情熱のフライハイ

〜第20回 ヨロンマラソン〜

LOVE・WING うっちゃん

  長期休養明け1ヶ月で臨んだ、3年連続3回目のヨロンマラソン。過去2回、スタートから飛ばしてしまい、後半失速。今回はおとなしく体力温存で実力を最大限に発揮してあわよくば入賞を。なんて思ってスタートラインに並んだものの、スタートの号砲とともに、結局飛び出してしまった。ヨロンマラソンでは珍しい晴天に、スタート前から暑すぎるコンディション。市街地を抜けると吹き荒れる強風。加えて序盤からのアップダウン。先頭もペースが上がらず、5km過ぎまで視界に捉えられる範囲にいた。

  久々のレースでちょっとバタついたか、声援に応えるのもぎこちなく。早くもふくちゃんとすれ違い、ハイタッチ。直前まで気づかず。これで周りが見えてきた。すでにバラけた上位集団は例年どおり縦長の展開。そして私の居る位置は見事に孤立。5kmの通過が22分台後半。ほぼ想定どおりのタイムだけど、体力の消耗が激しい。抑えてるのに、上り坂と暑さと風でやられてる。

  ここでなおぴんが登場。応援でテンションを上げてもらう。いまいち乗り切らないまま距離を消化。そこら中に居る応援がありがたい。きれいな海がサトウキビ畑の向こうに映える道を、後ろからあがってきた数人と並走。すれ違うフルマラソンの人々はバテバテ。この5km、23分台前半でまあまあのペース。

  長く緩やかな上り坂が続く10km付近。女子の招待選手2人に続く女子3位に追いつかれる。並走組に離され始めたのもこの辺。完全にバテてきた。10ヶ月のブランクからは、そう簡単にはハーフを走れる体には戻らないか。でも、これもいつもどおりの展開。突っ込んでひたすら粘るのみ。暑さに給水は必須のところを、あえてスルーし、追いすがる。

  13km地点、ヨロンマラソン最大の難所、延々と続く上り坂。当然、みんなペースが落ちている。だからこそ、ここで行く。理由はクライマーだから。向かい風の中、見える数人を追い上げ、頂上へ。島一番の高台からきれいなパノラマが広がる。今年もJALのお姉さんからゆずジュースをゲット。したつもりが、ただの水でショック。

  坂の向こう側は追い風になるはず、との予想も外れ、結局向かい風のまま。上りで追いついたものの、下りから続く平地で完全にちぎれ、孤立。しかも、前半にはやたらとあった給水所が全く無くなり、暑さにオーバーヒート。15kmを前にしてこの消耗、24分台前半までの落ち込みで済んでいたのは上りで稼いだおかげか。

  前を行く背中は遠く、それでも視界にぎりぎり捉えられる範囲で粘る。16km、17kmとキロ5分半までがた落ち。復帰1ヶ月ではこれくらいがいいとこか。それでも、今回だけは全力で粘るし、絶対に歩かないと誓ってのレース。私設の給水をありがたくいただき、最後まで攻める。20kmの通過でこの5kmを24分台まで戻した。前を行くランナーもきつそうだが、近づいては離されての繰り返し。後続は徐々に差を詰めてきて、せいぜい10秒差。

  海岸沿いの強風地帯、せめて100分切りくらいはと後続を振り切りにかかる。が、結局、残り300mで並ばれる。オーストラリア代表(と勝手言ってるだけ)ポール・スミス。ヨロンの女子高生が迎えるゴール前。普通ならハイタッチでもしながら、さわやかにゴールか。ポール・スミスとの激しいスプリント勝負に先行し続けるも、残り30mでかわされ、そのままゴール。もうスプリントする足なんて残ってなかった。

  タイムも100分切れず。3回のヨロンマラソンの中では一番遅い記録。ミスヨロンから完走メダルをかけてもらい、ポールとがっちり握手。「Nice run!!」、「アナタモ、ネ」と日本語が返ってきた。暑さと強風が吹き荒れるものの、青い空に青い海、さわやかなゴールだ。完走証をもらって見る年代別1位の文字。同じく年代別1位だったポールと再び握手。

  スタートとともに飛び出したとか、声援に応えて蛇行しすぎたとか、給水の子どもから無駄にコップを受け取りまくったとか、JALのお姉さんの前で減速したとか、そのせいで上り坂のがんばりがあっさり無駄になったとか、そこまでしてもらったゆずジュースのつもりがただの水だったとか、そんなのの積み重ねで終盤に激しく失速してしまったとか、もはやブランクでスプリントのキレも失ってたとか、反省することは多いが、素直に金メダルを喜ぼう。こんな遠くまで3年連続来た敢闘賞ってとこか。

  実は今回、愛兎“ぶーこ”を思っての走りだった。体調不良の“ぶーこ”が苦しんでるのを考えると、好きで走って、きつい思いをしている私は幸せ者。苦しいからって自分だけその辛さから逃げるなんて絶対にできなかった。だから、全力で粘るし、絶対に歩かないと誓ってのレース。頑張ったら“ぶーこ”も良くなるかなって。そのご褒美がこの結果か。

  次々に帰って来るランナーたちを応援しながら思う。記録を狙ったにしても、マラソンを楽しんだにしても、それに全力を尽くしたか?と。走れる幸せをかみ締めながら、仲間のゴールを迎える3回目のヨロンマラソン。ちょっと恥ずかしい記録だけど、表彰台の真ん中は気持ちよかった。

<記録>
タイム:1時間40分12秒 22:48 - 23:14 - 24:10 - 24:59 - 5:01
ハーフ総合男子:14位 年代別(30〜34歳):優勝

ハーフ フル
みゆき 2時間28分48秒
ごろー 2時間36分54秒
ゆりこ 2時間48分02秒
ふくちゃん 4時間50分59秒

 

※3月9日追記

  愛兎“ぶーこ”が今日、お月様にかえりました。ヨロンツアーから帰ったら元気な姿が見られると思っていただけに残念です。いま思えば、このヨロンマラソンのおまけのような金メダルは“ぶーこ”からのプレゼントだったのかなって。“ぶーこ”ありがとう。生まれ変わったら、またウチらの子になるんだよ。“ぶーこ”を可愛がってくれたみなさん、本当にありがとうございました。

おしまい

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