国立に響け、LOVE・WING

〜第48回 豊島区民陸上〜

LOVE・WING うっちゃん

  聖地、国立競技場にLOVE・WINGとしては初登場。3年ぶりの参加となる豊島区民陸上。今回はYりこ&私の2人がエントリー。大会はまず午前中の一般女子走幅跳から始まった。Yりこを勝手にエントリー。本人もせっかくだからとやる気になり、初出場でフィールド種目にも参加することになった。

  一般女子走幅跳は中学生と一緒のピット。おかげで予選から決勝まで2時間弱かかった。立教大生との一騎打ちに敗れはしたものの予選3本目のジャンプがそのまま2位に。本人も驚くフィールド種目での銀メダルを、初出場で獲得した。

  のんびりする間もなく、午後は私の出番。7年ぶりの100mに参加した。専門種目なんて言っていたのはもうはるか昔のこと。20代最後となり、今さらのように復帰したスプリントでどれくらい走れるのかは考えたくも無い。一発決勝となった男子30歳未満100mには5人のみの出走。全員速そうに見える。いつものことだけど。

  5レーン、LOVE・WINGの名前がアナウンスされる。スタブロに足をセットしたらもう後はなるようになれ。スタートだけは未だに健在、最初の一歩目からトップに躍り出る。この時点で10秒台とかそういう奴がいないことは確信。30mまでトップだった時点で反則的に速い奴もいないようだ。迫る足音とともに後方でうめき声、一人消えた。右隣にかわされ、視界の左端に人影。遅い足音に対して、こちらも逃げ切れない遅い足音。かつての速さはどこへやら。スピードに乗れないまま、何とかフィニッシュ。

  実力者の途中棄権という運も味方につけ、トップと0.17秒差の2着でフィニッシュ。 3着とは0.01秒差と僅差。体は抜かれてたけど、フィニッシュでぎりぎり逃げ切れた。その程度の相手。理想とはほど遠いながらも銀メダルを獲得。100mでは8年ぶりとなる表彰台にあがった。スタートからの数十メートルのみ、かつてのエースの片鱗を垣間見せることができたのでは。記録はともかく、メダルがもらえたのでちょっとうれしい。

  15時、空が暗くなってきた頃に女子3000m。Yりこは走幅跳のダメージを押しての出場。高校・大学・一般女子と中学男子とが入り乱れてのレース。疲労の色は隠せないものの、男子のトップに進路を譲るフェアープレー。先頭集団のチームメイトから進路を譲ってくれたことに対する感謝の声援が飛んだ。

  周回遅れを把握しきれなかった本人にも非はあるが、一周多く走らされるという悲運に見舞われる。そのせいもあって、ゴールでは会場から自然と拍手。次の種目でスタンバイしている高校生たちもトラックから拍手を送っていた。素敵な光景だ。Yりこはトラック種目初完走。お疲れさま。

  最後の出番は高校・大学・一般混合の400m。社会人は私を除いて全員キャンセルという驚きの事実。この歳になるとそんなもんか。400mの参加資格は30歳未満のみ。この大会で400mを走るのはこれが最後。4組中最終組の4レーン。気持ち良く終わろう、そんな思い。驚くほど周りがよく見えてたのは、それだけイメージしたスピードとかけ離れているからなんだろうなあ。バックストレート200mの通過が3,4番手。大して速くないのはもう十分承知。

  コーナーでインから差を詰め、最後の100m。昔ならここで“スペシャル”をかますとこ。スピードは無くても、どうせならと形だけ“スペシャル”をかます。「先頭は5レーン巣鴨高校〜」との実況を聞き、「ちょっと待て、今から抜くから」と冷静に突っ込む。これだけ聞こえるあたり全力とはほど遠いか。ラスト30mで高校生をかわし同組トップでゴール。「先頭は変わって4レーン、LOVE・WING〜」、国立競技場にLOVE・WINGの名前が響く。前に誰もいないのって、やっぱり気持ちいい。

  タイムレースで入賞には届かず。それでもここ数年では上出来のタイムを出し、20代最後のスプリントに華を添えた。社会人だけならトップなのに、なんて。正体不明のおっさんに抜かれた高校生たちはチームメイトに文句を言われているようだ。修行して出直してこい。まだ先があるんだから。

   大会の最後は男女4×100mリレー。女子は3チームのみのエントリー。LOVE・WINGも参加してればメダルの可能性があったかも。 男子は8チームが出走。三菱重工のおっさんチームが果敢にもエントリー。 最後尾ながらもリレーを楽しむ姿勢を若いアスリートたちに見せ、大会を締めくくった。いつかLOVE・WINGでもリレーを組みたい。来年か?

  こうして20代最後のスプリントは幕を閉じた。引退、と言ったら大げさだけど、これで何かを終えた気分。一線を退いた後によくまたここまで戻ってきたなあというのと、やっぱりスプリントって楽しいなあっていうのと。区切りの舞台としては文句無しの国立競技場。走れる幸せをかみしめて、これからも走れる限り、もう少しだけ走ってみたい。

  LOVE・WINGの豊島区民陸上、すっきりした気分の銀メダル2個でした。

おしまい

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