キャベツが見守る難コース

〜第2回 嬬恋高原キャベツマラソン〜

LOVE・WING うっちゃん

  スタート前にこれほど愕然としたことは無い。参加者の多くがそうだったかと。とんでもない上り坂。終盤5kmでゴールまで標高差200mの上り。こんなの走れないぞ?第1回とは違うコースで開催された今大会、第2回。今までで走った全てのマラソンで一番きついコースレイアウトだった。スタートから5kmで200m下り、 10kmで10個の丘を越え、ラスト5kmで200m上るというとんでもないコース。開会式の挨拶で、「こんなコースでごめんなさい」的なコメントがあったけど、本当にそのとおりだ。それでもこんなコースでも、ベストを狙いに行くしかないでしょ。もう当分走る予定ないんだから。ここまでの連戦でコンディションは上々。朝からの曇天で、たまに日差しがあるものの、この時期にしては比較的暑くない方か。やはり敵はこのコースだ。

  ハーフ参加は、かずえ、さやか、みゆき、ともちゃん、ゆりこ、マティ、私。女子は3強対決だ。このコースレイアウトを見て、ほとんどの人は記録は諦めて楽しく走ろう、と思ったはず。一部を除いて。上りに強い人、自転車で言う“クライマー”と呼ばれる人種がランナーにも存在する。箱根駅伝を見ていてもわかるとおり、上りのスペシャリストと言われる人々だ。今までは私は平地だからこそ走れてるのであって、上りとか難易度の高いコースでは思うように走れなかった。けど、自転車でここまでのクライマーになれた今、ランでも上りがいけるのでは?そんな適当な根拠で今日はベストを狙いにいく。

  記録が狙えなさそうなせいか、スタートの雰囲気もゆるく、混雑の中でもそれほどロスせずに走れた。全体的に下りでピッチが早い。私もちょっとスピードが速い気がするけど、勝手に出てしまうものはしょうがない。脚の消耗に気を使いながらも、スタートから下りっぱなしのせいで、5kmはベストが出そうな勢いだった。スタートラインの通過までの時間を除けばおそらくはベストだろうな。

  下りきったところでやっと周りがすっきりしてきた。それもそのはず。息をつく間もなく今度は上り。ここから大小のアップダウンがひたすら繰り返される。平地なんてほとんど走ってないのでは?大きな丘は標高差4,50mはある。上りで我慢、下りで回復、しかないんだろうなあ。高原のキャベツ畑の中をこんなに苦しい思いで走ることになろうとは。

  それでもせっかく刻んでるハイペース、勢いそのままにクライマーの脚を見せつけ、上位と今までにないくらい差が少ない状態で折り返した。前から何番目かぎりぎり数られそうな位置。折り返しで46分ちょっと、単純に倍なら92分。さてこの難コースでどこまで持つのやら。すれ違いでマティ、かずえ、みゆき、ゆりこと次々に顔を合わせてハイタッチ。記録狙ってても、楽しまなきゃね。初ハーフのともちゃんは最後尾で上りを歩行中。初めてでこれは地獄だな。がんばれとしか言えないけど・・・。

  来た道を戻っているのでアップダウンを逆にたどる。わかっていてもきついものはきつい。太陽はすっきり出てないのに暑さもやばくなってきた。何よりもこのきついコースに想像以上の疲労だ。序盤押さえていた人たちがじわじわと上がってきて、粘る展開になってきた15km。行きよりもいいタイムでクリアし、いよいよ終盤に差し掛かる。あの上りを山の神のごとく走れば、ベストが出せる。と、強気に攻める。

  16kmくらいまではハーフのベストが出そうなタイムを刻んだ。けれども、残り5km、上りのみになってから今までのつけが一気に足に来た。クライマーの意地を見せたのもわずかの間。残り4kmで他の人同様、足が止まる。前を見れば、走ってる人よりも歩いている人の方が多い、凄惨な状況だ。完全に脚が前に出なくなり、周りの人たち同様、歩いたり走ったりの繰り返し。ていうかほとんど歩き。聞けばみんな80〜90分のタイムで走る人ばかり。想像以上にいい位置で走っていたようだ。たらればだけど、もしフラットなコースだったら、かなりのタイムが出せたかもしれない。

  マイペースを死守した人はこの上りを、遅くても走れてるようだ。ゴールのスキー場が見えてきた頃にやっとキャベツ畑をのんびり見れた気がする。ベストを狙ってたのなんてすっかり忘れたような失速っぷりに笑うしかない。でも、まだまだ走れるっていう手ごたえはあった。いつかまた走ろう。ベストを出すために。女子4位の子と話ながら、最後は振り切られてフィニッシュ。とんでもないコースだった。キャベツ畑なんか知るか、みたいな感じ。

  5kmや10kmも相当大変だったようだ。終盤一緒だった女子4位の子は、年齢別2位で賞状をもらっていた。「お疲れ様でした」とわざわざ挨拶までしてくれた。ありがとう。女子は100分切ったのはたった3人だけだった。さて、これほどまでに苦戦したハーフ。残りのメンバーが気になるところ。マティはさすがで、マイペースを守り、最後まで走りきった。経験のなせるワザか。残り1km地点まで下って、後続を応援。浅間山をバックに、走ってる人なんかほとんどいない。この悲惨な状況、そうそう見られる光景じゃない。マイケル追悼ランのさやか、みゆきの見えない脅威から逃げ続けたかずえ、燃え尽きたみゆき、ドーピング効かずのゆりこ、の順でゴール。制限時間内にともちゃんはゴールできず。収容車に回収された。

  と、思ってたんだけど、なんとまさかまさかの歩いてゴール。3時間30分くらい。制限時間アウトだけど、ゴールゲートも閉鎖されてたけど、最後まで自分の足でゴールするってことで最後尾のスタッフとも話がついたらしい。スタッフの計らいに感謝するとともに、ともちゃんのゴールでキャベツマラソンを締めくくった。それにしても、このコース、また走りたいとは思わないな。走ったみなさん、本当にお疲れ様でした。足のダメージは、筋肉痛の具合からみて、フルマラソン以上のものだった。

<記録>
タイム:1時間43分47秒 20:38 - 24:37 - 23:03 - 28:39 - 7:10
総合順位:101位/1148人 (男子35歳以下:42位/375人) 

LOVE・WING参加14人全員完走。

おしまい

 

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