ツール・ド・八ヶ岳再び

〜2007年 旅の軌跡 八ヶ岳編4〜


【旅のミチシルベ】
◆目的地・・・本沢温泉、八千穂高原、麦草峠。
◆やりたいこと・・・日本最高所露天風呂、雲上の湯に浸かる。ツール・ド・八ヶ岳、リベンジ。
◆泊まるとこ・・・佐久セントラルホテル。
◆温泉・・・本沢温泉、雲上の湯。スパティオ小淵沢、延命の湯。

【旅の軌跡】

4月14日

  昨夜のうちに諏訪湖まで来て車中泊。で、今朝は晴れ。昨日の雨が見事に止んだ。とはいえ今日は山登り。登山道が荒れていないことを祈るのみ。2年ぶりツール・ド・八ヶ岳に参加するために、この週末は八ヶ岳北部、八千穂高原へ行く。長坂ICから国道141号を北上、「小梅」だと思ってた地名が実は「小海」だったことに気がつき、軽くショックを受ける。今日の目的地は本沢温泉。歩いてしか行けない、雲上の露天風呂を味わうのだ。

  秘湯、稲子湯は一昨年来た温泉。ここから林道をさらに山奥へと入る。舗装されているものの落石が多い。まだ山は冬が明けたばかりという雰囲気。いや、山の上はまだ冬の白さだ。舗装が無くなってからもしばらくは車で行けるはず。が、「除雪作業のため進入禁止」と通行止め。「本沢温泉、歩いて2時間」との札を信じて、ここに車を止めていく。先客は2台。誰かいると思うと若干安心する。携帯圏外で人の気配の無い山奥ってホントに不気味。11時10分、山歩きスタート。

  雪こそ積もってないものの霜で盛り上がった土が柔かくて歩きにくい。軽く走ってみるも15分で諦める。「これより先、四駆のみ可」との札まで来たらいきなり雪道。除雪作業がまだここまではたどり着いてないらしい。ていうか、除雪車なんて見当たらないんですが。車が行けるホントの終点まで「歩いて10分」とのところ、雪上トレイルランで10分。歩いて10分じゃ無理だぞ。ていうか雪多すぎ。

  車が7,8台くらいは置けそうなスペースがあって、ここから先は登山道。ゲートが閉じられていて、車両は進入できず。ゲートをまたいで越えていく。か、横を抜けていく。やっと登山っぽくなってきたところで雪の量が増えてくる。斜面の雪は融けて消えるんだろうけど、平らな登山道には積もった雪が流れずに残っている。これが完全に消えるのはまだ先らしい。すでに標高1800m、風が強く、体感温度はけっこう寒い。雲の流れも速すぎ。天気が崩れませんように。

  1時間くらい歩いてところで前方に人影発見。雪に残る足跡から先客がいるのは確かだとは思ってたけど、そんなに差もなかったんだね。小さい足跡が女の子かと思いきやお子様だった。5歳。お父さん、車でずっと入ってくるつもりが通行止めのせいでたっぷり歩かされて計算外とのこと。すでにお弁当も食べたとか。おしゃべりしながらのスリーマンセル、山歩きをしばらく楽しんだ。雪かきされた道の両側は50cmの積雪。標高2000mを超えて完全な雪山になってしまった。

  あと15分程度ってところで先に行かせてもらう。「浸かって待ってます」ってことで。幕営場に一つだけテントが張ってあってびっくり。雪山を攻める猛者か。見えてきた山小屋、離れの内湯が先に見えて、12時40分、歩き始めから1時間半で到着。休んでないから、温泉でゆっくり休みたいぞ。小屋のお姉さんに、野天風呂の600円を払う。「先客はいませんよ、場所わかります?」って、ここから10分ほどまだ登るとのこと。ん?道なんて無いんだけど・・・。

  山小屋から先は人の足跡もない雪道。先客がいないっていうか登山者自体いないんじゃないっすか?道無き道を行き、「野天風呂」の道標を頼りに谷へ。視界が開けて、八ヶ岳の稜線が、そして野天風呂が見えてきた。小屋から15分、湯船のあるとこまで下りる道が今にも崩れそうで怖かった。脱衣所も何もない。湯船しかない。硫黄の香りが漂う白濁したお湯。誰もいないんで豪快に脱いで浸かるっ。あ〜気持ちい〜。

  13時にちょうど入湯したくらい。独りのうちに写真を撮っておく。で遅れること20分ほどで親子到着。「足跡のおかげで来れましたよ」、だろうな。最初に歩いた私は相当苦労したぞ。湯船は5,6人入ったらぎちぎちになってしまう大きさ。それでもここまで来た苦労とこの秘境の景色、雰囲気は最高の秘湯だ。季節がらちょっと温めな気もするけど、沸いてる場所は熱いという何とも天然な感じ。素敵だ。

  あとから大学生2人、天狗岳を越えてきて今日はテント泊とのこと。一升瓶片手に満喫していた。その次は3人組、アメリカ人(勝手に決めた)と日本人の男女。チャレンジャーな女の子だなあ。目の前で生着替えを披露してくれた♪大人7人と子ども1人、ここまで来た仲間意識で楽しいひとときを過ごしましたとさ。気がつけば14時半。たっぷり味わって満足。今度はさっきとは逆に生着替えを見られながら、温泉にさらば。体も衣服もタオルも温泉の匂いがつきまくりだ。

  下山はあっという間。山小屋で親子とバイバイして、そこから先は半分くらい走るように1時間で下山。本沢温泉、また来たいな、無雪期に。今日はツールの受付もいなきゃならない。再び山道を走り、八千穂高原スキー場を目指す。国道299号に入ると試走するサイクリストの姿がちらほら。みんな明日に向けて順調な仕上がりですか。スキー場の駐車場に車を置いて私も軽く試走。いい感じだ。17時、ゲート手前の展望ポイントから夕方の浅間山と佐久、佐久穂を見渡す。なんか自転車片手にカッコいいんじゃない?なんて自分に酔ってる奴らがずらりと並んでいた。

  明日のコースとなるメルヘン街道(国道299号)を下る。イメージほどにはきつく感じないのは私の自信のせいか。実際に走ったら地獄を見るんだろうけど。18時10分、佐久セントラルホテルにチェックイン。ビジネスホテルかと思いきや、けっこういい感じのホテル。部屋はまあ普通だったけど。夜はボトルゲージを止める六角レンチを買いに100円ショップへ。夕飯は佐久市内で信州豚のトンカツをがっつり食う。実家ではKずえとNた姉が母と一緒にスキヤキ。なんで私抜きなんだ?!そんな夜。ホテル泊まりだと遠征って感じが楽しい。でも明日に備えて早寝だ。

4月15日

  目覚ましは5時半。そのすぐ後に、寝る前のKずえから「おはよう」の電話あり。まだ寝てなかったのね。おかげで目が覚めたよ。6時にはホテルをチェックアウト。受付のおじさん、朝からご苦労様です。駐車場には自転車を積んだ車が2台。あれもツールの参加者か。佐久穂町へと向かうメインの国道に出ると自転車を積んだ車が見られる。スタート会場を目指して、続々と車が集まってきてるわけだ。

  メルヘン街道の入口。ここで曲がる車は全て大会参加者。なら同じ場所へ、と行きたいところだが、駐車場の場所がいまいちわからず。丘の上に見えてるのにたどり着けずに迷走。過去の記憶をたよりに駐車場に到着。車から自転車を降ろす前に、横に自転車が1台。あら珍しい、なかなか同じ自転車って見かけないのに。と思いきや、人気モデルらしく、私のとカラーも同じ奴が大会中に計3台。これに乗ってる奴らはみんな速そうだ。ていうか基本的にここにいる奴ら、ほとんどが速そうだ。まあそんなのいつものこと。ハッタリでも堂々と行こうか。

→ → → 第21回 ツール・ド・八ヶ岳

  大会後は激走の余韻を味わいながら、メルヘン街道をふもとの駐車場まで下る。斜度8%、9%の標識を見ると大変だったのも納得。静けさを取り戻した国道299号は、次の週末には冬期通行止解除だ。最後に駐車場までの急な登りが待っていた。ダウンにはきつすぎるが、ここもおまけのヒルクライム。車の減った駐車場で自転車の片付けをしていると地元の老人会の人たちが集まってきた。「お兄さんたち、どこかのプロかい?」、スペシャライズドの赤ジャージがそう見えたか。「ええ、ラブウイング・スペシャライ○ドです」。隣で片付けをしていた人が「え〜?!どこのチーム?!」と、いや無いけど名前的にいい響きでしょ。おじいちゃんたちがなんかざわつき始めたんで逃げるようにさらば。

  すっかり静けさを取り戻した町を後にし、高速に乗る直前の日帰り温泉、スパティオ小淵沢、延命の湯へ。温泉にでも浸かって疲れを癒しましょうか。ホント体の芯まで消耗してる気がする。まあこれも限界まで攻めた証。いちおうツールも完走したし、まあ満足だ。こんな自転車ツアーも楽しいぞ。

おしまい

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