第21回 ツール・ド・八ヶ岳

〜このゲートも越えていけ〜

LOVE・WING うっちゃん

4月15日

  メルヘン街道に並んだ700台超の自転車が、八千穂高原に春の風を運ぶ。過去最高の参加者を集め、運営体制を一新した第21回ツール・ド・八ヶ岳。ゲストに竹谷選手を迎え、チャンピオンクラスにはヒルクライムの雄、村山選手&筧選手が参加。全長約25km、標高差1300m。冬期通行止めが解除される直前の国道299号、麦草峠を制するべく集まった全国のサイクリスト。色とりどりのジャージがまだ肌寒いスタート地点を埋め尽くしている。

  今大会、スタートは各クラスごとに3分間隔。追われる身としては3分ごとに後方から集団がやってくるというわけだ。9時3分、チャンピオンクラスのスタートから3分遅れでスタートする。前回参加のときはスタートと同時に置きざりにされたが、今回は・・・何とか喰らい付いた。前残り、それしかない。序盤から突っ込み気味に行く。前を引いてもらえれば少しは粘れるかなあと。実力的には、この選択が正解だろう。2kmもしないうちに離され始めるが、それでもいい位置で走れそうだ。あとはひたすら粘るのみ。

  前を行くのは基本的に実力に差がありすぎる奴ら。私が気にすべきは後続。上がってくる選手に喰らい付きながらひたすら粘る。離されたら次の選手に付く。この繰り返し。3分なんていうタイムさはあっという間。序盤の急勾配で苦戦しているうちに後発の集団に追いつかれてしまう。が、それでも前回とは全然違う。この2年でそれなりにはレベルアップした証拠だな。

  レースが落ち着き始めたのは集落を抜け、田畑を抜け、別荘地へ入った頃。樹林帯の中を抜けるワインディングロードが山岳ステージならではの雰囲気を漂わせる。わずかな応援に今年は応える余裕もある。トップレーサーはそんなことしてられないかもしれないけど、私程度なら手を振ってるロスタイムなんて何の関係も無いからね。体力的に余裕があるかどうかだけが問題で・・・。

  汗が多いものの日陰の気温は低く、高度が上がるにつれ体感温度は下がる一方だ。体の中はかなり熱くなってるんだけど、手先や足先はかじかんでいる。この季節にこれだけのコンディション変化の中を走るのはかなり大変かもしれない。なんて考えつつも、順調に走り、順調に抜かれていく。そう、めいいっぱい突っ込んだ分、あとから巻き返す脚は無く・・・。ここまで見事に抜けないってのも切ない。

  スタートから40分くらいで白樺の木々とその隙間の景色が見事に、そして八ヶ岳の姿が見えてきた。段違いのスピードで抜いていく人は居なくなり、前後に適度な間隔で走る20人程度がこう着状態で高度を上げていく。関門となる八千穂高原スキー場手前で観客が増えてくると全体的にペースが上がった、気がする。私もギャラリーに手を振って応えつつも、前との差を詰めて軽快に関門を通過。15km、ここまで65分くらい。上出来だ。

  ここから先がきつくなる。応援の声がなくなり、傾斜がきつめに、そして冬季閉鎖から解除されたゲートが見えてくる。スキー場前の関門も、このゲートもみんな越えていけ。脚の疲労がやばくなってきたけど、ここからが勝負の区間。最大9%なんていう表示も見られるメルヘン街道にメルヘン気分は全くなし。10分以上遅れてスタートの女子選手、そのトップ数人にはすでに抜かれてしまった。毎回思う、あの細い脚のどこにそんな力があるんだ?すでに頭にあるのは完走のみ。前回のハンガーノックと途中で止まったあの醜態はさらせない。てか、沿道の雪、寒いっ。

  ゴール手前500mの選手たちの待機場所を、応援されながら通過。今回はまだまだ後ろがいる。でも、それ以上に前がいる。ちゃんと完走したらこんな大変なコース、もう当分来ないぞと心に誓い、せめてものスパート。まだ雪が激しく積もってる麦草峠にゴールインっと。何とか2時間切りでそれなりにまとめた感じ。ヒルクライム、この達成感はタイム以上のものがあるな。標高2127mのゴール。前回の雪辱はいちおう果たしたということで、クライマーの名は語らせてもらおう。まだまだこんなもんじゃないから。

  自転車の性能を活かしきれなかったけど、それはまだこれからの課題。結局抜いたのは5人だけ。突っ込んだ分、仕方ない展開だけど、後半の脚がホントに残ってなかったなあ。見せ場を作るためにもうちょっと控えめに、いやもっともっと鍛えてこよう。それでも満足なヒルクライムでしたとさ。

<記録>
男子Bクラス(26〜30歳):46位/61人中
タイム:1:50:02.480
平均:13.63km/h

おしまい

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