選手に一番近いとこ

〜2002年 区民体育大会〜

早稲田ハング うっちゃん

  2002年10月27日。新木場駅から徒歩5分。久しぶりの競技場。晴れて暖かいが、風は強め。スタンドにはまだそんなに人が来ていない。競技の準備もまだおわっていないようだ。ホームストレートは向かい風。今日の100mは厳しそうだ。選手がぞくぞくと集まってくる。トラックにはすでにアップを始めている人の姿もちらほら。今回は“陸同”ではなく“ハング”で登録。なんか変な感じ。

  走り幅跳びは昨年のこの大会以来。練習もしてないから、本当に1年ぶりだ。午前中、最初のフィールド種目。まだそんなに観客もいない。トラックではすでに100m走がスタートしていた。バックストレートでのアップを終えて幅跳びのピットに集合。久々でも大会の流れが体に染み付いているらしい。足合わせやマーカーのセットなど当たり前のことを普通にやっていた。ただ今までと違うのは、今回は本当に楽しみに来たということ。選手として、というよりは選手に一番近いとこで競技を見るために参加しているといった感じか。久々だと陸上のくだらない規則や審判員の小言が笑える。まあ詳しくは言わないが、とにかく頭が固いなあと思えてしょうがないことばかりが気になった。

  さて、走り幅跳びの競技開始。区民大会だから、楽しむにはちょうどいいかも。足合わせなんてやっても全く合わない。競技から離れてしまうとこんなものか。1本目、とりあえず思いっきり助走。で、踏み切りは逆足。なのに「おお〜」って、なんでそこで盛り上がるの?!前にたいした選手がいなかったらしい。いちおう測ってくれたけど、利き足じゃないからイケてない記録。でも、ちょっとした歓声にいい気分♪

  その直後にどよめきが起こった。目の前で大ジャンプ。他の人とは明らかにレベルが違う。ナンバーカードを見ると昨年の準優勝者だった。この記録って昨年を上回ってるよなあ。お見事の一言。他は目立った選手はいなかったが、高校生や毎年おなじみの人の試技には、見ていて楽しいものがある。やっぱり間近で競技が見られるのは選手の特権だ。自分の方はというと、2本目、3本目ともにファール。予選落ちでおわりかと思ったが7番目でなんとか決勝に残れた。そう残れてしまったのだ。練習してないのに。

  またちょっとだけ競技を見る時間が増えたってことでうれしい。身体的にはすでに隠居の身。走り幅跳びのわずかな助走でもいっぱいいっぱいになっていた。4本目もファール。3連続で合わないとは・・・。しかも足がつりそう。まわりはというと、決勝になってからみんなの気迫が伝わってくるようになった。この緊張感が気持ちいい。これはのんびり跳んでいる場合ではない。競技を面白くしなければ。

  なんとなく大会の雰囲気を思い出し、走り幅跳びの感覚みたいなものも戻ってきた。5本目はファールながらも足は合ってきた。そしてむかえたラスト、6本目。7番目で決勝に残った選手なんてみんな眼中にない?陸同のユニホームじゃないし?なら、ちょっと盛り上げるために手拍子を求める。間をおいて助走に入る。スピードに乗った。足もどんぴしゃ。観客がざわめく。他の選手の注目が集まる。暫定3位の好記録。なんと去年よりもいい記録が出た。どうよ?って、当たり前みたいな態度をとりつつも、自分でも驚いた。ベストには遠く及ばないとはいえ、ここ数年ではなかなかの記録。練習してなくても出るときは出るもんだ。

  これで残りの人が刺激されたのは確実だ。1,2位の人は安心したかもしれないが、抜かれた人たちは最後の試技に気合が入ったに違いない。見ていて、明らかに気迫が感じられる。最後まで楽しめたんじゃない?3〜6番目に跳んだ人のうち、一人は私の上に行った。1cm差だったから、かなりきわどい。この1cmが練習した人と、してない人との差なんだろうなあ。1位の人は最後まで気を抜かずに跳んだようだ。なかなかの記録を連発して幅跳びを締めくくった。

  結果、4位。去年が3位、一昨年が2位だから、これでいちおう3年連続で入賞だ。順位こそ落ちてはいるが、なぜか記録は上がり続けている。特に今年は偶然もいいところ。久々の大会で楽しめたからよかった。競技から身を引いたとは言っても、陸上はやっぱ楽しい。しかも、選手ってことで参加すれば一番近くで競技が見られるし。勝ち負けとか関係なしに、今大会を一番楽しんだのは私かもしれないね。なんて言えてしまうあたり、一線を退いた証拠?

  体は正直なもので、合計わずか200m足らずの全力疾走でぼろぼろ。疲れきってます。しかし、もっとすごい、鳥肌の立つようなシーンが見たいぞ。みんなもっとがんばってくれないと面白さに欠けるのでは?まあこういう楽しみかたもありってことで、これからも気が向いたら、大会に参加するようにしようかな。ちょっとだけアスリートな気分に浸った一日でした。

おしまい

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