清らかな風に乗れ

〜第18回 下呂温泉ジョギング大会〜

Waseda Endless うっちゃん

  山あいの清流に映る晴れ渡る青空。中高生のジャージや制服が集まる会場に、ナイキのジャージとサングラスでひと際浮いた感じで登場。受付で「三重からですか!」と余計に注目され、控え室の体育館で地元高校生に挨拶される。「おさようございますっ!」、おはよう。元気があっていいね。なんて思ったら、後に続く高校生みんなに挨拶される!?みんなに「おはよー」。って礼儀正しいのはいいことだし、挨拶されるのはうれしいけど、私を誰かと勘違いしてない?OBだと思ったのかな。だって、他の人には挨拶してないし。

  ローカルな大会で、中学生以下は地元中学校の陸上部の他に、野球部、バレー部、バスケ部とそれぞれの部活が参加。高校生や大人たちは地元の人ばかり。ジョギングの部には下呂の小学生やそれよりちっちゃい子供たちがエントリーしているようだ。ほのぼのとした雰囲気が何となく漂っている。

  ジャージに学校名+岐阜の文字。それなりの強豪校?おじさんランナーたちと話しているとどうやら地元でも有名な学校であることが判明。合併して今の学校名になったそうだ。益田清風、「ますだせいふう」と読んでしまったが、正しくは「ましたせいふう」。10kmの部、スタート最前列はみんな彼らに譲っていた。地元期待の高校ってとこか。ブルーのユニホーム、益田清風の集団が飛び出す。「いってらっしゃい!」。10kmの部のスタートを見送って、次は5kmの部。やっと出番ね。

  スタートラインに並んだ益田清風高校のランナーとそれに並ぶ地元中学生たち。中高生、男女関係無しに5kmの部、一斉スタート!そんなに人数は多くないけど、無理があるんじゃ・・・。「早稲田?!」、「なんでこんなとこに?!」、いやあ益田清風の走りを見てみようかなって。「マジっすか」、「楽しく走ろうぜい」とか言ってるうちに「スタート5秒前」。近くの人たちがざわめく。「ただの同好会ですから」、なんてもう聞いてないね。乾いた号砲が鳴り響き、飛騨川沿いの道を下呂の街中へと走り出す。

  前から3列目にいたのに、飛び出せず。結局先頭集団の後方につけた。先頭がすぐそこに見えてるなんてあまりない展開。それだけで気持ちいい。ペースが落ち着いてきたのは3分経過した頃、最初のカーブを曲がり、緩やかな登り。いいペースかと思いきや、もう1km通過。速すぎ!こんなペースで5km走れるかっての。

  上位選手が離れ始めたのは1.5kmくらいから。彼らにしてみれば、やっと自分のペースで走り出したってとこか。下呂の街中を抜ける入り組んだアップダウンを駆け抜ける。これはスピード以上にコースがきつい。ほとんど登りだ・・・。気温は高くないのに、汗がとまらない。呼吸もすでに乱れ気味。中学生の女の子が並んで走ってるんだけど、この子、速くない?!

  2km地点がほぼコースの最高地点か。やっと登りきった感じ。6分経過で体力もすでに使いきった感がある。飛ばしすぎたか。お土産物屋や足湯が並ぶ温泉街を、観光客の声援を受けながら走る。「早稲田がんばれ〜」、って言われても応えてられないんだけど。5kmってこんなにハイペースなの?!

  すでに先頭は折り返し。前に何人いるのさ?10kmの部後方のランナーを捉えはじめた頃に2.5kmを折り返す。3m幅の道で180度の折り返し。危うく行き過ぎるとこだったが、ここで落としたスピードがもはや上がらず。並走の女子中学生に離され、ガタ落ちだ。やばいな、この疲れ様。

  ローカル大会ならではと言ったらなんだが、折り返しの前後1kmくらいは往復のコースが同じで、しかもコースの仕切りは無し。前を行く中学生が、自分の学校のランナーとハイタッチ。折り返し前の奴らが応援して盛り上げる。前を行く中学生の後ろで私も手を構えてハイタッチ。交わした中学生とその前後の「え〜!?」みたいな表情ととまどいが面白い。それを見た後続は次々にハイタッチに応えてくれた♪野球部だかバスケ部だか知らないけど、ジャージで走って余裕すぎるだろ?こっちはすでにバテバテだぞ。

  全部で20人くらいが前にいるはず。2.5kmから3.5kmくらいまではごぼう抜かれ。脚の動きは鈍いし、呼吸は乱れてるし。3.5kmで最後の登り。上がってきたブルーのユニホームに「きついなあ」とついしゃべりかけてしまう。「そうっすね、自分やばいっす」、こいつまだ余裕がありそうだ。

  2〜4kmで10分以上かかってる・・・。まあそんなもんだ。4km過ぎて、ジョギングの部とコースが合流。抜きながら、お子様には頭をポンとたたいて「頑張れ!」、大人たちには「楽しんで、楽しんで!」なんて。ブルーのユニホームの後についていく。でもね、もう限界。4.5kmくらいで、益田の彼に並んで、背中を押す。「ラスト、行け〜!」、「はいっ」、いい返事だ。行くぞって言うだけの力は無く、ここで力尽きる。

  最後の直線、集まった観衆に、バテながらも「早稲田、フォー!」でゴールラインを通過。前を行った益田の彼とは6秒差。仲間のところで待つ彼に「邪魔してたらごめんな」、「押されなかったら、落ちてくだけっした」とうれしい言葉。ガタイがいいと思いきや、専門は槍投げとのこと。なにぃ〜槍投げに負けたのか。益田のみんな、よく鍛えられてるよ、心身ともに。楽しませてもらった彼らに「これからも期待してるぞ」。みんな揃って「あーした!おつかれさまです!」。うん、いい返事だ。

  高校生以上の部、12位。タイムのわりに上の方。このコースレイアウトに撃沈多数か。とはいえ、ペースのめちゃくちゃ加減とスパートの不発にショックは隠せないが。所詮はスプリンターってことっすか。だめ?ホントに速い奴らは、あまりコースなんて関係ないみたいだけどね。男子10kmは1〜6位独占、男子5kmは2〜4位、女子5kmは1,3,4位に益田清風が入っていた。ゴール後の豚汁を食べながら、下呂の街を駆け抜けた清らかな風に、これからを期待せずにはいられない。そんなローカルなロードレース。いろんな人が楽しめたんじゃないかな。また機会があれば走りに来るよ。温泉街を楽しみに。

おしまい

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