迷わず行けよ、行けばわかるさ

〜2003年 旅の軌跡 諏訪編〜


旅の軌跡 奥秩父編4の続き・・・

10月26日

  蓼科山登山口のある夢の平林道パーキングで起きたのは6時。早朝だからってわけじゃなく寒い。しかも曇り?霧?真っ白で視界がわるい。車からなかなか出る気になれず。昨夜は登山者らしき人の車は1台も停まっていなかったが、朝になってみれば他に2台。こんな天気でも来る人は来るか。ここの標高は1700mくらい?風向きは?天気予報は?雲底は?いろいろと考えてみる。結果、下山して温泉に。行きそうになったが、ぎりぎりのところで登山道へ。車から出るのに30分もかかっちまった。この高さなら、登れば雲の上に出られるのでは?とにかく蓼科山頂へGO!

  霧に包まれた林の中をハイキング気分でノリノリ。ところがいきなり急な登りになったかと思うと今度は崩落地。かつての噴火を思わせるその溶岩の爪跡に足をすくませながら、でもノリノリ。木々の中へ戻ると霧の中。振り返えると白い雲の中。標高が上がるにつれて、テンションは下がっていく。そんな中でも自らの読みを信じて、というよりは登り始めたら最後、頂上まで行くしかないと、とりあえず登る。稜線まで来て、光が差した。霧の中からうっすらと明るみ。そして、雲から抜け出した。一気に眠気とブルーな気分が吹っ飛んだ。ひーこら言ってた越前守も復活。自分が恵比寿の王子様であることを思い出したようだ。

  将軍平(稜線上の登山道合流地点)の山荘前をスルー。ここからは早かった。よじ登るような岩場がすぐに始まったが、雲を抜けて景色が見えるようになったことで、もう期待が高まるばかり。ちょっと登っては振り返る。今度は雲が足の下に。徐々に雲を見下ろすようになり、やがて稜線を境に、登ってきた側に雲がたまっているのを発見。反対側から登れば、今日は完全にいい天気だ。出発が早かったせいか、前を行く人はほとんどいない。頂上が見えてきたら、もう止まらない。越前守をおいて、一足先にダッシュで駆け登る。

  荒涼とした岩がごろつく頂上。見事な円形、360度広がるパノラマ。完全に雲の上に出てしまい、太陽が眩しく照りつける。でも風は強い。で、寒い。頂上は・・・そこか!一番乗り〜かと思いきや、すでに一人、もう少しで登頂しそう。ダッシュするも間に合わず。一番は取られ、写真は撮らされた。この山頂、一周400mはありそう。北側に雲海、南側は快晴。南から時計回りに景色を楽しむ。登頂の感動の大部分は頂上で見られる景色が占めると思う。この景色は、言葉では表現できない。すぐそこにそびえる八ヶ岳、その向こうに並ぶ南アルプス。西寄りに中央アルプス。単独峰の御岳を挟んで乗鞍岳、そして雲海の彼方に北アルプス。きっと今までで一番いいロケーションかもしれない。日本を代表する南・中央・北アルプスを同時に見渡せる場所なんてそうは無い。北アルプスへと続く雲海はまさに雲の絨毯。感無量とはまさにこのことか。

  次々に登頂を果たし、みんな一周してくる。羅針盤の上では、登りで後を追ってきたカップルが赤と青のウィンブレでテツ&トモになっていた。その横でお決まりのタンクトップ。でも今回はマジで寒かった。いくら見ていても飽きない雲海だが、腹も減ってきたので昼食にする。今日はバーナー持参で温かいレモネードを味わう。冷えた体に染み渡る。登山諦めて温泉にしないでよかったとつくづく思うとともに、山登りの良さを改めて思い知った。越前守の頂上での一言、「今は霧の中でも、頂上に行けば晴れる。頑張れ!俺」。登る前は特になんとも思わない山だった諏訪富士だが、今回、最高の景色を見せてくれたことと、絶好の場所に位置しているということで、とても印象に残る山となった。

  下山するのが面倒だと感じるのはいつものことだが、下山するのがもったいないと感じるのは珍しい。この景色にもっと酔っていたい。そう思いながらの下山。天気が良くなってきたので、雲も徐々に無くなり始めたけど。いいタイミングで雲が消え始め、標高が下がるペースと雲が消えていくペースが同じくらい。登りで光に導かれた山荘まで戻ってくると、そこには登山者が大勢たまっていた。頂上で見かけた人々もいて、「またどこかで会いましょうね」の言葉には、山の出会いもいいなあとしみじみ。

  これなら霧ケ峰も行けそう。テンションの下がらない越前守と二人、一気に下山した。途中、登ってくる人ともかなりすれ違った。大学生くらいの4人組が、誰一人何も持たずに登ってきた。彼らはどこまで登るつもりなのだろうか。多分ノリで登ってきたに違いない。ノリでも何でもいい。迷わず行けよ、行けばわかるさ。いい景色が見れるかどうかも、飲み物が必要かどうかも、きっともうすぐわかるだろう。こんなふうに木漏れ日の中にいると、別れさえも美しく思える。登り始めと同じく、ハイキング気分で下山。ラストはダッシュで駆け抜け、足を捻りながらのゴール。蓼科山、ありがと〜!

  感動はここで使い果たしたが、高原リゾートの紅葉を楽しみながら、女神湖、白樺湖を通過してビーナスラインを上る。蓼科山と白樺湖を見下ろせる霧ケ峰の最高峰、車山を目指した。すでに二日間で2山登っているうちらにとって、霧ケ峰の山頂へと続く登山道は散歩道みたいなもの。感動の余韻に浸りながら、今回の旅、最後の頂上へ。リフトで上がって来られる場所だから、スカートのお姉さんもいるくらい。でも、景色はいい。きっとここに登るだけでも、この紅葉と蓼科山や八ヶ岳を見たら、感動するだろうなあ。やっぱ山っていいね。

  高原にさらば、諏訪湖畔で遅めの昼食か早めの夕食。カナディアンロッキー(←名前忘れた)っていうステーキ屋。疲労回復のためガッツリ食う。うまかった。腹は満たされたので今度は温泉。諏訪湖間欠泉センターだって。温泉かと思ったら、温泉プール?それに間欠泉。露天で混浴。水着のお姉さんに越前守は「苦しゅうない」と、のぼせていた。たまに噴出す間欠泉。風に流されて湯船の上から降りかかる。これがまた熱い。熱湯の流星雨を喰らい、あまりの熱さにみんな潜って回避。なかなかのエンターテイメントだった。湖畔に沈む夕日を見て、今回の旅の終わりを実感する。茅野駅で解散。駅まで送ってもらえるなんてさすが恵比寿の王子様。次はいつ、どこへ行く?社会人になっても楽しみ方は変わらない。週末を楽しむために、次もどこかへ、迷わず行けよ、行けばわかるさ。

おしまい

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