早駒目白決戦

〜第6回 目白ロードレース〜

早大陸上同好会 うっちゃん

  2年連続3度目の参加となる目白ロードレース。東京を去る前に、最後に地元の大会に出ておこうと。豊島区制70周年記念ということで、ゲストランナーはなんとマラソンの前日本記録保持者、駒大卒の藤田敦史選手(富士通)。いつになく豪華だ。たっぷりと楽しませてもらおう。3月16日、快晴で、走るには暑いくらいだ。スタート&ゴールは昨年と変わって千登世橋中学校。第2回大会のときと場所は同じだ。あのときはまだ高田中学校だったが、合併して改築。いつの間にか生まれ変わっていた。

  さて、レース。スタート20分前にコースに入る。ラッキーなことに前から4列目に並べた。藤田選手も2メートル前の先頭にいる。これは行くしかない。10秒前。緊張する。スタートと同時に10人程が一気にダッシュ。藤田選手をかわして前へ行った。すぐに後ろから来る選手はいなかったので、藤田選手にぴったりとついてみる。このロードレース、記録が出にくいのは階段のせい。3回も階段を登らされて、ほとんどクロスカントリー。登りきった頃には全員がばらけた。当然か。

  周りに誰もいなくなった。学習院の森の中、静かなコースに応援の声が響く。「早稲田がんばれ!」「藤田についてけ!」って無茶言うな・・・。でも、これはいいチャンス。藤田の後ろから横に出る。前日本記録保持者と並走。気持ちいい。早大の薄井VS駒大の藤田。こんな構図を頭の中に浮かべて、学生生活の、ランナーとして走ってきた時間を思い返していた。年齢は二つ違い。実は同じ時代のランナーだったりする。最も私は短距離だけど。

  夢見心地で走ったほんのわずかな時間。そして、現実に引き戻される。日本記録を生み出した足。身長はほとんど変わらないのに、ピッチを比べると、回転数が全然違う。こっちだって結構な回転をさせているつもりだったが。きっとこれが世界へはばたく足なんだろうなあ。最初の1キロを3分で通過。私にとってはとても5キロを走りきれるペースじゃない。並走しながらも、藤田のペースはどんどん上がる。5分経過した頃に完全に振り切られた。どこまでペースが上がるんだか・・・。数メートル先でちらっと後ろを見た藤田選手。少しは気にしてくれたなら、それはそれでよしとするか。

  ここで、私のレースは終了。残りの3、4キロはもうまともに走れない。藤田選手との並走で抜いた他の選手に次々に抜き返される。当然だな。こっちはレースの3分の1が終わっただけで、もうバテバテだ。周回コースで、周回差をつけられなかっただけでも粘ったほうか。淡々と進むレースの流れに一人残される形で抜かれまくる。3周目の階段はほとんど歩きに近い状態で登った。最後のほうになって、女子の先頭集団が来た。しょうがないのでもうひと頑張り。とか言いながらも、スパートをしたくて、足はうずうずしてたり。

  早稲田を着ている以上、エンジ色のプライドがある。たとえ競走部でなくとも、ランナーであることには変わりない。実力は違えど、その思いは誰だって同じ。そして、これが早大、学生としての最後の走り。でも、いつだってラストは変わらない。この走りが、明日に、未来につながる。そう信じて、今までゴールへ駆け込んできた。もちろん、これからも駆け込んでいく。言い訳なしの全力スパート。それでも、女子ランナーのトップ3人には振り切られた。

  まあ、こんなもんだ。苦しいレースだったわりには手元の時計もいまいちな数字。最初の1キロにつきるレースだった。結果やタイム以上に楽しめたレースだった。自己記録の更新はまたいつかどこかで狙うとしよう。そうだな、どこの土地に行っても、やっぱ走るっきゃないでしょ。それにしても、いつからだろうなあ。走るのが好きだなんて言えるようになったのは。

  結果、489人中149位。記録は昨年より大幅に遅く、4年前の受験後すぐのときよりも遅かった。でも、何か知らないけど、とにかく楽しいレースだった。あとは後輩たちのがんばりに期待しよう。早大陸上同好会に栄光あれ。競走部とは違う、もうひとつの走りに魅せられた仲間たちにGOODLUCK!

おしまい

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