レース間最短記録

〜第66回 江東区民陸上〜

LOVE・WING うっちゃん

  大雨強風から晴天へと、今年もコンディションの変化が激しい夢の島陸上競技場。タイムテーブルを見てびっくりの800mと400mの決勝レース間、わずか5分。実際には走り終わった3分後にスタートってことになる。まさかの展開。

  何はともあれ、まずは400m予選。2組16人のエントリー。1組目の私は、2組目の顔ぶれを見て、2着に入っておけば、決勝は固いと予想。一日に何本も走る力はないので、とにかく脚を温存して予選を通過したいところ。7レーン、外側からのゆったりとした入りも、内側の高校生に早々につかまる。これは余力を残してる場合じゃないかもと少し焦る。が、それは周りがよく見えてる証拠。4コーナー出口で高校生を抜き返し、2番手に浮上、先頭は少し離れてしまったが、後続が追い上げてくる気配もなく、淡々と流して、時計を見ながらのゴール。トップの選手で時計が止まっていたことに気がつかず、流しすぎて60秒かかっていた。遅い組でラッキーだったとしか言えない内容ながらもまずは決勝進出。

  余裕を残しての予選通過も、すでに脚に疲労感。問題はこの後。次の決勝まで1時間半程度しかなく、とにかく疲れを抜くことに集中。そして迎えた初の800m。こちらは12人のエントリーながらも4人DNSで入賞は確定。400mの決勝リストを見るかぎり表彰台にあがれる可能性は無さそうなので、こちらで全力を尽くすことに決めた。召集時に「400m走るの?」って。走りますが、何か?みたいな。ビリでも8位入賞だからね。せっかく残った400m決勝、棄権はもったいないでしょ。遅くても完走しますよ。

  さて、陸上人生、初の800m。8人に減っても、例外の最初からオープンの一斉スタート。しかも全員イン側から。スタート直後、激しくぶつかり合う。スプリンターのパワーに勝てると思うなよ、ガキが。高校生だか大学生だか体当たりに、お互いはじかれる。が、アウト側の私は距離をロス。4番手バックストレートへ。ちょっと遅く感じる高校生の後ろで、抜くか抜かないか迷いながら様子見、淡々と1周を通過する。レースが動いたのは2周目、後方から学生と壮年の方が二人上がってきて、それに付いていけず。前を行く高校生とともに後退。残り200mになってガクンとペースが落ち、最後まで切れ味わるく、出しきった感もなく、6番手でゴール。それでもずっしりと体が重くなった。あれだけ流した400mの予選でも消耗したらしい。

  上位3人は決して届かないタイムではなかったのに、何とも歯がゆい結果に。これも800mの難しさか。走ってみないとわからないものだ。そして続く400mはもうどうしようもない。一人棄権したので、完走すれば7位。ほらね、とりあえずは出てみなきゃ何があるかわからない。走り終わってコースから出ることなく、そのまま1レーンへ。スタンドのざわつきが聞こえた。「あの人、また走るの?」。走りますが、何か?レース間最短記録、更新だ。

  スタブロをセットする体力も惜しんで、座り込んで体を休める。とはいってもわずか2分足らず。全く呼吸が整わないまま、スタート。走れたのは最初の100mだけ。後は一人置き去りにされる。800mを一緒に走った人たちから「無理しないで!」と心温まる声援。怪我なく走りきるしかないわけで、たとえビリでも、遅くても、走る姿勢を最後まで見せ、ぶっちぎりのビリ、7着で壮絶な連続レースを終えた。

  800m決勝から400m決勝までわずか5分、つまり、800m走り終わってから400mスタートまで3分足らずという、まさかのタイムテーブルをこなし、初800mでの6位入賞と、ビリながらも400m完走の7位入賞を果たした。言い訳は山ほどあるが、今走れる全力を尽くし、タイムテーブルにも関係なく、棄権せずに走ったことは、決勝に残った者の義務を果たしたと言える。結果は満足するには程遠いものの、この歳になっても表彰台には手が届くことがありそうだ。真剣勝負では一日に何本も走れないことはよくわかったが、高校生・大学生を相手に、まだまだやってやれないことはない。次のレースがいつになるかわからないが、全力で挑みたいと思う。が、結論としては、短いに越したことはない、と。

おしまい

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