた言葉は「このコース、特にラストはウスイさん向きでしたよ」、自分でも試走してわかってた。そしておそらく逃げてから差し返す展開も。上のレポートは、途中から妄想。鈴鹿ラストを飾るのにふさわしい幸せな妄想だったとさ。

 

  バックストレート〜からが妄想ね。本当は・・・

  バックストレートへとスピードを上げた瞬間、鳴り響く乾いた音。直後にガタつく後輪。パンクだ。なんで・・・?!自転車が壊れても、このまま行ってやる。無理矢理走るも力を入れた瞬間スリップする後輪。抜かれざま「パンクしてますよ」、わかってるよ、そんなこと。手を上げてトラブルをアピール。コース脇に寄せて、後続を行かせる。最後のレースがこれか。スタートから1kmで勝負あり。残りの4.8kmを転ばないような低速でただひたすら抜かれながら走る。

  勝利の女神にフラれた。走りながら、泣けてきた。涙でゴールなんか見えやしない。のろのろとゴールラインをビリで通過。リタイアしなかった理由?完走すれば少しはポイントがもらえるんだよ。かっこわるくても最後まで、このゴールの向こう側までは走るんだ。

  Cリーグ、鈴鹿ステージ。同カテゴリー出走者中最下位。平均時速25km/h。パンクしてもこの平均時速に表れた諦めのわるさ。これがいつかどこかで勝負を決めるんだ、きっと。

  最後なんて言わずに、また来年リベンジに来いって?勝利の女神は気まぐれなんだね。後悔もさせてくれないんだ。ふん、気が向けばいつかまた来てやるよ。今度は勝ちに。応援してくれたみんな、期待させといてごめんね。そして、本当にありがとう。

 

10月22日 日曜日

  一夜明けて、気持ちはすっきり。個人戦は昨日まで。勝負はおしまい。あとは鈴鹿を、自転車を楽しむのみ。ラストを飾るのは、トロッフェ・バラッキ。二人一組で走り、二人目のゴールタイムで競うというもの。鈴鹿サーキットを10周回。8耐の選手に混じってのライドだ。

  お揃いのチームジャージで並んだ20数チーム。10秒間隔でスタートしていく。カウントダウンが繰り返され、その度に勢いよく飛び出していく。待ってる方も楽しくなってくる。LOVE・WINGの旗とともにスタート前の記念写真。余裕たっぷりの雰囲気。これがLOVE・WING流のレースの楽しみ方。勝負モードのチームは楽しむどころじゃないかもしれないけど。

  「行ってらっしゃい!」と送り出され、ピットロードからコースイン、8耐の選手たちの流れに加わる。8耐で4時間経過、ほとんどの人はもうペースダウンしている。かと思えば未だにハイペースのトップ集団。様々なペースの中で、二人で合わせて走らなきゃならない。これは思ったよりかなり難しい。控え目のつもりだけど、積極的に前を行く。昨日ろくに走ってないから体力はあり余ってるんだよね。

  半周ほどが過ぎ、下りにかかったところでチームメイトを確認する。が、あれ?いない?!決して速い流れじゃないのに?それとも前へ行ったか?結局、前か後ろかもわからないまま、のろのろと1周目を通過。後発のチームに相方の所在を尋ねるが、見てないとのこと。仕方なく2周目でピットイン。

  バイクを降りたチームメイトを発見。1周目でスポークが折れて走れないという。なんてこった。なんか運が無い二日間だ。まあ仕方ないか。そんなこともあるさ。この時点でリタイアは確定だけど、あえてピットアウト。一人でトロッフェ・バラッキ3周目、そしてチームLOVE・WINGのファイナルラップに出た。鈴鹿サーキットを多くのサイクリストと一緒に走れる楽しみ。終わるにはちょっと早いけど、これもまたレース。3周目のピットロードでリタイアを告げた。LOVE・WING、鈴鹿初完走ならず。

  昼下がりの日差しを背中に受け、風を切る音とペダルを回す音に耳を澄ます。さあ、来年はLOVE・WINGで、8耐でも走りに来ましょうか。

おしまい

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