10年前のボーナス的なメダル

〜第66回 中央区民陸上〜

LOVE・WING うっちゃん

  スプリンター復活を目指した今季の最終戦は夢の島。エントリー種目は、100mと走幅跳び。この、ザ・スプリンター的な組み合わせを10年ぶりにやってきた。区民陸上が終わって、納得できる気分ではなかったので、追試的に慌ててエントリーした大会。コンディションがいいとは言えず、とにかく気持ちだけでも全面に出して行きたい大会だった。

  この日は、びっくりするほどこじんまりした大会で、中学生・高校生の参加者がゼロ。とても賑わってなく、むしろ一般開放の練習日かと思わせるような人の少なさ。10年前はもっと大勢の参加者が集まり、そこそこレベルの高い競技が繰り広げられていたと思うが、これも時代の流れか。

  多くの種目が1桁の参加者で、一般男子100mも1組のみ、一発決勝。ありがたい話だが、盛り上がりに欠けるのは残念だ。そんな中、なぜか4コースに入れられて100mを走ってきた。前回、スタートは文句無しだったものの、中盤からスピードに乗り切れず。流すようにゴールしてしまったので、今回はスタートを抑えてでも、しっかりと地面を掴むような走りからスピードに乗せたいところ。何よりも力を抜かずに最後までちゃんと走りきること。

  スタートラインに並んだのは、そこそこ練習してます、といった顔ぶれ。昔なら圧勝、と行きたいところだけど。淡々とした雰囲気で、観客もほとんど居ないレースでは、スタート前でも気分が盛り上がらず。何とか集中して、控え目にスタート。横一線の出だしまでは予定どおりだったものの、最初から視界に他人がいるレースに慣れてなく、浮き足立ってしまう。並んでいる遅さにちょっと力を入れ直し、中盤でリード。が、そこからスピードに乗ることができず。切れもなく、淡々とゴール。これはダメだと感じるには十分すぎる不発っぷり。

  抜かれながらも僅差で3位には食い込んだけれど、1,2位も大したことなく、何かもったいないことをした気分。こんな走りじゃないとは思いながらも、これが今シーズンの限界。ピークを持ってきた後のレースではこんなもんか。10年前も11年前も12年前も、この大会の100mはいい結果が残せず。相性がわるいんだろうなあ。

  参加者が少ない大会のきついところは、休む時間が無いこと。ゴールして着替える間もなく、走幅跳びのピットへ。もう足合わせが始まっていた。といっても、こちらもわずか7,8人のエントリー。しかも100mの直後でDNSやらパスやらが連発。6本全部跳んだのは多分3人だけという社会人のバテっぷり。試技数のすごい少ない、珍しい展開になってしまった。

  学生最後のジャンプ以来、10年ぶりの走幅跳び。しかも全くのぶっつけ本番。遊び程度のつもりでエントリーしていて、そんなに跳ぶ予定もなかったけど、あまりのエントリーの少なさに出ないわけにはいかず。しかも相手は全員ど素人ばかり。自分も含めて、ろくな記録が出せずに、主催者に申し訳なかった。何とか一本くらいいいジャンプをしたかった。

  練習から足が合わず、体も浮かず、それはそれはひどいフォームで。さらに6本も同じ助走をする体力もなく。DNSやパスのせいで休む時間も少なすぎて、散々な状況だったものの、予選通過のために合わせた一本がそのまま記録になり、盛り上がることもなく、あっさり優勝。決勝は何とか大ジャンプをと、気合い入れて助走したものの、足が合わないだけじゃなく、体を上に持っていくパワーも無く、滞空時間が短すぎて、イメージと違いすぎて。空中姿勢のまま着地してしまうという何とも情けないジャンプ。しかも決勝はファール3連発。終わったな、と思いながらも、走幅跳では初優勝、金メダルを手に入れた。

  情けない記録だけど、10年前に6m跳んでもメダルに届かなかったり、トップだったのに最後の最後に抜かれて優勝を逃したりと、昔に取り損なったメダルを今さらにようにボーナス的にくれた感じだろうか。複雑な気持ちながらも、エントリーした責任を果たした、ということで納得してもらっておく。何はともあれそんなこんなで午後の雨とともに大会は終了。わずかな参加者とはいえ、この人たちがいるからこそ、こうしてまだ大会が開催されているわけで、記録に関係なく、今日頑張った全ての人に敬意を表したい。

  こうしてスプリントに取り組んだ今季は終了。なんていうか不完全燃焼なので、また来季も頑張ることにする。30代、衰えてもなお熱く。誰かに負けても自分には負けない。やれる限りはやってやろうと、心に強く思う夢の島だったとさ。

おしまい

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