第23回 全日本マウンテンサイクリング

〜聖地乗鞍へ再び〜

LOVE・WING うっちゃん

8月31日

  今年もまた乗鞍にやってきた。3500人のヒルクライムにLOVE・WING自転車部3人が出場。心配された天気も何とか雨だけは避けられた。雲の隙間から所々青空も見えている。真夏の乗鞍を味わいたかったが、走るにはこれくらいの気候がちょうどいい。

  チャンピオンクラスがスタートして、その後に女子、そこから順次、年代別クラスがスタートしていく。7時40分、スタート。体調不良のふくちゃんを置き去りに、押さえ気味に行く。つもりだったけど、あまりに人数が多すぎてペースが把握できない。レースがある程度落ち着くまでは余計なトラブルに巻き込まれないように周囲を警戒しながら進む。これだけの混み様だと先に出たかずえが心配だ。

  ペンションの並ぶなだらかな最初だけは涼しかったが、道幅が狭くなり、登りだすとすぐに暑くなってきた。あっという間に呼吸が乱れ始め、それと同時に自転車がばらけ始める。ここでうまく流れに乗らないと、単独走行になり、厳しい展開になりかねない。前後の数人と集団を形成し、風よけに使いながら、スピードに乗せていく。いきなり無駄に飛ばした人たちが早々に落ちてきて、女子の後方の選手も早くもとらえはじめる。休暇村前の応援を最後に、第1チェックポイントまでヒルクライム独特の孤独なたたかいが始まった。

  序盤に形成した集団も早々に崩れ、置き去りにする。結局は単独走行に。かといってこの辺りで後方から追いついてくる選手は速すぎて付いて行けない。それでも基本的に抜くばかりで順調に距離を稼ぐ。5km過ぎ、ロードの女の子がちらほら見えるようになってくると、前方にかずえ発見。思ったよりいい位置を走っている。まだまだ余裕はありそうだ。無事を祈り、写真を撮って抜き去った。レース中に撮った写真はここが最後。この後は目標の1時間30分切りが見えてきたので、攻めの走り。で、写真を撮る余裕がなくなってしまった。

  第1チェックポイント、7kmを23分台で通過。あまり抜かれないとは思ったけど、ここまでけっこう速い。給水も不要、そのままエコーラインの一般車通行止め区間、傾斜がきつく、狭い道の続く、応援の声も少ない山岳へと入っていった。スキー場内を抜ける九十九折りの道は下も上もよく見える。どっちを見てもどこまでの連なる自転車の列。一年に一度、まさに乗鞍が自転車で埋め尽くされる日に相応しい光景だ。

  スキー場を抜けたところから第2チェックポイントまでのこの区間、疲れが見えはじめた人が多く、ペースが落ちる。全体的にペースが落ちたので気が付かなかったが、自分もかなりのペースダウン。傾斜が急な区間が続き、容赦なく脚を消耗させる。ここをいいペースで走り抜ける奴らが上位に入ると見て間違いない。スタート時間で10分以上は差があっただろうカテゴリーのトップがこの辺で徐々に追いついてきた。

  コースレイアウトから見ても踏ん張りどころだということは明らか。ならばと、連続するカーブの最内をダンシングで踏み倒す。ホントは終盤にとっておきたかったんだけど、そうも言ってられない。中間地点を過ぎて、ヒルクライムで出す、ヒルスプリント。ツール・ド・宮古島でその効果は実証済み。無理矢理ペースを上げて、追いすがる。上位入賞者はこんなスピードで登り続けるのか。あらためて奴らがとんでもない連中だと実感する。この区間が終わったら、多分力尽きそうだ。こんなオーバーペースはありえない。

  冷泉小屋を抜け、木々が徐々に低くなってくる。第2チェックポイント、15kmを通過。この8km38分。あれだけ頑張ってもこのペース。乗鞍は簡単には登らせてくれないなあ。前後に何人か同カテゴリーの選手がいる。どうやら順位ではこいつらと競り合わなきゃならないらしい。一番傾斜のきつい区間は抜けたと思っていい。あとは天空まで駆け上がるのみ。

  わずかな登山者と大会スタッフからの応援、あとはゴールを目指す者同士の無言の励ましあい?20kmを過ぎて森林限界を超え、遠くには大雪渓、さらには雲に霞むゴールが見えてくる。この景色を見るために、また今年もやってきたんだよ。そういう人が何人もいる。自転車の聖地、乗鞍。位ヶ原山荘を過ぎ、レース終盤、予想以上に脚を使いきり、バテ気味。ほとんど抜かれることはないが、抜く人数も少ない。ちょうど列の切れ目なのか、前方がかなりクリアだ。

  大雪渓の前を通過し、残り2km。手元の時計で1時間半切りはほぼ確信。できれば25分を切りたいと、ここでも渾身のスプリント。後はもう燃え尽きるまでスパート。同カテゴリーの競り合いを制し、そのままゴールへ。乗鞍の夏、今年もここに来てやったぜ。

  ゴール後はチームメイトのお出迎え。息つく間もなく、ゴール地点に戻って応援する人は私だけではない。みんなでゴールしてこそのヒルクライム。ひたすら続く自転車の列に、かずえの姿。ふくちゃんは意外と早く、すでにゴールしていた。スタート時よりもちょっと青空が多めに広がる畳平。全長20.5km、標高差1260m、自転車の聖地にたどり着いた感想はいかがですか?

  目標は1時間30分切り、1000番以内。タイムは達成したけど、順位はあとちょっと届かず。この微妙な未達成が来年もまたここへ帰ってくる気持ちにさせるんだろうな。LOVE・WING自転車部、3人揃ってまた一つここに思い出を刻みましたとさ。

<記録>
総合・男女別・男子Bクラス(26〜30歳)
 うっちゃん 1042位/3401人 1019位/3173人中 94位/224人中 タイム:1:27:16(23:43 - 38:14 - 25:19)
 ふくちゃん 2091位/3401人 2021位/3173人中 166位/224人中 タイム:1:44:58
総合・男女別・女子Aクラス(16〜35歳)
 かずえ 2835位/3401 人 146位/228人中 72位/97人中 タイム:2:07:28

おしまい

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