初開催のマラソン、しかも神戸のような大都市のマラソンとなるともう雰囲気が違う。スタート前の整列だけで、これほどランナー全体のテンションが上がっているのがわかるレースも珍しい。市役所前に並んだ２万人のランナーをＡＫＢのカチューシャの演奏が送り出す。第１回、記念すべきマラソンのスタートだ。

　　比較的前の方に居られたこともなり、2分足らずでスタートラインを通過、街中の沿道には両サイドとも大観衆。そんな中、勘で右側を走るとすぐに応援のかずえの姿を発見。いい勘してる。そして序盤の流れに乗りづらい中、右に左に曲がるコースを抑えたペースで走っていく。3時間30分のペースメーカーとそれに付ける大集団を見送り、復興した神戸の街並みを見ながらのマラソンだ。

　　５ｋｍ通過は29分。スタートラインまでを差し引いても遅い。ベストを狙っているわけじゃないが、3時間30分切りにはゆっくりすぎたか。ここから徐々に上げていくことにして、鉄人２８号の裏側を通過する。１０ｋｍ過ぎに再びかずえ。知らない街でよく移動してくれている。ウィダーを受け取って、止まって話す。そんなに必死じゃない感を最後まで持って行きたいところ。まだペースは上がらないが、焦らずに行く。

　　早大生のトップを目にし、かおりんとすれ違い、気持ちが乗ってきた。２０ｋｍまでの５ｋｍで25分台。やっとエンジンがかかってきた感はあるが、しかしまあここからでは3時間半がきついことくらいはわかってる。とにかく終盤まで楽しもう。スイーツエイドで多めにもらい、沿道で応援してくれる子どもたちに渡しながら走る。

　　２５ｋｍ過ぎでまたかずえが居てくれた。どこに居るんだか土地勘が無いので、いきなりの声にびっくりする。タイムを気にしなければ止まって話す余裕くらいはあったり。もうこの時点で3時間半は無理そうだった。けど、周りのランナーが盛り上げてくれるから、走らないわけにはいかない。

　　序盤を控えめに走ってきたおかげで３０ｋｍを余裕を持って通過。バテた人を抜くばかりになってきた。立ち止まった分だけ、この５ｋｍはペースが落ちたが、そうじゃなくても脚が疲れてきた感はある。そんな中でここから神戸の繁華街へと入っていく。沿道の人が一気に増え、誰にでも声援をくれる。これはかっこ悪いとこは見せられないな。それにしても神戸の街並みは見事なもんだ。

　　３５ｋｍ手前で高架へと登らされる長い坂。その直前にかずえ。コースが沿道から外れるぎりぎりのところで見つけられた。ここは手を振るだけ。あとはもうゴールで待っててもらおう。しかしまあ終盤のこの坂は脚に来る。みんな歩いてるし。ここはボランティアスタッフの声援のみ。それでも女の子たちに声をかけられれば、頑張るしかない。

　　しおさい公園でよりいっそうの声援を浴び、対岸に神戸の復興した姿を目にする。歩いた分でタイムはかなりロスしたが、おかげで脚は復活。４０ｋｍから先は気持ちよく走らせてもらった。今さらのキロ5分ペースで抜くばかり。最後の直線はゴールへのウイニングロード気分。どんなタイムであれ、４２．１９５ｋｍを走ったことに変わりはなく、感動しながら、神戸の道を思い出しながら、ゴールゲートを駆け抜けた。

　　攻めたわけでないので、多少なりとも余力もあり。ゴール後にこんなに清々しく過ごせるのも珍しい。グロスでは3時間45分切れず。タイムとしては良くないけど、楽しむという目的は十分に果たした。６度目のフルマラソン完走。記念にゴール後の写真を撮ってもらって、応援で走り回ってくれたかずえを探す。すでにかおりんと一緒にいて、彼はまさかのバテっぷり。いつも速くて余裕の姿しか見てないからたまにはね。奥さんのゆうこりんも無事にゴールしたことを電話で知る。無事完走、ここにまた思い出が一つ。神戸の街がこれからも輝くことを願って。神戸マラソン、ありがとう。

＜記録＞
タイム：3時間45分25秒　29'02 - 26'16 - 26'12 - 25'11 - 25'25 - 26'41 - 26'13 - 29'11 - 11'14
（ネットタイム：3時間43分41秒）
順位：２４０８位／２００９６人　（フル３０〜３４歳男子：２４５位／１９６１人）