100kmを走るスプリンター

〜第22回 サロマ湖100kmウルトラマラソン〜

LOVE・WING うっちゃん

  朝5時、こんな時間に走りだしたことなんかない。ウルトラとはこういうものなのか。今回のレース、初の100km、ウルトラ。目標は10時間台での完走。10km/hで行けば、後半バテても10時間台はかたい。が、10km/h→キロ6分。これをはたして継続できるか。体調は・・・万全ではない。寝不足は別として、右脚の太もも裏痛と右足の小指付け根痛。多少なりとも処置はしたが、どこまで持つか。で、考えた策は・・・キロ5分×5km+5分歩き。これで進む距離は30分で5km+α。この繰り返しで届くはず。せこいけど、ゴール&目標タイムありきだとこれくらいしか、ない。

  なんて考えながらスタート。実際には25分走って5分歩いて。序盤、陸同男子4人衆と合流。「これくらいのペースでいいですかね?」とか聞かれても「わからん」。キロ5〜6分くらいで刻めれば上等だろ。彼らにはペースが遅いらしく、抜き去って消えていった。25分経過、やっと体が温まってきたとこで歩いて準備運動。ろくにストレッチもしないうちにスタートしてしまったので、これはわるくないだろ。動き自体はまあまあいいような気がする。

  10kmの通過が1時間どんぴしゃのペース。トイレに入ってたとかで長身の陸同が後ろから来た。すぐに先に行ってしまった。どいつもこいつも速いな。足の痛みはまだ大丈夫。作戦的中か。20kmの通過で2時間。驚くほどのいいペース。折り返してくる人とのすれ違いで陸同ユニホームをさがす。かなり上位に二人、やるなあ。競歩選手のハイペースにビビる。

  以外とラクな感じで、順調に来たはずの30km手前、太ももに違和感が・・・。ペースダウン。痛みだしたら一気にきた。応援の蒼に歩いているとこを見られる。「やばい、痛い」しか言えず。30km通過、3時間10分。歩きで痛みがおさまることを願って、ラン&ウォークを繰り返す。35km手前で本女の女の子に抜かれる。蒼はエイドステーションへと先回り。車で移動して、付いてきてくれてのうれしい応援なのに、かっこわるいなあ。右足小指の付け根が痛くなってきた。

  かばうように走ってたのが原因か40km手前で左太もも裏痛が爆発。全く走れなくなる。サロマ湖の広さを実感しながら、ラン&ウォークから歩くだけに変わり、制限時間とのたたかい。ごぼう抜かれで、一気に転落・・・。「コールドスプレーは?」とか「テーピング!」とか通過する街の人々の声がありがたい。が、こればかりはどうしたらいいんだ?持てる知識をフル回転させ、何とか復活の方法と制限時間ぎりぎりのプランを立て直す。

  フルの通過が4時間半をちょっと越えたくらい。上出来だ。初マラソンで4時間20分かかったことを考えれば、100km中のフルの通過がこのタイムってのはかなりの進歩だろう。が、スプリンターにはそんなに長い距離を走れるような脚は持ってない。マラソンを走りきるのだって、かなり限界まで追い詰められてるってのに、100mを走る脚で100kmなんてとんでもない話か。足が痛くてもう限界。肉離れみたいな症状か。燃え尽きて50km地点を通過。だけど、ここからどう計算しても60kmに届かない感じ。足の回復にわずかな望みをかけて、少しでも距離を稼ぐが、歩くのも厳しくなるばかり。万事休す。

  痛くて歩くのもつらいが、収容されるよりはせめて自力で行けるところまで・・・。50kmの関門でダウンしている人もいたが、多くの人が何とか走って、ゆっくりでもちゃんと前へ進んでいった。たいしたもんだ。ケーイチと同じ駒沢ジョグクラブのおじさん?おじいさん?が居て、やっぱり歩いてて。別の人とのおしゃべりを聞きながらついていったら、ケーイチの話がでてきた。思わず「かつてのチームメイトです」と声をかけてしまった。

  レースが詰んだあとの歩きは楽なもので、そのままエイドステーションへ。蒼が待っててくれた。誰かが居てくれるってのはありがたいな。一応自己最長距離、とはいえ、陸同ユニを出すことなくまさかのリタイア。みんなからの手紙も後で読んで涙した。こうして、最も短い距離を走るランナーの最も長い距離への挑戦は終わった。

  ホタテバーガーを食いながら、蒼の運転でゴール地点へと送ってもらう。60kmの関門まで歩いてリタイアする人がまだコース上に残っていた。制限時間が間に合わなくても少しでも前へ、か。その姿勢は素晴らしい。70km辺り、後はラストの数kmを車から観戦。壮絶な、でも感動するシーンの連続だった。ゴールは一人ひとり入ってくるうちは全て実況つき。100kmのゴールは輝いていた。

  ゴール地点には死体がいっぱい転がる凄惨な状況。完走したんだ。燃え尽きてくれ。10位くらいに一人、30位くらいにも一人、陸同が入っていた。エイドでも上位選手は着替えも早々に走り去って行ったそうだ。1〜3位は山陽特殊鋼が独占。どんな陸上部なんだ・・・?

  一度だけ参加して完走して、二度は走らないつもりだったのに、完走できなかったとなるとまた走りに来なければ。100kmを走るスプリンターの挑戦は志半ばのままでは終わらない。いつかまた、感動の100kmのゴールを味わいに、ウルトラの聖地、サロマ湖に来ることを誓おう。最後に、サポートしてくれた蒼、本当にありがとう。

<記録>
タイム:55km地点DNF 1:00:59 - 2:02:26 - 3:09:32 - 4:21:09 - 6:06:20 (10kmごとのラップ)
(※42.195km地点 4:38:48)
100K男子:DNF 年代別(25〜34歳):DNF

おしまい

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