爆風の夢の島

〜第67回 中央区民陸上〜

LOVE・WING うっちゃん

  昨年に続き、2年連続で参加した中央区民陸上。区外の人も参加させてくれるなんてありがたい。が、今年は小中学生の参加がゼロで、ものすごいローカルっぷり。参加者も少なく、全種目が一組のみという、残念な盛り下がりっぷりだった。前日までに心配された台風も過ぎ去り、夢の島は爆風が吹き荒れる晴天。ただでさえそんなにレベルが高くない大会が、この爆風の影響で記録だけを見ればとんでもないことになっていた。

  今回、エントリーしたのは100m&走り幅跳び。急遽参加を決めた昨年とは違い、今年は最初から参加するつもりでいた。先々週の大会で痛めた左脚もぎりぎり走れる程度には回復。記録よりも勝負、ということになりそうなコンディションはむしろ歓迎すべきか。

  レース数が少ないため、タイムテーブルどおりの進行。最初の1500mでは、おそらく先々週も走ったであろう豊島区役所のランナーが壮年の部で圧勝していた。ローカル大会のいいところはガチのランナーだけでなく、陸上初心者も参加しているところ。1500mでは主催の中央区役所の若い方々が走っていた。素人にしては速いって人も中には居て、全力で走る姿はなかなか清々しいものがある。

  さて、一般男子100m。ここでは年齢区分もなく、若者とガチ勝負。メダルよりも記録を出したかっただけに、この向かい風は切ない。昨年2位だった人が覚えていてくれて挨拶された。昨年の1位が欠場し、実力者不在。普通なら圧勝といきたいところ。気分も乗ってきてわるくない。

  風の音に「On your mark」がかき消され、スタートは仕切り直し。向かい風7,8mはありそうだ。二回目でスタート、号砲とともに一瞬でトップに躍り出る。とにかく低い姿勢で突っ込み、30mまで先頭を行く。が、左脚は全快でなく、力が入りきらず。痛みを我慢するも、トップスピードには乗れず、50m過ぎに、二人に先行されてしまう。この強烈な向かい風の中では終盤の伸びもなく。

  後続が来ないことを確認しながら、終盤は流して3着でフィニッシュ。ゴールライン後に驚くほどすぐに止まれてしまった。惰性をかき消すこの向かい風ではタイムは相当ひどいに違いない。昨年に引き続き、勝てるチャンスを逃したようでもったいないが、シーズンの終盤でターゲットをここに合わせてない以上は仕方ないか。負傷の脚でよく走ったということで、とりあえずはまた銅メダルをいただいた。

  そんな爆風の中、休む間もなく走り幅跳び。こちらもエントリーはわずか6人と最初から6本跳べることが決まっていた。気楽だったが、昨年のこの大会以来の幅飛び、それに強風が加わったことで、踏み切りが合わずに苦戦。とりあえず2本目に記録を残して決勝へ。脚の痛みはあったが、踏み切りとは反対の脚だし、そんなに跳ぶ人が居なかったのでメダル狙いで参加。壮年の経験者は居たが、相手にはならず。年齢を考えたらすごいジャンプだった。

  予選1位でも微妙に安心できない記録。爆風で大荒れのコンディションとはいえ、最低限の記録だけは出したかったので、決勝3本も集中して跳んだ。それでも衰えた力と練習をしてない現状を知るには十分すぎる結果。5本目に何とか合わせたジャンプが今日のベストととなり、その記録で優勝。昨年のラッキーな優勝に続き、連覇となった。記録とかコンディションを考えると複雑な気持ちだが、もらえるものはもらっておいて、心の中で小さくガッツポーズ。人数の少なさとコンディションのわるさに、審判員がいい対応をしてくれただけに、大したジャンプが見せられずに申し訳なかった。特に唯一跳びそうな目で見られていた私も、期待外れの記録に4本のファールと残念な結果に。それでも「記録とか経験だけじゃなく、まずは人を集めましょうよ」と言った審判員の気持ちがよくわかる。参加選手が少ないと盛り上がらないから。

※私から時計回りに1,2,3,4走。

  これで銅メダルと金メダルをもらっておしまい。となるはずが、今年は参加者の少なさにスケジュールに空きができ、最後にオープン参加の4×100mリレーが用意されていた。当日参加、その場でエントリー可とのこと。係員と話し、主催の区役所関係者でチームを組んでくれれば、こちらもメンバーを集めます、という話に。フットワークの軽い係員に感謝。中央区役所がとにかく人数を集め、2チームを編成。それを聞いて、私も100mの1,2位、壮年100mの2位の選手に声をかけ、即席のチームを組んで3チームでリレーを走ることになった。

  急な依頼にも参加を決めてくれた選手の皆さんには本当に感謝だ。1走私、2走100m2位の人、3走壮年100m2位の人、4走100m1位の人、とお互いに名前も覚えてないメンバーで、ぶっつけのバトンで4継に挑む。「区役所チームをぶっちぎってやりましょう」と、主催者へのせめてもの感謝の気持ち。

  昼前、本日の大会、最後のレースは4×100mリレー。2レーン中央区役所A、3レーン区民選抜、4レーン中央区役所B。「選抜」っていい響きだ。区民ではないけれど。脚を痛めつつも今シーズン最後のスプリント。スタートからぶっちぎって、2走へ。ここでまさかのアクシデント、2走の方が脚を負傷、何とか3走へ繋ぐ。差がリセットされるも壮年の3走が頑張り、アンカーが再びぶっちぎり、1着でゴール。最後まで爆風は続き、みんな記録はいまいちながらも、暑いくらいに晴れた青空の下、気持ちよく大会を締めくくった。

  いきなりのリレーで負傷させてしまい、2走の方には申し訳ないことをしたが、シーズンもこれで終わりだし、思い出ということで。1500mや5000mは風の影響もそんなになく、100mと幅だけびっくりするくらいひどい記録になったが、こんな爆風もめったに味わえるもんじゃない。なんだかんだ言いつつも、こういうローカル大会だって、トラック&フィールドを楽しめる、いい場所だと思う。また来年もここで会いましょう。ウチらが参加するかぎり、この大会が無くなることはないはずだから。

  最後に、今シーズンはこれでスプリント終了。3年での復活を誓って、帰国後に復帰したスプリント。現実は3年かけてやっとスタートラインに立てたかどうかといった程度。それも年齢とともに年々きつくなる中でこれから先、どうなることやら。それでも、たとえ記録が出なくても、その日そのときのベストを出すために、これから先もスプリントに挑んでいきたい。

おしまい

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