夢の島を乱す風

〜第65回 江東区民陸上〜

LOVE・WING うっちゃん

  夏の終わりの夢の島は、台風の進路に翻弄される天気。ホームストレートに時折フォローの爆風を吹き込む中で開催された初出場の江東区民陸上。なんで江東区民陸上かは秘密。9年ぶりの夢の島陸上競技場は、小さい大会だと思っていた以上の賑わい。小中学生が大勢エントリーしているので、スタンドの屋根有り部分は大混雑。昼前に競技場入りしたらすでに空きがなかった。

  かずえの病欠により、一人さみしく参加。夢の島で開催の大会にはなぜか毎度一人での参加ばかりの気がする。エントリー種目は400m&初の5000m。そしてまさかの競技間10分というタイムテーブルに、何て言うか、何も言えず。それでも、久しぶりの競技場、ちょっとテンションが上がってきた。出番は夕方3時過ぎ。小中学生や他の予選種目を見ながら、いつの間にやら「On your mark」に変わったことを実感する。気分は世陸だ。

  アップしても調子はいまいち。体が重く感じる。が、スパイクを履いてみると体が軽くなったように感じて驚く。そして意外にも緊張した。専門でもないし、気楽なはずだが、あまりにも久しぶりすぎて、びびった。400mは7人のみのエントリーで一発決勝。しかも8レーン。でも、他の選手と話しているとだいぶ落ち着いてきた。6人出走で、内4人が30代以上。いい具合のシニア対決、30代がこうも集まると、何か気がラクになった。加えてバックストレートの強烈な向かい風。ホームストレートでは追い風参考ながらも好記録が連発しているが、周回する種目はきつい。そんなコンディションもあって、出番になる頃には程よい緊張感に浸っていた。

  ここ一番での勝負強さに我ながら驚く。7レーンが空いて単独の大外。「On your mark」で集中、「Set」の少し後、スタートから飛び出す。コーナーの半分も行かないうちに風を感じ始め、バックストレートに入ると思った以上に強烈な向かい風をくらう。そんな中でも脚はよく動いた。周りを気にせずに走れる8レーンが良かった。前半から飛ばし、とにかく逃げ続ける。250mくらいまで視界に誰も入らなかったのは今の走力を考えれば上出来。この辺りから足音やイン側の人影がちらつき始め、コーナーの出口ではまだ2位争い。逃げた効果があった。昔ならそのまま行けたんだろうけど、今はそうもいかない。

  バテた脚を追い風に助けられながらも、トップははるか先。メダル争いはホームストレート勝負。2位には離され、3位にも残り50mでかわされる。が、せっかくのメダル争い、この後の5000mを捨て、伝家の宝刀を抜く。キレはいまいちでも、ほんの3秒だけ超本気。あとは勢いでゴールに飛び込む。ぎりぎり差したかどうか。“スペシャル”をかましてやった。

  そのまま5000mのスタート地点に直行。結果は走ってる途中に知った。3位、400mでは初めての表彰台。まさかの差し返しで逆転の銅メダル。夢の島を乱す風に助けられたか。しかしまあタイムを見て、泥試合だったこと確認。トップも含めてみんなベストから2秒くらいずつ遅れていた。どちらかと言えば、強烈な向かい風にやられた感じか。


↑意外と混んでいた競技場

↑100m(カテゴリー不明)のゴール。

↑400mトップ3。同じチームのワンツー。

  息を整える間もなく、汗も引かないうちにスタートした5000mは年齢別でいくつかのカテゴリーが同時出走。40歳未満は11人しかエントリーしてなかったので、3人DNSかど素人なら走るだけで8位の賞状がもらえる、と姑息に考えての強行出走。一周120秒かかるあまりの遅さでも、呼吸は乱れまくり、頭はくらくらする悲惨な状態。ラップを押し忘れたり、周回数も分からずに、淡々と後方で距離を消化。限界でリタイアしようとしたら「遅くてもいいから走って」とコースに戻され、ゴールだと思ったら「もう一周!」と走らされ。普通なら6km以上走れる時間をかけて5000mを何とか完走した。

  結果、後ろから3番目、カテゴリーではブービーながらも、8位になり、完走しただけで敢闘賞的な賞状をもらった。トラックでの初めての給水は、コップの捨て場に困り、テーブルに戻しに行ったり、アウト側をふらふらと走ったりと、悲惨なジョグを頑張ったご褒美か。壮絶に印象に残る、初の5000mとなった。

  50代以上&女子の5000mはかなり遅い人も参加しており、これなら走らされたのもわかるかなと。日焼けするほどの日差しから途中では雨が降ったりもしたが、夕方には晴天。ただし風は最後まで夢の島に吹き荒れていた。ダウンしながら最後のリレーまで見届けておしまい。表彰式では400m入賞の方々と「また来年もぜひ」とシニア同士、健闘を称えあった。

  離れてもまた戻ってきてしまうトラック。走れる限り走ろう、いつかそう思ったとおりに、世陸熱に当てられて疾走した日曜日。まだまだ行けそうな気がする、そんな400m初の表彰台と初5000mのダブル入賞でしたとさ。

おしまい

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