第22回 全日本マウンテンサイクリング

〜ヒルクライムの聖地〜

LOVE・WING うっちゃん

8月26日

  晴天の乗鞍高原、スタート地点には3500人のサイクリストがスタート待ち。チャンピオンクラスからスタート地点に整列していき、カテゴリーごとに時間をあけてのスタート。7時37分、チーム“LOVE・WING”の乗鞍が始まった。

  MTBふくちゃんはロードに混じってのスタート。早々に後方にさがった。私は目標タイムの1時間半切りを目指して序盤から全開。最初の1km足らずは緩やかなこともあり、いいペースに乗れた。道が狭くなり、斜度が増す。いよいよ本格的なクライムだ。

  左車線にみんなが入り始めるとレースは何となく落ち着いてくる。それと同時に時間差スタートの後続の先頭集団が次々に迫ってきては抜いていく。ここはマイペース死守。それでも呼吸はあっという間に苦しくなり、あとはもう行けるとこまで行くのみ。昨日の停めた駐車場を通過し、国民宿舎の前を通りぬける。宿泊客からの応援を背に、最初のチェックポイント、三本滝へ。一般車が通行できるのはここまで。応援もここまで。ここから先は孤独な登り坂とのたたかいだ。

  三本滝を過ぎてしばらく行くと中間地点の看板。絶対間違いだ。メーターはまだ9km過ぎたくらいで当てにならない。手元の時計は37分。本当に中間地点だったらとんでもないタイムが出るぞ。ここは冷静に遥か上まで続く道を見上げる。スキー場を走っていることもあり、視界が開けている。早朝の雲に抱かれた山々と夏の日差し。どこまでも連なる自転車の列は天空へと続く。

  第二チェックポイントまでのこの区間がきつい。2車線あった道が1車線になり、カーブを終えたと思った途端に次のカーブが目の前に見えたり。九十九折の急坂とフラット区間の緩急が激しく、ペースが乱される。きつい所はみんなも一緒で、レースの流れ全体がスロー再生のようにゆっくりになる。後続の速い人はこの区間で次々に上がってきた。

  バテバテになって第二チェックポイント通過。上から見下ろす景色があまりに壮大なので思わず写真を撮りながらのクライム。まだ余裕がある証拠か。いや、体力を無駄に使ってでもこれは写真に収めておく価値があるかと。走りながらなので、いまいちなのもあるけど、それでも可能な限り撮ってみる。1秒を争うレースをしているわけではないし、高速巡行しているわけでもないので、どうせなら楽しまなきゃ。そうは言っても脚はそろそろ限界。

  あと5kmの表示を見る頃になって森林限界を越える。乗鞍山頂と大雪渓、そしてゴールが大きく見えてくる。足の回転はかなり遅くなり、中盤に比べれば緩くなった坂に対してスピードに乗れずに苦しむ。1時間半切りに黄色信号、ラスト5kmでどこまで攻められるか、微妙な感じの中、景色を楽しむ余裕も無し。後半型の選手が上がってきているが、その中には女の子もいる。毎回思う。あの脚でなんでそんなに上れるんだ?!

  大雪渓から吹き降ろす冷たい空気が演出するラスト2km。見えてきたゴールへと続く道。際立ったスパートをかける選手がいない中、渾身のダンシング。一気に踏みたおす。が、それも失速。本当に脚が残ってない状態で何とかゴールへ。終盤だけは踏ん張った感じか。踏ん張りきれなかったのはふくちゃん。MTBのギアを生かせず、撃沈。完走しただけでもすごいんだよ。

  ゴール前の応援が、全ての選手を祝福する。標高2720m、畳平。天空のゴール、2007年、夏の終わりに相応しい聖地だ。

<記録>
男子Bクラス(26〜30歳)
うっちゃん 1402位/3543人 114位/247人中 タイム:1:33:08
ふくちゃん 2742位/3543人 211位/247人中 タイム:2:02:16

おしまい

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