一瞬の風になる

〜第53回豊島区民陸上〜

LOVE・WING うっちゃん

  現在の国立霞ヶ丘競技場では最後の開催となる豊島区民陸上に、3年連続で参加してきた。しかも、今年は他に、ウエマティ、なおぴん、ふくちゃんの3人を加え、リレーを組んでの参戦。聖地、国立でまた新たな歴史を作るべく、勇気ある挑戦をした。

  晴天の運動会日和、チーム最初の出番となったのは1500mのなおぴん。高校・30歳未満・30歳代などが混在のレースで、見た目からは順位が分からず。ただ序盤から後方で、700mまで来てもペースの上がらないなおぴんに激を飛ばし、やっとペースアップ。何とか後半はスピードを取り戻し、巻き返せるかぎり頑張ってゴールへ。結果、タイムは奮わなかったが、とりあえず後続を突き放しての3位。銅メダルで幸先のいいスタートを切った。

  日に当たっていると暑いくらいの一日で、競技場内は風が吹き乱れていた。追い風3m〜向かい風3mまで各選手を翻弄する。最後の国立競技場、記念に集まったか、例年の倍以上の参加者。各カテゴリーで好記録も連発し、ここ最近には無かった盛り上がりの大会となった。

  午後になって100m、同チームなのに、ウエマティと同組。タイムレースである以上、全力で行くしかない。メンバーは10年以上前は速かった人たちの名が並ぶ。が、今現在は?こればかりは走ってみないとわからない。タイトなタイムテーブルのせいか、選手紹介もなく、スタート準備。このスタートの緊張感、年に一度くらいは味わっておきたい。

  2レーンで左右不在の組、スタートした瞬間に視界から人は消え、30mくらいでこの組に格段に速い人が居ないことを確信。あとは全力で走りきるのみ。後続が迫る気配もなく、余裕の逃げ切りになってしまった展開は気を緩ませたか、後半は伸びず。2m弱の向かい風と、脚の違和感にスピードを出しきれなかったか。それでも組1着のゴールを駆け抜けるのは、記録に関係なく気持ちいい。2着にはウエマティが全力で転がり込み、チームで1,2フィニッシュとなった。

  タイムレースの結果は4位。惜しくもメダルに届かず、3位と100分の5秒差だった。この記録ではしょうがない。目標にしていたタイムよりも1秒近く遅かった。それでも、昨年に続き、100mを走れたことは良しとしよう。初レース、30代、短距離素人という要素を考えたら見事だったのはウエマティ。全体でも7位に入賞する好記録だった。これはリレーも期待できる。

  続く走り幅跳びにはふくちゃんとウエマティ。これはどちらも初めて。ただ練習の時点から、もしかしたらと思わせる、なかなかのジャンプを見せる二人。すると、脚の負傷を押して強行出場のふくちゃん、予選3本のみで勝負をつけ、4位に。予選のビッグジャンプで逃げ切ったウエマティは、何と初出場で3位、銅メダルに輝いた。

  夕方、暑さも吹き荒れる風も無くなり、いいコンディションになってきた。ここで400m。昨年の情けない走りと、さっきの100mの雪辱を心に誓い、最後まで全力で攻めきる覚悟。イン側2レーンに昨年優勝のT氏、アウト側4,5レーンに30歳未満100mでいい走りをした二人。100mとは違って何のプライドも無い分、格好を気にせずに全力を尽くしたいところ。

  400m、スタート。100mで痛めた脚に力が入らず出遅れる。バックストレートに入ってすぐにイン側から抜かれるが、アウト側とはスタート直後の差をキープして200mまで食らい付く。ここで諦めたらおしまいだ。最後の直線勝負に賭け、コーナーをとにかく粘る。300mを過ぎ、2,5レーンはスピードが落ちない。が、4レーンはわずかに詰まったか。残り100mで、差は5m。行ける、ラストの競り合いなら負けるわけがない。根拠の無い自信は、それでも練習の積み重ねで得られる努力の証。練習して必ず速くなるような年齢ではないが、練習しないで速く走れた奴はいない。そういう意味では、スプリント復活して3年目の今年、それなりに練習をやってきた。結果、残り10mで差しきり、3着に滑り込んだ。

  2組のタイムレース、もうひと組はいい記録が出ず、これで400m3年連続の表彰台、銅メダルを手にした。復帰後ではベストの記録。自分としては納得の走りだった。久しぶりに出しきった感じを味わった。昨年も一緒に走ったT氏に、実力は違えど背中で牽いてもらったおかげか。そのT氏は大会記録の更新はならずも連覇。2組目で限界の競り合いを制したなおぴんは8位に食い込んだ。

  そしていよいよ4×100mリレー。高校・大学混在の中、一般男子で唯一の出走にして、今大会の最終レース。しかも、チーム初リレーと初完走が懸かる、勝手に盛り上がるシチュエーション。もう1チームあった一般男子は棄権、高校生2チームも棄権し、わずか3チームの出走となったリレーの最終3組目。すでに18時を過ぎ、トラックをライトが照らしている。

  ここまで今日一日、ノリで勢いに乗るチームだが、満身創痍、疲労困憊の感は否めない。それでも最初にして最後の現国立競技場で一瞬の風になる。スタンドからかずえが見守る中、LOVE・WING、渾身のバトンリレー。1走で最後の力を振り絞る私のスタートから、2走ふくちゃんは脚の負傷を感じさせぬ力強い走りで、どんぴしゃでバトンを繋ぐ。3走ウエマティがコーナーで食らいつき、ここも見事なバトンパスでアンカーへ。最後は高校生に差を広げられるも、なおぴんが今大会最後のゴールを駆け抜けた。初リレー初完走、そして目標の55秒を上回る、53秒71で見事にバトンを繋ぎ、今大会を締めくくった。

  LOVE・WINGでリレーを組んで、この国立で走ってみたい。そう思ってから6,7年が経ち、ついに実現したその瞬間。ゴールまでバトンが繋がったリレーに、記録は関係なしに一人心の底から感動した。4継を走ってくれたみんな、本当にありがとう。銅メダル3つ、入賞4つ、リレー完走とチームとしては素敵な結果。聖地、国立霞ヶ丘競技場、最後の舞台でトラック&フィールドをめいいっぱい楽しんだ一日だった。

おしまい

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