第5回 Mt.富士ヒルクライム

〜4000人のクライマー〜

LOVE・WING うっちゃん

6月1日

  早朝の富士北麓公園に集まった4000人のクライマーが、晴天の青空に浮かぶ雲上の富士山をめざし、いまや遅しとスタートを待っている。ぎりぎりで到着したウチらは、荷物の回収時間に若干遅れたけれども、何とか預かったくれた。スタート地点に自転車の列、トイレの前に人の列。自分たちの前に別カテゴリーが出て行くのをゲート前で見送る。偶然にもファンライドのハシケンに会い、健闘を祈る。ふくちゃんはまだ100kmマラソンの疲れが癒えないか。LOVE・WING二枚看板の直接対決、楽しませくれ。ここに溢れるサイクリストがスバルラインを走る姿を想像するだけでテンションが上がってきた。

  7時15分、スタート。北麓公園に笑って帰って来られることを祈って、“フォレスト☆”ふくちゃん&“フライハイ”うっちゃん、発進。富士スバルラインの入口、料金所手前の計測開始地点までのパレード走行がまた気分を盛り上げる。スバルラインに入ったところでふくちゃんにさらば。最初から突っ込む私に対してイーブンペースのふくちゃん。走り方が違うので、一緒には走らないが、目指す場所は同じだ。

  2年ぶり4回目の富士ヒルクライム。このコース、傾斜がきつめの序盤をいかにラクに上るか、ラストのフラット区間でどれだけ攻められるかがキーポイントだと思っている。早々に追いついた女子選手や遅めの選手を抜きながら、同ペースの選手とトレインを組み、上っていく。雲のかかった富士山が最初から見えるいい天気。この暑さ、間違いなく私向きのコンディション。

  それにしても自転車の列が途切れることがないこの景色は圧巻だ。どこまで上っても自転車だらけ。抜いても抜いてもスペースが無い。これだけ抜けるってことは今までとはやはり自力が違う。それなりの力が付いてきていると思って間違いない。自転車レースで初めて参加したこの大会での記録が、私の成長を刻む絶好の舞台。落ち着いてきた5kmの通過が20分。余裕はあるが少し遅めか。

  4000人もいればコースが空くことは無いらしい。後からスタートした別カテゴリーのトップ選手が数人、早くもあがってきたが、それに少しでも付いてスピードを上げていく。同レベルの選手がうまくばらつき、人数は多いものの、それほど気にならなくなってきた。10km通過。黄色い声援が無いのが気にならないくらい集中してきた。この5km、18分台。どうやらこのペースで行くしかないらしい。順調に第1関門を抜けた。

  ずっと上り続ける中でも、わずかな下りや、比較的緩やかな区間ではペースアップ。少しでも稼げるところで攻めていく。森林限界が迫り、徐々に木々が低くなってくる。とともに広がる景色。何度見てもこの山の上からの景色は最高だ。まだまだここから。雲の上まで行こうか。デジカメを片手に上っていたが、写真を撮る余裕は無くなってきた。その分、走りに集中して、いいペースをキープ。バテて落ちてくる人を次々にかわす。後発のカテゴリーの上位にもそうそう抜かれなくなってきた。速い人はだいたいもう行ってしまったか。15kmまでのこの5kmも18分台、1時間半切りにはぎりぎりだな。

  頭上から太鼓の音が響いてきたらそこが第2関門、17.2km地点だ。ツールでおなじみのアクマおじさんが登場。その応援に思わず写真を撮ってしまった。そうか、ここもツールの道の途中か。終盤の勝負どころを前に、またこうして富士山を走れる喜びに震えてしまった。実力ぎりぎりのペースを刻み続けた脚の疲労は隠せず。過去大会の経験上、ここらへんで疲れが来るのは予想通り。それでも全くペースを落とさず。20km地点からの山岳スプリット賞区間へ、ダンシングで突っ込む。20km通過、5km20分台まで落ちてきた。

  20〜21kmの1kmがクライマーの見せ場。4000人のクライマーの中で、少しでも上へ。富士山へフライハイ、レース終盤でクライマーの底力を発揮。前後では他を寄せ付けずに走破。そのまま息をつく間もないハイペース。急カーブの先にあるコースが見えないが、ここが勝負どころ。フラット区間前の坂、クライマーなら登りで行くっ。

  最後の脚を使って一気に上りきり、そのままスプリント。無茶を承知でアウターに入れ、このレースでの最高速を出す。1時間半切りを目指すならぎりぎりの位置。ここで行かなきゃもう無理だ。同じことを考えている人が少なくない。バテていた人もペースを上げ、ここに来てトレインを形成。10秒足らずで先頭交代を繰り返し、限界までフラット区間を走り抜ける。次々に落ちていき、残った7,8人も引けずにペースダウン。残り1.5kmを4分で行けば1時間半を切れる計算。

  こうなったら最後まで盛り上げろ。落ちかけた7,8人に振り返り合図。30分を切りたければ、このスプリントに付いて来い。アシストでかます伝家の宝刀“スペシャル”、1km以上を単独で引き、そのまま数人がゴールスプリントへ発射。30分を切れたら感謝してくれ。ゴール前の急坂を力尽きたガクガクの脚で何とか上り、それでも満足の天空のゴール。目標に44秒届かなかったけれど、そこまで盛り返したことに驚いた。最後にアシストせずにしてもらえれば、とか、途中で写真と撮ってなければ、とか、いろいろあるけれど、細かいことは言わずに、次は余裕で1時間半を切ってやる。4度目の富士ヒルクライムは、確実な成長と夢を見させてくれた。これだからやめれらない。

  余談となってしまったが、LOVE・WING二枚看板の直接対決は、ウルトラマラソンのダメージを引きずったふくちゃんの惨敗。力を発揮しきれずに後方に沈んだ。この勝負はまたどこかの再戦を期待しています。では、来年の富士スバルラインで。

<記録>
総合・ロード男子29歳以下
 うっちゃん 1141位/3970人 183位/464人中 タイム:1:30:44 (20:39 - 18:28 - 18:56 - 20:07 - 12:33)
  (山岳区間 838位/3976人中)
 ふくちゃん 2684位/3970人 339位/464人中 タイム:1:53:36

おしまい

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