第８回　スズカ８時間エンデューロ

〜記録を残す８時間　記憶に残る２日間〜

ＬＯＶＥ・ＷＩＮＧ　うっちゃん

１１月３日　土曜日

大会は朝８時から。最初に盛り上げるのはビギナークラス。８耐ならではの鈴鹿サーキット逆周り、２周１１．２ｋｍのスプリントレースで鈴鹿の週末が始まる。 　　肌寒いコンディションも張り詰めた空気には影を潜める。ＢＧＭがフェードアウトし、１０秒前からカウントダウン。鈴鹿の空に鳴り響く号砲でレースがスタートした。ゆっくりとした立ち上がりから最終コーナーへ、集団でシケインを抜けたところから徐々にスピードあがり、１３０Ｒからバックストレートへと静かに位置取りが繰り広げられる。スプーンカーブへの急坂で集団のスピードが落ち、変速するシフトの音が響く。８０人が上りでふるいにかけられ、坂の頂上手前から再びスピードが上がる。出だしで置いていかれないように全員がけん制。先頭も様子を見ながら数人が引き、コース幅いっぱいに広がっての大集団。まだ動かない。 　　スタートから２ｋｍ、ここからはほとんど下り。風は無い。集団がこのペースなら、一気に逃げるのもありだな。見せ場無しじゃ楽しくない。大外から一気に加速、コースの端を通って集団から抜け出す。この序盤の逃げに付いてくる奴は・・・いる！？マークしたっていいことないぞ？！意地でも先頭を取らせない気らしく、前をぎりぎりで押さえられる。２台が抜け出した形になった・・・のは一瞬のこと。今度は反対側から１人、さらにその外側をもう一人、おいおい何なんだ？！

　　なんて思ってる間もなく、ヘアピンまで激しいアタックの連続。次々に飛び出し、それに付いていく自転車の列。さっきまで静かだった集団が激しく動き出す。仕掛けるきっかけを作ってしまったらしい。ヘアピンのみ一瞬スピードが落ちるが、そこから先はこれまでとは違うハイスピードレースになった。あっという間に縦長の隊列になり、デグナーからＳ字へと続く下りで、一気に時速６０ｋｍオーバーのバトルへ。下りはあまり得意じゃないんだけど、スピードを上げざるをえない。

　　が、Ｓ字の下りで後退、第１コーナーの立ち上がりで集団を離れてしまった。これが響いて、ホームストレートで先頭集団と大きく溝が開いた。スピードに乗らなきゃいけないストレートで風除けもなく、無駄に脚を使い、結局そのまま後退。１周回終了時点で、激しく失速してしまった。とはいってもレースは最後まで走らねば。前残りのレースでちぎれた後続は厳しい。４，５人で何とか走るものの、スプーンカーブへの上りは誰も前に出てくれず。２周目は単独で引くことになった。

落ちてくる奴をかわしながら、第１コーナーへは４人で帰ってきた。下位争いとはいえ、集団の中では勝ちたい。そんな雰囲気が伝わってくるからこちらも負けるわけにはいかない。ホームストレートへの立ち上がりで前を行く。意地で２人は振り切ったが、１人おっさんが振り切れず。メインスタンド前で差される。差し返しを狙うが脚が残念ながら残ってない。実況はおっさんを盛り上げ、引き立て役になってゴール。 　　結果を見れば、８５人中５３位。タイム的にも単独で走ったのと変わらない。まあこんなもんか、実力相当。レースを少しでも盛り上げた満足感か１年経ってもまだここに三重に居た情けなさか。悔しさが無いのはなぜだろう？しばらくクリテリウムには出ないことにする。次出るときは、本当に勝ちに行くときだな。今の私に向いてるのは、エンドレスな明日のエンデューロか。 １１月４日　日曜日 　　新城の奇跡、再び成るか。福ちゃん、がちゃ。、Ｍｒ．Ｈ、うっちゃんの４人で挑んだ８時間。のはずが、一番の実力者Ｍｒ．Ｈが体調不良により欠場。なんと８時間を３人で走ることなってしまった。チーム“ＬＯＶＥ・ＷＩＮＧ”、いきなりピンチだ。

　　ホームストレートには７００人超の選手と自転車。“ＬＯＶＥ・ＷＩＮＧ”は今回からロードでの参戦となる福ちゃんをスターターに送り込み、朝８時、８耐がスタートした。本気で入賞を狙っている人たち以外はお祭りみたいなもの。２４時間リレーマラソンの自転車８時間版、そう言ったらわかりやすいか。まさにそんなノリ。ゴレンジャーとショッカーを隠し持つウチらは序盤は頑張らねば。

　　１周約５．５ｋｍをなるべく長めに引っ張ってリレーする。８時間の長丁場を３人で乗り切るには、また、仮装の余裕を持たせるためにはそれしかない。福ちゃん、いきなりの５周、続けて私が４周、がちゃ。２周。ちょうどこれで２時間経過。何とかなりそうな気がしてきた。自転車は見た目が華やかで楽しい。ジャージだけでも色とりどりだし、仮装が加わればなおさらだ。メイド、花嫁、ガチャピン・・・ウチらも負けていられない。

　　２順目、福ちゃんがロードでノリノリだ。６周も行ってしまった。再び、がちゃ。２周、そして再び回ってきた私の３周目で４時間の部がゴールを迎える。スパートに入る選手たちでレースのペースが上がる。１周でも多く、そんな選手たちの熱いスプリント合戦。見ごたえ十分。私でよければ引いてあげよう。付いてこいっ。て、８耐の奴らは付いてくんな。４耐の奴らのために引いてるんだってば。５周で交代。

　　がちゃ。もけっこう走れる事がわかり、容赦なく回す。昼過ぎに会社の自転車仲間から救援物資が届き、エネルギー補給。その間にがちゃ。がファステストラップを出してたり。残り３時間を切り、ここでゴレンジャー＆ショッカーを投入。４耐の部が抜けてコース上は若干空いてきた。加えて仮装が激減。８耐で仮装は厳しいんだろうなあ。別チームから「この時間にレンジャーかよっ？！」なんてつぶやきが。でもそんなの関係ねえ。ヒーローは子どもたちに写真をせがまれたりしつつも快走。全身タイツ、空気抵抗が減って意外に走りやすい。

　　福ちゃん→ショッカー、がちゃ。→桃レンジャー、うっちゃん→赤＆黄レンジャーできつい時間帯を楽しく乗り切る。序盤のように４，５周も走るなんて体力は無く、２，３周回で小刻みに回す。一人８耐の人々はママチャリにも抜かれるほどのバテっぷり。「前に進まね〜」とか「トイレ〜」なんて嘆きが抜きざまに聞こえてくる。

　　アンカーを福ちゃんに託し、祭りのゴールを見守る。スタートから８時間、１６時５分過ぎに福ちゃんがフィニッシュ。次々にゴールラインを通過する選手たちに惜しみない拍手。感動のフィナーレには夕暮れ時の寒さを忘れさせる熱いものがあった。チーム“ＬＯＶＥ・ＷＩＮＧ”、鈴鹿８時間エンデューロ、完走。走った奴しか味わえないこの感動、次はみんなも一緒に味わおうか。

＜記録＞
個人ロードの部
　うっちゃん　ビギナークラス　５３位／８５人
８時間の部　総合２６４位／７５１人・チーム（１９６位／３７７チーム）
　ふくちゃん　１９Ｌａｐｓ　３：１８：００
　がちゃ。　１０Ｌａｐｓ　２：０７：３２
　うっちゃん　１４Ｌａｐｓ　２：４０：２４

おしまい