昭和を駆け抜け、東京へ

〜第1回 みのかも日本昭和村ハーフマラソン〜

LOVE・WING うっちゃん

  朝7時、スタート3時間前に大会会場に着いたものの、気温は氷点下2度。岐阜の美濃加茂市、あとちょっと行ったら山間部ってな場所だ。参加者たちの出足も遅い。高校生たちはここまでチャリっすか。これから走るっていうのに、こんなに寒いっていうのにご苦労さまです。早く着いた人たちはみんな車の中で待機。私も温かい飲み物を片手に丸くなって待つことにする。

  8時受付開始。早々に会場となる日本昭和村に入ったものの、どこに陣取っていいかわからない・・・。みんな来るのが遅いってば。早朝の冷え込みは時間とともに和らいできた。激寒の予報よりはずいぶん暖かくなりそうな日差しだ。馬の散歩する横を通り抜けながらのアップ。東海の雄、名城大も参戦ですか。10時にスタートって遅いよなあ。暖かくなってきたら、眠くなってきたし、何か飽きてきた。緊張感の無いスタート前だなあ。

  10分前にスタートの列に入る。タイムごとの区切り、1時間30分ってとこの最後尾だ。狭いコースに1000人以上のランナーが縦長に並ぶ。カウントも無しにいきなりの号砲。せっかくの区切りもほぼ意味がなく、スタート直後の混乱は避けられず。集団の中での窮屈な出だしだ。のんびり行きましょうか。

  スタートラインまでは20秒程度、それを考慮しても最初の1kmの通過、5分半かかってるのはのんびり過ぎる。焦った。で、ペースアップ。後から考えればこれがいけなかった。長く続く下りのコースというせいもあったかもしれないが、2kmの通過で8分半。この1km3分。やっちまった。オーバーペース・・・まあ今さらどうしようもない。やばいと思いつつも、下りが多めの序盤、ペースが掴めず。5kmの通過で22分。このまま行けるとこまで行くしかないわけか。

  今回のハーフ、高低差が約90m。アップダウンの激しい山間部を走るコース。上りでペースが落ちるのを防げば、下りは何とかなるかも。なんて甘い?自転車的な走り方で回転数を変えずに小刻みに上り、ペースが落ちる他の人より前に行く。が、下りで休める自転車と違い、ランは下りでも疲れる。休んでたらあっさりさっき抜いた人たちにかわされる。上りきった段階で普通に疲れてたし・・・。

  ところどころの集落で応援がある以外は、郷山の風景が続く。川のせせらぎと冬枯れの山と何も植わっていない畑と。ただでさえ寒いのにトンネルの通過は勘弁してほしい。サングラスで前が真っ暗になった。取るのも面倒なんでそのまま通過。6km過ぎの給水ではちょっと復活。疲労以上にフラフラしてたのは水分不足か。水がおいしい。

  5〜10km地点までの5kmを23分。バテバテのわりにはペースは思ったほどは落ちてない。でもまだ半分・・・。疲れに慣れてきたのと、飽きてきたのとで、ちょっと余裕が出てきた。声援に応えて退屈しのぎ。前の選手にぴったりとくっ付いて風しのぎ。そんなレース中盤。10kmを過ぎてもペースが落ちず。何とか踏ん張ってるけど厳しい。声援がうれしいね。

  14kmを過ぎたあたりでコースの向きがメイン会場に戻る方向になる。スタート前の予想通り、ここで追い風に変わった。風に助けられるかたちでペースをキープ。10〜15kmまでの5kmも23分でカバー。序盤を除けば見事なイーブンペース。わるくはない。ただ脚がもう相当やばい気がする。あと6kmくらい、何とか押し切りたいんだけど。

  16km過ぎ、3度目の給水。寒いのにスポーツドリンクを飲みまくる。エネルギー切れ。チョコレート1個で悪あがき。集落の通過で庭先からの声援に応えるも、17km過ぎ、目の前に現れた坂に愕然とする。コースレイアウトから後半の上りは覚悟していたが、実際に目にすると厳し過ぎる。「あと3kmだよ〜!」の声にも、心の中で「ちげ〜よ、まだあと4kmだよ!」。

  軽量を生かした走りで、登りに強いLOVE・WINGのクライマーはここからが勝負。ペースを落とすことなく、駆け上がり18kmを通過。残り3kmでゴールが見えてきた。ひたすら上り続けるコースに、全体の流れが遅くなり、加えて距離の違うカテゴリーの選手も混じり、コースがにぎやかになる。残り2km、会場内に入ってきて応援の声も増えた。エンジのユニホームに降り注ぐ声援。名城大の女の子たちに激を飛ばされ、残り1kmでスパート。20km手前の5kmは22分、このまま行けば、ベストだ。

  たらればを言うなら、フラットなコースであれば押し切れたかもしれない。最初の5kmがイーブンペースだったらもっと余裕があったかもしれない。コースとペース次第でまだまだ速く走れそうな感覚はある。が、今回はここまで。2007年最初のレースは、妄想に浸ってるうちに大変なことになっていた。現実、あと4kmからは「もう無理」って5回くらい言いいながらも、長い坂を駆け上がり続けた。が、18km地点で脚が攣り、完全に動かなくなる。

  長距離でも攣ることってあるんだね。びっくりした。不自然な走り方で我慢するも、ラスト3kmの登りを走るにはきつすぎる。女子高生の温かい声援が冷たくなる頃に、歩いてラスト2kmを通過。「早稲田、どうした〜?!」の声に奮起もできず、ラスト1km。ゴールまでほぼ歩くようなジョグで滑り込む。地獄を見たね。キロ9分くらいか・・・。結果106分。何とも言えない微妙なゴール。39歳以下173位だってさ。全体的にきつかったみたいね。

  脚の痛みだけで呼吸系は乱れず。暑くてかいた汗も、終盤は変な汗に変わっちゃったよ。かわいいスタッフに温かい豚汁をいただき、何事もなかったかのように食ってホッと一息。十分な走りでしょう。15kmくらいまでは。調子はわるくないってことで。わるいのは頭だけです、多分。

  昭和を駆け抜けた次は、いよいよ東京マラソン。少なくとも気分は順調に上昇中。今回みたいなのも、何でもあり。だってスプリンターですから。でも、女子ハーフ部は、名城大の女の子が2位に9分の差をつけてぶっちぎり。そんな走りにも憧れます。記念すべき第1回大会に足跡を残した郷山のハーフマラソンでした。

おしまい

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