日出ずる国の夫婦ランナー

〜第7回 サイパンマラソン〜

LOVE・WING うっちゃん


  びわ湖で五輪の切符を争い、ヨロンで開戦していた週末。北マリアナ諸島サイパンマラソンに、LOVE・WINGから、かずえ、ゆうた、まさとともに参戦。灼熱のサイパンで、真っ暗な時間からスタートラインにスタンバイし、昇る朝日を全身に浴びながら、それぞれのベストを尽くしてきた。

  スタートは前から三列目。みんな遠慮したのか、前の方は空いていた。5時45分、まだ真っ暗な中で号砲。いきなり飛び出す人もいなく、コース幅の広い直線で、ペースを惑わされないように気を使いながら、無理のないペースで先頭集団につく。右に曲がるとあとはもう折り返しまで直線。そんなに速くならないところを見るとせいぜい80分くらいの持ちタイムの人しかいないようだ。2kmくらいで無理してついてきた人が消えていき、早々に人数は絞られた。スタートから10分足らずで吹き出す汗。日の出前から暑さがたまらない。

  最初の給水、暗くて見えないけど、スタッフが激しくアピールしてくれて目に付いた。ノリ、良すぎ。紙コップを手渡し。これはありがたい。水分を取らずには持たない、やばいコンディションだ。その証拠に5kmを待たずにすでに先頭集団は5人に絞られ、その中に入っているという、いいイメージの展開。走りを見る限り全員格上。ただ、85分くらいなら今日は出せるかもしれないので、とにかく体が熱くなっても、頭は最後まで冷静に。

  気になる5kmの通過は21分ちょっと。「5km」の表示はなく、フルマラソンの残り距離表示を振り返って確認。ここから先頭を牽く、現地人がペースアップ。それに付いていくのが2人、残る1人はペース維持で一緒に走る。日本人4人、現地人1人。後ろは大きく離れ、この5人での勝負になりそうだ。給水の度にノリのいい現地人スタッフが「ウォーター?!ゲータレード?!」って。こちらではスポーツドリンクといえばゲータレードらしい。

  10kmを前にして、前から1人落ちてきて、一緒に走る人がペースアップ。これにはあえて付かず。先頭から2,2,1と間隔を空けての展開に。「10km」の表示はあった。この5km21分半くらい、まだまだ自己ベストのペースで余裕がある。が、この「10km」から折り返しまでが近過ぎ。もう見えてるし。すれ違いながらもお互いにエール。上位4人は脚がよく動いている。そして折り返し。コーンの奥を回ろうとすると前を通れ、と。まさかの完全ストップでの折り返しは43分台。6時半、東の空は明るくなってきたけど、まだ風は無い。

  こんなに上位で折り返すことなんて無いのにそれでも想定していた状況だったので、冷静なまま。走れて当然の走力をつけてきた自信は大きい。すれ違うランナーに応援を送りながらの走り。外国人ランナーの方が圧倒的にノリがいい。まさかの並走、かずえとゆうた。思ったよりだいぶ早い。女子8,9番手だったと思うけど、未確認。とにかく前が詰まってることを伝え、かずえの猛追に期待。

  日が出始めてからは予想どおりの向かい風。多少の向かい風なら90分切りは余裕だと思ってたけど、多少じゃない。暑さもハンパない。ただこういう展開の泥試合は私向き。速さよりも強さの勝負なら今日は負けない。折り返しで見た6,7番手はまだ余裕がありそうだったが、この風の中、そうそう追いついては来れないはず。直線だというのに、こちらも前を行くランナーが見えなくなってきた。「15km」の通過、26分後半?!いくらなんでもそんなには落ちていない。距離表示が適当だ・・・。海外ではよくあることだけど。

  単独で走り続けるのはきつい。すれ違うランナーからのエールがありがたい。こちらも可能なかぎり応える。フルの人もちらほら、10kmの部の遅い人もちらほら。気になるのは後続だが、後ろを振り返るわけには行かない。灼熱の暑さも強い向かい風もみんな一緒。弱気な姿勢は一切見せず。こうなったら5位死守だ。

  昨年の記憶が蘇り、そしてまた思う。自分が走りたくて走っていて、きついのがわかっていてきつい思いをしている。それって幸せなこと。天国とお月様からきっと今もみんなが見てくれているんだろうな。そんな私が負けるわけがない。

  ガラパンの中心部に戻ってきて残りはせいぜい2km程度。もし後続が追いついてきていたらここから全開で勝負しよう。意を決して振り返った後方には、誰も居ない。5位入賞が、ゴールが見えてきた。今さらの20kmの表示、その400m先にはゴール。紛らわしい距離表示はもはや関係ない。狙った自己ベストよりは程遠いけど、 終盤、勝負に徹して、獲るべくして入賞を果たしたことは大きい。万感の思いで走り抜けるゴールゲート。最後まで全力だ。

  多くの人が自己ベストにはるか及ばない中で、出て当たり前と思われていたベストを出して、上位に食い込んだことは素直に嬉しい。入賞した日本人がみんなベスト+5〜15分という記録だったことを考えると、上出来過ぎるレースをしたと納得しよう。できれば90分を切ったという記録を残して、未練なくスプリント復帰に集中したかったけど、これもきっとまだまだマラソンを走れってことなんだなと。

  所詮は一小市民ランナー。スプリントとマラソンの両立を頑張ってみるとしよう。I love Saipanマラソン。気分は日本代表、走りは自己ベスト、気温30度に迫る灼熱のバトルを逃げ切り、ハーフマラソン5位入賞!向かい風の後半に猛追を見せたかずえも、ハーフマラソン女子で5位に! 夫婦そろって5位入賞、表彰式のステージに一緒にあがらせてもらいました。 

<記録>
うっちゃん ハーフ総合:5位
 タイム:1時間33分49秒
 (手元:21'08 - 21'25 - 26'47 - 22'56 - 1'33 / 実際:21'05 - 21'25 - 22'42 - 23'34 - 5'03)
かずえ ハーフ女子総合:5位
 タイム:2時間00分28秒

おしまい

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