たそがれ南国の走り方

〜第18回 ヨロンマラソン〜

LOVE・WING うっちゃん

  朝の雨もフルマラソンがスタートする頃には止み、ハーフマラソンの時間までには道路もかなり乾いていた。晴天確実Tシャツ効果か。みんなそれほど前の方に来ないので、遠慮なく最前列にスタンバイ。かずえ、ありさ、ゆりこと4人で並んだ。ありさとゆりこは谷マリと握手。スタート直前に気軽に応じてくれるなんて、いい人だ。

  スタート10分前になってなんだかテンションが上がってきた。これが南国ヨロンのマジックか。先頭を走りたい衝動に駆られ、10時スタート。と、ともにダッシュ。最初のカーブに同じ宿のおじいさんが居て「そこまではトップを走るから」とさっき言ったばかり。有言実行。猛者ぞろいの最前列から先頭を取るためには本気のダッシュ、トップへ踊り出る。島人の声援を浴びる中、茶花市街を激走。数十秒経ってもまだ誰も来る気配が無く、そのまま独走の一人旅へ。「もうハーフの先頭が来たよ?!」沿道の声がよく聞こえる。白バイの先導つきで気持ちいい。

  後方をチラ見。見えない?!思いっきり振り返る。後続は4,50mも後方?!なんで?!誰もついてきてなかった。優勝が70分なら5kmの通過は16分、キロ3分ちょっとじゃないと先頭は走れないという計算でダッシュしたのに、まさかこんなにみんな控えめだとは・・・。コースがフルと合流する頃には白バイに「後ろの人を先導して下さい」って言いたい気分。たまに振り返る白バイさんに申し訳なかったり。約1.5km、4分40秒トップを走ったとこで先頭グループの4人に捕らえられる。それでも一気にみんなが迫ってこなかったのには少し驚いた。

  もしやみんなそれほど速くないのか?それともそんなに飛ばしたか?答えは後者。ハーフ95分かかる人間が1kmを3分で通過。超オーバーペースだ。そこから先は地獄絵図。それでも数えるほどしか抜かれないので、ひたすら粘ることを覚悟。順調に落ちつつも、アップダウンのヨロン道をフルのみんなとすれ違いなら楽しむ。ふくちゃんとのすれ違いではまだ6位くらい、ひらとのすれ違いでもまだトップ10をキープしていた。5kmの通過は21分台。このまま踏みとどまれば、いい感じなんだけど。

  小さな集落を抜ける度、給水所を通過する度、声援に手を振り、小学生からは水を受け取る。せっかくだからと、ほとんどの応援に応えながら走る。エイドのおいしいものを食べる余裕は無いものの、10km手前で女子のトップに抜かれたり、ハーフの上位に抜かれたりしつつも、驚異の(自分で言うのもなんだけど)粘りで付いては離されての繰り返し。マリンパレスでたそがれたくなった。

  巨大風車が見え、13km地点の最長の上り坂を、意地で走りきる。ここさえ踏ん張れば、あとは下り基調。そう言いきかせてたら、ヤギ汁には気が付かないわ、JALのゆず茶をどのお姉さんからもらうか選びそこなうわ。とにかくいっぱいいっぱい。上りきった後に広がる景色はコース中で一番きれいだった。ここから飛べたらなあ、なんて思いながらの下り。前後50m以内に2人ずつ。引くに引けない後半の激闘が繰り広げられた。

  ヨロン空港横を抜け、18km過ぎで谷マリ軍団の一人に、19km過ぎの空港横で谷マリに追いつかれ、「ついてきなさいっ」とばかりに前を行かれる。プリシアリゾートの前は谷マリと一緒に通過するも、20kmまでの5kmで24分台まで落ちてきた。15歳の中学生(年代別優勝だった)に「谷マリに付いていけ」と背中を押し、帰ってきた海岸線で沈む。前には離され、おっさんにも抜かれ、ゴール手前の海岸線が長いこと。最後はスパートの力も無く、流すようにヨロン一周を締めくくった。前後が離れているこの辺はみんな実況付き、「東京都から参加、うっちゃん、今ゴールです!」と気持ちよく燃え尽きる。

  感動のゴールでミスハイビスカスに抱きついてかけてもらう完走メダル。完走証をもらって見る「年代別4位」の文字。ぎりぎりで表彰台に届かないその結果が「おいしいな」と思ってみたり。最初に無駄に目立ったことを考えれば上出来。記録はこれからも作れるけど、この先頭を走った記憶はそうそう味わえるもんじゃない。狙ったベストよりも、貴重な思い出を選んだ、南国のレースだった。

  さて、ゴール後はマッサージも受けずにすぐにゴール前へ移動。後から来るはずの仲間を待ち構える。最初に来たのがありさ。年代別優勝だった。ありえないくらい遅れて、かずえ。島のそこら中にマーキングしてきたとか。まさかの追い上げでゆりこ。たっぷり食って楽しんでの完走だ。撃沈のふくちゃんも楽しんでのゴール。初マラソンのようこさんも余裕たっぷりに帰ってきた。制限時間3分前にひら。みんなで一緒にゴールへ。ひらの後の人は7時間ちょうどを待ってゴールした。全員無事に?完走。レースの終了を待っていたかのように雨が降り出し、たそがれた。

  ぼろぼろのゴールだったのものの、タイムを見ればそれでもセカンドベスト。無駄に飛ばさず、平地だったら・・・単純な話では無いけど、本当に力がついてきたかも。10年前の初ハーフ以来、ずっと目標になっていた90分切り。あとはチャンスさえあればってとこか。それにしてもヨロンマラソン、楽しすぎるぞ。

<記録>
タイム:1時間36分28秒 21:39 - 22:08 - 23:15 - 24:01 - 5:23 セカンドベスト
ハーフ総合男子:16位 年代別(30〜34歳):4位

ハーフ フル
ありさ 1時間59分44秒 総合女子:16位 年代別:優勝
ゆりこ 2時間47分20秒
かずえ 2時間47分21秒
ふくちゃん 5時間45分13秒
ようこさん 6時間47分54秒
ひら 6時間59分15秒

おしまい

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